青と部活
この学校には一部の生徒（俺みたいな）を困らせる最悪の授業がある、その名は‘講座’、響きは普通だけど言い換えると‘部活’の時間だ、この学校は全員が部活に入らなきゃいけないらしい、そのせいで馬鹿みたいな量の部活がある、当たり前だけどフリークライミング部もサーフィン部もない、料理部ってのに惹かれたけど２秒で却下、理由は女に囲まれるとめんどくさいから
「コガネは部活どうするの？」
「サッカー」
サッカーか、運動部ならそれなりに出来るから良いかな
「カイはどこ？」
「決めてないんだよな」
「サッカーくらい出来るだろ？カイもサッカー部来いよ」
「行くとこないし、とりあえず見学だけでも行ってみるか」
そんな話をしてるとやかましい二人が…、コガネの顔が一瞬で変わったのが分かった、チカとツバサだ
「カイ、部活どこにするんだ？」
入って来て第一声がそれかよ、クラスの視線が集まってるのもお構いなしに寄って来た
「一応サッカー、コガネもいるし」
「僕の情報によるとサッカー部は別名イケメン部で、イケメンが多い事で有名だよ」
「お前に聞いてねぇよ」
「お前じゃない、ツバサだ」
周りの男子が何やら騒いでる、後ろの男子に理由を聞くと
「潤間さんと鷲鷹さんは、学年でもトップクラスの可愛さだよ。やっぱりイケメンには可愛い子が集まるんだね」
らしい、チカって人気があるんだ、それにツバサがモテるのにもビックリ
「チカ達は？」
「カイ、まだ終わらないのか？」
ツバサの事がホントに嫌いなんだな
「悪い、少し待ってて。で、チカは？」
「バレー部、ツバサも一緒だよ」
「バレー部と言えば別名美少女部、可愛い子が多いので有名な」
「お前うるせぇよ！人の話に入ってくるな！」
コガネが怒鳴った、俺の後ろの奴に、明らかにビクビクしてるよ、何もクラスメイトにやつあたりしなくても
「ごめんな、コガネ機嫌悪いから」
「誰のせいだか」
そういってコガネが横目でツバサを見た
「僕のこと？」
「他に誰が？」
「…勝手にイライラしてる」
「はぁ？」
あっ、今完璧にキレた、初日に見せたあの目だ、これは流石にマズイな
「ツバサ、もう帰って、コガネが危ない」
「えぇ、でも…」
「早く消えろ」
「何だよ、ベーっだ！」
またそれかよ、チカとツバサを無理矢理返してその場を収めた、コガネも少しは落ち着いたかな
「悪いな、コガネ」
「カイが謝る事じゃない、あのクソがいけないんだよ」
そんな感じで話をしてると自然と男子達が集まり始めた、チカ達の事かな
「何？」
「四色と五百蔵って、潤間さんと鷲鷹さんと友達なの？」
「友達も何もチカは俺の彼女だから」
『えぇぇぇ！！』
何もそこまで驚かなくても、しかも一部の女子の悲鳴にも似た声も混じってたし
「クソォ、潤間さんはダメか、でも、鷲鷹さんなら」
「あのクソ女のどこが良いんだよ」
各々が各々の答えを出してるけど、一つ可哀想なところが、ツバサはチカに惚れてる事をみんなは知らない、まぁ知らない方が良いと思うけど。
講座の見学時間、俺とコガネは体操服に着替えてサッカー部の練習を見に行った。
グランドには見学のカッコイくらいの奴がゴロゴロ、それにマネージャー希望か追っかけかどっちか分かんないけど女の子が多数。
にしてもサッカー部の先輩達、あれでもサッカー部かよ、俺より下手くそじゃん
「下手な野郎ども」
「コガネもそう思う？」
「当たり前だろ、小学生みたいだ」
「じゃあ一発かましてきますか？」
「そうしますか」
俺達二人はミニゲームに参加した、俺はどこでも同じだからコガネとツートップで
「俺とコガネ振り子で行くぞ、他に渡しても高が知れてる」
「ＯＫ」
スタートと同時に個人技やらワンツーやらで進んで行った、一緒にプレーすると更にクソだな
「ゴール！一年チーム先取」
実況好きらしい先輩の実況がさっきからうるさい
「おぉっと、金髪の一年がボールを奪った！空かさずロングパス、その先には青髪の一年！そのままボレー！２点目だ！何だこの大型新人は！？」
みたいな感じだ、ジ●ン川平ばりの熱さでの実況ありがとう。
見学が終わって帰ろうとした時だった、一人の小さい先輩が寄って来た
「どうも部長の小林、君達サッカー部に入らない？君達ならすぐにレギュラーになれるよ」
まぁあのレベルなら余裕だろ、しかも最初から入るつもりだったし
「コガネは決まりで良いよな？」
「カイが良いなら」
「じゃあ入ってくれるんだね！みんな一年生が二人入ったよ！」
そうすると話してた部員達が集まって来た、確かにみんなカッコイイ、爽やか系とかワイルド系等々あらゆるジャンルのイケメン達が
「よろしくな」
「お前らがいれば百人力だな」
「お前、フォワードのレギュラー落ち決定だな」
「……」
その他いろいろな反応を示した、俺はとりあえず挨拶をしてたけど、コガネは終始無言だった。
まだ正式部員じゃないからすぐに俺達は帰った
「何で黙ってたの？」
「いやぁ、あんだけ調子乗ったことして、嫌われたと思ったから、あの反応されてビックリした」
「まぁ良いんじゃない、何か楽しそうな部活だし」
「まぁな」
俺達はまだ知らなかった、サッカー部という所は部活以外が一番キツイって事に……
