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多色の夜

今回は色々視点が変わります。

なるべく読み易いように作ったつもりです。どうぞ見てやって下さい。

とりあえずチカをおぶってコガネの家を出た、顔が肩の位置にあるから酒の臭いが漂ってくる、寝顔は可愛いんだけど酔っ払いだしな、ここまでチカが酒に弱いとは思わなかったし、寒いから風邪ひかなきゃいいんだけど。

プレゼントも渡せなかったし明日の朝に会いに来なきゃな、ホントにチカに酒はタブーだし

「………う、うんん〜」

チカが起きた、背中にいるからどんな事してるか分からないけど、伸びてるような気がする

「あれ?なにこれ?」

「チカが寝てる間に終わったよ」

「そう、何か気持悪い、…………吐きそう」

「はっ!?」

「ゴメン!降ろして!」

チカは勢いよく俺の背中から降りて、道の端で吐いた、そりゃしょうがないよな、始めて飲んだのにあんだけハイペースで飲んだら。

「チカ、水飲めよ」

「ありがとう」

こんなこともあろうかとコガネん家から水を貰って来た、チカは水を飲んで落ち着いたらしい、フラフラだけど歩き始めた、俺はチカを支えながら歩く。

顔色も悪いし、何だか気分も悪そうだし、大丈夫かな?

「おぶろうか?」

「いいよ。それよりゴメンな、せっかくのクリスマスなのに」

「別に良いよ、変な事は…………」

今キスした事言ったら泣きっ面に蜂だよな、明日で良いか、明日なら思いっきりいじれるし。

「どうした?」

「どうもしてないよ」

「酔っててほとんど記憶が無いんだよ、恥ずかしい事とかしてないよな?」

「大丈夫、コガネもコテツも寝ちゃってたから」

「そっか………」

いつになくテンション低いな、まぁ早く寝かして、明日はあんまり会えないけど会ってやるか。

明日はアオミが夜空けとかないと犯すとか言ってるからな、本気でやりそうだから怖いんだよ。









皆も帰ったし、部屋も片付けたし、コガネをベッドに寝かせようかな、私は今日は泊まるって言ってるから大丈夫、別に不純な理由じゃないわよ、コガネがこうなるのが分かってたから。

私は壁に寄りかかって寝てるコガネを起こそうとした、でも寝顔が可愛いから起こすに起こせない。

「………ん、………ヒノ………好き……」

「えっ?」

「…………………」

寝言か、でも今コガネの口から好きって言われた、寝言でも心臓がうるさくなる、血が体の中を物凄い勢いで回ってる、顔が熱い。

私はコガネに毛布をかけて飲み物を取りに台所に行った、何を飲もうかな、コガネの冷蔵庫の中は飲み物ばっかりだからね、大体私が買ってきて、その場で作ってるから食材はたまらないんだよね。

私があさりながら冷蔵庫を見てると背中に何かが乗っかった、重くて暖かい、ビックリして動けない、私を包むように毛布にくるまれる、でも毛布の下には人間の腕がある、背中にあるのも人、もしかして?

「コガネ?」

「ゴメンな。始めて一緒に過ごせるクリスマスだったのに」

「どうしたの?いきなり」

「ヒノ、好きだよ」

嘘?今‘好き’って言ったよね?寝言でもない、夢でもない、コガネはお酒強いから酔ってもない、心からの‘好き’だよね?

顔が熱い、心臓が爆発しそうなくらいうるさい、息が詰まるくらい苦しい。

何だか目の前が歪んで来た、視界が悪い、私泣いてるの?

でも何で、悲しくないのに、むしろ嬉しくて倒れそうなくらいなのに、違う、これは嬉しくて泣いてるんだ、何だか暖かい。

「ゴメン!悪い事した!?」

コガネは慌てて離れようとしたけど腕を掴んで引き寄せた、コガネが逃げないように手を掴んで、コガネの温もりが逃げないように毛布で包んで。

台所は冷蔵庫も開いてるし、暖房が届かないから凄く寒いハズなのに、私達は暖かい。

「待ってたよ、ありがとう」

「良かった。あとコレ、プレゼント」

そういうとコガネは毛布の中で私の首に何かを架けた、冷たい金属の物だ、ネックレス?

コガネは私に見えるように持ち上げた、その時に胸に触れたのは秘密。

それは左右非対象のハート、でも可愛い、歪んでるけどハートには変わりない。

「どう?」

「可愛い。じゃあコレは私から」

私は少し反って耳の位置まで顔を寄せる、コガネに抱かれてるから顔が近い、息使いまで分かる。

コガネの耳のトーピンを外してピアスを付けた、ひっかけるやつでクロスがぶら下がってる、見えるように鏡を渡した。

「コガネ一個無くしたって聞いてたから」

「しかもコレって?」

「コガネが雑誌で見てた物、コガネの事は誰よりも見てるんだから。私の瞳には好きな人しか見えてない」

「………………俺も」

そういってコガネはより強く抱き締めてきた、私の心臓の音が聞こえそうなくらい。

コガネ、大好きだよ。









僕はコガネを送ってる、足取りは確りしてるしちゃんと喋れてるからそこまで酔ってないと思う、お酒の臭いもあんまりしない、多分今日一人だけ部活終わりだから疲れたでしょ、トナカイ(コテツ)が酔ってたらサンタクロース(僕)はどうしようもないからね。

でも何かコテツが元気がない、何でだろう?

「コテツ、どうしたの?」

「ホンマにゴメン!」

コテツは頭の上で手を合わした、僕はよく分からなかったから首を傾げた。

「わい疲れてて、眠ってしもた。せっかくのクリスマスやのに」

何だそんな事気にしてたんだ、別に僕はそんな事気にしてないのに。

僕は手を繋いでたけど腕を抱き寄せた、コテツに体ごと近づく。

「クリスマスは明日だよ、今日イヴ、明日も会えるじゃん!」

「許してくれるんか?」

「許すも何も僕は気にしてないよ!それにコテツが疲れてたもん」

「ツバサぁ!」

コテツは僕を抱き上げてクルクル回る、何かドラマ見たいで嬉しい。

これを皮切りにいつものコテツに戻った、やっぱりコテツは元気じゃなきゃ、僕もつまんないもん。

「ツバサ、左手出してや」

「何で?」

「ええやないか、ホレ!」

コテツは僕と手を繋いでる手とは逆の手を取った、僕はそれを見てるとコテツはポケットから何かを取り出して僕の指にはめる、もしかして!?

リングだ!コテツも自分の左薬指に指輪を付けて顔の位置まで上げた、僕のと同じ。

「ペアリングや!」

僕は口が空いたまま喋れなくなっちゃった、嬉しくて、ビックリして。

「どないしたん?嫌か?」

僕は思いっきり首を横に振った。

「嬉しい!しかもこのリング可愛い」

「ホンマか?」

「ホンマ!超可愛い」

コテツは跳びはねながら喜んでる、僕もつられて同じように跳びはねちゃった。

コテツが後ろ向いてる間に持ってきた紙袋からコテツへのプレゼントを取り出す、いっぱいいっぱいになりながらコテツの首に巻いた。

「わっ!?何や……、マフラー?」

「手編みって嫌?」

「手編みやの!?」

「うん、編み物は得意だから。大丈夫?」

「最高やで!ごっつぅ嬉しいで」

コテツはそのまま抱きついてきた、僕もコテツの首に手を回す、そのまま軽々と持ち上げられた。

下ろされると頭の後ろに手が当てられた、コテツの顔が少しずつ近付いてくる、そしてそっとコテツの唇が僕の唇に触れた。












チカをツバサの家まで送った、とりあえず暫くはチカのそばにいようと思う、気分が悪いから俺もチカを一人にするのは不安だ、ツバサは少し遅くても大丈夫だよな。

とりあえずチカをソファーに座らして水を飲ました、酒臭さも無くなってたけど念のため。

チカ一気に水を飲み干すと俺の前にコップを差し出して来た、俺は渋々もういっぱいを注いで渡す、それも一気に飲み干した。

「よく飲むね」

「だってさっきから体が暑くて暑くて」

そういってチカは服を脱ぎ始めた、最後の一枚までは俺が拒んだけど、かなり薄着だ、大丈夫なのかな?

「カイ暑い」

「俺にどうしろと?」

「キスして」

「何でそこに行き着くのかが分からないんだけど?」

「良いからキスしろ!」

まだ完全に酒が抜けてないのかな、いつものチカだったらこんな事言わないのに。

俺はやけくそ気味にキスをした、でもやっぱり今日のチカはおかしかった、いきなり俺の唇を割ってチカの舌が入って来た、そんなキスは今までした事が無かったから目を見開いたまま動けない、チカはどんどん俺の口の中で暴れる。

やっと離れたと思ったら、目は溶けたようにトロンとしてる、完璧にまだ酔ってる。

「カイ、アタシもう無理、………………しよ」

「馬鹿!ココはツバサの家だろ」

「関係ない」

チカは俺を倒して馬乗りになった、行為そのものはありがたいんだけど、ココは他人の家だし、それにツバサを迎えに行かなきゃ。

「ツバサが帰って来るぞ」

嘘だけど。

「ツバサとコテツも同じような事してるよ」

「キスもしたことない奴らがするわけないだろ!」

「カイも男でしょ!往生際が悪い」

そういうとチカは最後の一枚も脱いだ、上半身は下着一枚のみ、ってか俺はホントにツバサの家でやっちゃうのか?



「チカチカ?」



俺はチカ以外の声が聞こえて上半身を起き上がらせた、そこにはサンタクロースもといツバサがいる、完全に状況が把握出来てないらしい。

「ツバサ!良いところに来た、チカを止めてくれよ!」

「どういうこと?」

「ツバサ、アタシとカイの邪魔するの?」

ツバサもチカが酔ってる事に気付いたらしい。

「カイっち、これはどうすれば?」

「俺にその気は全く無いから」

「アタシはあるの」

チカはそのまま俺をソファーに叩き付けた、そして抱きついてベルトに手をかけた時、ツバサがチカを俺から引き離した。

「チカチカ終り」

「ツバサ、羨ましいの?」

「少しね」

「ならこれからは女同士の時間ね!」

二人は肩を組んで部屋に入って行った、俺は服の乱れを直して、ツバサの家を後にする。

明日のチカは後悔の塊だろうな、でも、今度二人きりになったら酒を飲ませよう。

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