赤が呑まれる
コガネとチカは帰って来たし、料理も出来たんだけど約二名が帰って来ない、あの馬鹿二人組、コガネ談によると二人で消えたらしい、ホントにどこで何やってるんだよ、電話の電源きってるし。
……………もしかして、大人の階段登ってるとか?それなら邪魔しちゃいけないな、二人の時間を作りたいなら言ってくれれば良いのに。
“ガチャ”
大きな音と共に誰かが入って来た、走ってこっちに来る二人は言うまでもなくコテツとツバサだ、でもおかしい、服装がおかしい、ってか変な人、だってコテツはトナカイ、ツバサはサンタクロースの格好だぞ、しかもツバサのサンタクロースは袖が無いベストタイプにミニスカート、これはマニア向けだな
「メリークリスマスやで」
「これ似合う?僕的にはかなり可愛いと思うんだけど」
みんな呆然、コガネなんて既に見てすらいない、ヒノリは最初から見てないし、チカは…………、目が輝いてる
「ツバサ可愛い!!」
「キャー!チカチカ分かってくれる!?」
二人で大ハシャギ、ってかこんなののタメに遅刻したのかよ、なんか呆れた。
俺は騒いでる三人を無理矢理座らして、俺も座った、始めたらまたうるさくなるんだろ、どうせ
「じゃあ始めましょか!」
『メリークリスマス!』
約一名を抜いてジュースで乾杯した、コガネは酒、コテツも一気にジュースを飲んで酒に手をつけた、ツバサとチカは皿に取り分けずにそのまま食べ物をつまんでる、ヒノリは無言で皿に食べ物を取り分けてる。
「カイもいる?」
「その前にコガネにあげろよ、酒入る前に食ってもらえ」
俺は自分で取った、ってかコテツは酒が入ったら危ないんじゃないの、只でさえあのテンションなんだから、落ちてくれれば幸いなんだけどな
「カイとチカちゃんも飲めよ」
「酔わない程度にな。チカはどうする?」
「………味見だけ」
チカは始めてっぽいから梅酒で、別に酒なんていらないんだけど、一杯くらい飲んでおけば後で言い訳できるし
「カイ、何か楽しいんだけど!」
「何が?」
「分かんない!でも楽しい」
チカが酔った、ってか早すぎだろ!?もう酔ったの?まだ一杯しか飲んでないじゃん、チカはセーブさせないとヤバいな
「コガネ!もう一杯頂戴!」
「OK!チカちゃんノリ良いね」
「まあね」
チカは缶を開けて飲もうとしたけど、取りあえず制止した、チカは俺の手を退けて無理矢理飲んだ、しかも一口で半分ほど
「ヒノリ、コガネを酔わせないようにお願いね」
「私が酔っちゃったかも」
ヒノリはシャツのボタンを外して扇ぎ始めた、ってかそれは大学のサークルで先輩落とす時に使うテクだろ、俺に使ってどうする、それにヒノリまで酔ったの!?
「冗談よ、私酔わない体質だから、馬鹿みたいに飲まなきゃ酔わない」
「そりゃ良かった。ツバサは?」
「僕は飲めないから安心して」
「三人なら大丈夫か」
チカは酒に飲まれてるし、コテツは酔ってる酔ってないか分かんないし、コガネはいつもよりテンション高いし、まぁ楽しくて良いんだけど
「カイ〜、何かこの部屋暑くない?」
「定番ありがとう、でも暑くないし脱ぐなよ」
「じゃあカイがアタシの体温奪って!」
チカがいきなり抱きついてきた、ホントに熱いな、酒臭いし、でも何かトロンとしたチカがめちゃめちゃ色っぽく見える、二人なら襲ってたかも
「カイ、キスしたい」
「はぁ!?」
「キスがしたい!キスして」
「みんなの前で出来る訳ないじゃん、帰る時に好きなだけしてやるから」
「グヘヘへ、約束だぞ」
「あぁ、だから酒を抑えろ」
敬礼してまた酒を飲んだ、なんかもうパーティじゃないよな、コガネは酔ってても平常心を保ってる、コテツはツバサの膝枕で爆睡してる、一番たちが悪いのはチカか
「カイ飲んでるぅ?」
「飲めないよ」
「にゃんで?」
「チカが酔ってるから」
「酔ってないよ、アタシは普通」
酔ってるよ、心の中でつっこんどいた、俺以外の前で酒を飲まないで欲しいな、確実に家に連れてかれる。
ツバサはコテツを膝で寝かしつけてるからおとなしい、子供を見るような目でコテツの髪を撫でてる。
ヒノリは逆に酔ったふりしてコガネにくっついてる、コガネが飲もうとすれば酒を取り上げて自分向かしてる、プロだな、でもコガネも寝そうだな、壁でウトウトしてる
「カイ、もう我慢できない」
「はい…………!?」
チカの方を向くとチカの唇が俺の唇に当たった、俺はビックリして目を見開いてると、そのまま崩れるように眠った
「チカチカやるぅ」
「そうやるんだ」
ツバサとヒノリに見られた、始めて他人に見られたかも、コガネは壁に背を預けて寝てる
「コガネ、寝てて良かったね」
「そうだな」
「僕もチカチカにキスしていい?」
「コテツにな」
ツバサがフグみたいに膨れた、チカは俺の肩で寝てる、もうお開きかな
「終わりだな」
「みんな寝ちゃった」
「ツバサ、コテツ起こして帰りな。俺も片付けたら帰るから」
「いいよ、私が片付けるから」
「良いのか?」
「カイっち、ヒノノとコガネん二人きりにしてあげな、これからは大人の時間だよ」
「そうだな」
俺はチカをおぶった、ツバサはコテツの耳元で何か囁くとすぐに起きた、魔法の呪文でも唱えたのか?
「ツバサ、真っ直ぐ帰るの?」
「いや、コテツ送ってから帰るよ」
「ツバサはどうするんだよ?」
「一人で」
さすがに夜道で女の子を一人で帰すのは良くないよな、コテツの家からツバサの家まで送って行くか、片道10分くらいだもんな
「ツバサ、コテツの家にいろよ、迎えに行くから」
「別に良いよ、一人で帰れるから」
「最近不信者が多いんだろ?」
「………………」
「コテツも使いもんにならないし。少し遅くなるけど待ってろよ」
「分かったよ」
コテツは起きた瞬間寝た、これで帰れるのかよ、ヒノリは一人で黙々と片付けてるし。
俺はチカをおぶってコガネの家を出た、ツバサはフラフラになりながらコテツを支えてる。
二人っきりが勝負でしょ