蒼と一緒
俺は弁当を食ってる時にとても重大な事を言う事を忘れてる事に気付いた、コガネとチカ以外には大したニュースじゃないけど重大発表しますか
「あのさ、俺引っ越すから」
コテツとツバサは恐らく聞こえてない、ヒノリは全くもって興味がない状況だ、コガネとチカはフリーズした
「俺、アオミと一緒に住む事にした、コガネの家にずっといるのは迷惑だしアオミの願いだし」
「ふ〜ん」
コガネは案外さっぱりしてた、そりゃそうだよな、別に人が入るより出た方がいいもんな
「落ち着いたらチカに場所教えるよ」
「うん」
「俺らには教えてくれないのかよ?」
「コガネに教えるとアオミに手を出すかもしれないじゃん」
俺は冗談っぽくヒノリを見ながら言った、ヒノリは冷静を装ってるけど額には青筋がたってる、オーラが怖い
「ヒノ、カイのお姉ちゃんは綺麗だけど別に好きとは別だから」
「…………綺麗なんだ」
墓穴を掘った、更にコガネの居場所が無くなってる、俺は笑いながらそれを見てるけどヒノリに睨まれて笑えなくなった
「カイ、コガネを頼んだよ」
「大丈夫だってヒノリ、アオミは…………」
「ブラコンだろ、それにカイはシスコンと」
コガネに言葉を遮られた、しかも俺がシスコンってなんだよ、唯一信じられる血縁者を大事にして何が悪い
「カイ、シスコンなの?」
「チカが一番だから大丈夫だよ、それにシスコンになる程一緒にいなかったし」
「だからなったんだろ?あんなに綺麗な人いないからな」
「……………そんなに綺麗なんだ」
コガネが更に墓穴を掘った、なんか最近コガネの権力がだんだん低くなってきたな、それともヒノリが強気になってきたとか?
放課後、部活にいかないで引越しすることにした、最近部活行ってないな、そろそろ体も鈍ってきたし行きたいけど忙しくて。
荷物はそんなにコガネの家に持って来てないからすぐに片付いた、全部持って行って貰ってコガネの家の鍵を閉めて鍵はポストに入れておいた、外にはアオミが立っている
「なんだ、来てたなら手伝えよ」
「今来たところだから、それよりもう終わったの?」
「終わったよ、忙しいのは嫌だから夜くらいに届けてもらう事にした」
「なら今暇だよね」
言うと同時に俺の腕を掴んできた、最近俺とアオミが一緒にいるから知らない奴らが付き合ってるって噂をしてるらしい(ツバサ情報)、俺はどうでも良いんだけどチカにまたオスが群がってるらしい、俺がホントに浮気をしてると思ってる馬鹿共だな
「デートしようよ」
「デートって?」
「う〜ん、渋谷!」
「ダメじゃないけど、アオミって俺と同じで渋谷とか嫌いだったよな?」
「前はね、最近は色んな思い出があるから好きだよ」
歩いてる最中も常に俺の腕を掴んでる、とりあえず駅に向かって歩いてるから同じ学校の生徒に会う、大半が驚いてるけどこれを否定するのは見苦しいよな
「みんな私達の事付き合ってると思ってるよ、どうするカイ?」
「どうするって、俺にはチカだけだし、誰がなんと言おうがアオミは姉貴、チカは彼女、それは不変の真理だよ」
「本当の事だけど何だかチカちゃんに嫉妬しちゃうな」
アオミは苦笑いを浮かべながら言った、それに嫉妬って、頼むから誰かアオミとノイローゼになるくらいの恋をしてくれ、じゃないと本気で襲われる
「カイ、今襲われるって思ったでしょ?」
「えっ、な、何で分かったの?」
「カイの事なら何でも分かるわよ」
ヨダレを垂らしながら言わないでくれよ、アオミが言うのが一番リアルなんだから、俺はホントにアオミと同居して良いのか?
渋谷の改札を出るとすぐに人の群れが目に入った、高校生って生き物はなんでこんなに集まりたがるんだよ、俺も一応高校生だけどその心が理解出来ない
「クレープが食べたい」
「食べたいって言われても片手で数えられるくらいしか来た事ないから、マミ姉と何回も来たんだろ」
「しょうがないわね、来て」
アオミは俺の腕を引っ張って人ごみに切り込んで行く、これがチカだったらとか思っちゃったりする
「チカちゃんじゃなくてゴメンね」
「べ、別に」
これは俺の事を知ってるってよりも心を読んでるだろ、怖い女だな
「ココが美味しいんだよ、カイは何頼む?」
「アオミに任せる」
アオミは何か分からないけど適当に頼んで俺に手渡した、アオミには悪いけどこれくらいなら俺でも作れるし
「カイ、次はどこに行く?」
「アオミに全部任せる、俺全然この街の事分からないから」
「じゃあカラオケに行こう」
ちょっとまて、今俺にとっての永遠のライバルの親戚の名前を口にしたよな?これだけは頂けない
「アオミ、俺の成績表見たことないのか?」
「無いよ、どうせオール5でしょ?」
「残念、音楽以外は5だよ、音楽は2、1をとった事もあったな」
アオミの顔が青くなった、俺は音痴なんてもんじゃない、自分で分かるくらい酷い、ぶっちゃけ歌わない方が歌ってるって言われたくらいだ、自分で言うのはなんだけど完璧な人間なんていないよ
「じゃあプリクラ撮ろう!みんなにカイの事自慢したい」
「弟としてだよな?」
「そこ伏せちゃダメ?」
「ダメっていうか無理、事実を伏せるな」
この姉貴は釘を刺さないと何をしでかすか分からない、ってか四色が同じだから馬鹿じゃないとひっかからないだろ、まぁ念には念をだ
「じゃあココで良いわよね?」
「良いよ」
ってか渋谷ってプリクラ多いな、札幌のローソン並だよ(札幌ではローソンが1ブロックに一つのペースである)。
プリクラ専用の店に入ると男人口が少ない、それにみんな俺を見るな、確かに変な髪型だし髪の色だけど…………、そっちじゃないような気もしてきた
「何でみんな見るんだよ?」
「それはカイがカッコイイからじゃない?それにそんな真っ青な髪の毛にサムライヘアーしてたら誰でも目立つわよ、私は勝ち組気分だけどね」
「勝ち組も何もアオミは俺の‘姉貴’だろ」
‘姉貴’の文字を強調したら全員の目が変わった、これはシスコンを見る軽蔑の目じゃない、獲物を狙うハイエナの目だ。
でも俺も馬鹿じゃない、左手で顔を掻くふりして薬指を目立たせれば………、女達は舌打ちと共に散った
「あれ?みんなカイに興味無くなったみたいね」
「コレ。今時付き合っててもココにリングはするもんだからね、ハイエナ用の無言警告ってとこかな」
左手を見せると呆れた感じで機会の中に入って行った、俺も後を追ってカーテンをくぐる。
アオミの家に着いた時には荷物の到着時間の10分前だった、思わず長居しすぎたな、今日はアオミが料理を作ってくれるらしい。
俺はテレビを見てると荷物が届いた、荷物って言っても段ボール3箱に布団だけなんだけどね。
俺は自分の部屋にそれを放置してキッチンに向かった、アオミの飯を食うのは初めてだから心配なんだよな、大丈夫だと思うけど何かいてもたってもいられない
「大丈夫か……………、って、はぁ〜」
「見ないでよぉ」
俺は見た瞬間呆れてため息がでた、今日の料理はハンバーグなんだけど形に問題有り、俺だけじゃないと思うけどハンバーグは楕円型だと思う、でもアオミが作ってるハンバーグはハートだ、これはブラコンを卒業したな
「まあ美味ければ文句は言わないよ、不味くても形が普通なら文句は言わないつもりだったけど、後者は前言撤回だな」
「大丈夫よ、私の愛が入ってるから、不味いなんて事は無いわよ」
新婚夫婦でも言わないようなセリフだよ、一週間もすれば飽きるだろ、ってか飽きろ、頼むから飽きてくれ、じゃないとチカに会わせる顔がない。
アオミの料理がどんどん食卓に並べられてく、ハンバーグの形以外は良いな、味はともかくバランスは最高だよ
「いただきます」
俺はアオミの視線が気になるけどハンバーグを一口口に入れた……………………
「美味いじゃん、少し見直したよ」
「ホントに!?カイに言ってもらえると嬉しい。やっぱり私の愛が入ってるから?」
「いや、それはない」
即答、他人の料理で美味いって感じるのはヒノリくらいだったけど、アオミも中々だな
「アオミは食べないの?」
ボ〜っと俺の顔を見てるアオミが心配になった、全く食事に手をつけないで見学してる
「カイの食べてる顔を見てるだけでお腹いっぱい」
「なら貰っちゃうよ」
「それはダメ!やっぱり腹ペコ」
アオミは食べ始めた、ってか今気付いたけどハンバーグのサイズがデカイ、俺のがデカイ理由は分からなくも無いけどアオミのもデカイ、それにご飯は山盛り、女子高生の食事じゃないよ
「アオミって太らない?」
「何で?」
「いやそんなに食って、飯の量なんて俺より多いだろ?」
「お代わりするからまだまだ食べるわよ」
呆れた、食い意地と弟好きだけは天下逸品と。
俺は疲れたから先に風呂に入らして貰ってる、アオミから先に入る事を勧めたけど断固拒否された。
俺はゆっくりつかってると脱衣所にアオミが、行動が明らかにおかしい、体を屈めたり、もしかしてあの馬鹿姉貴
「アオミ!もしかして一緒に入ろうとか思ってないよな?」
“バレちゃった?”
ドア越しに聞こえた、ってか本当に入ろうとしてたのかよ
「風呂くらい一人で入れ」
“は〜い”
なんか物分かりが良いな、アオミはそのまま脱衣所を出て行った。
俺は早めに風呂から上がってソファーに座ってるアオミの所に行こうとした、でもおかしい、もしかしてコイツ服着てないのかよ
「あ、アオミ?」
「カイ!」
やっぱり、俺は急いで顔を背けて頭から被ってたタオルをアオミに投げた
「早く風呂に入れ、風ひくだろ」
「あら気にしてくれたの?それとも恥ずかしいの?」
「良いから早く」
アオミはそのまま風呂に行った、俺は暫くテレビを見てから寝よう。
アオミが風呂からあがって来る前に俺は自分の部屋に行って布団を広げた、横になって目を閉じようとした時、アオミが入って来た
「頼むから一人で寝て……………」
アオミはバスタオル一枚でそこに立ってた、俺は慌てて部屋の隅まで逃げた、本気でこの家はヤバい
「カイ、一緒に寝よう」
「無理無理!服着ろ!」
「ねぇ、寝ようよ」
「マジ無理だから!」
「お願い」
「分かった!服着たらな、一緒に寝るだけだぞ!」
「やったー!」
アオミは走って逃げて行った、あれだけあの姿で迫られたら拒否出来ないよ、ってかホントに恐ろしい姉貴だな。
アオミはパジャマに着替えて俺の部屋に入って来た、チカだったら大歓迎なんだけど、アオミは姉貴だぞ、さすがにヤバいだろ
「アオミ、誰にも言うなよ。チカにも、友達にも、知らない人にも誰にもだ、それが約束出来ないんならこの話は無しだ」
「は〜い」
アオミはそのまま俺に飛び付いて来た、俺は押し倒されるような感じで布団に倒れる、そのまま隣に置いたけど、怖くて眠れない
「何も手を出すなよ」
「は〜い」
俺はアオミに背を向けて布団に入った、アオミは抱きついて来た、退けようとしたけど寝息をたててるのを聴いてできなくなった、寝るの早いな、俺は静かに向き直るとアオミ顔が俺の胸の辺りにある、寝顔は可愛いな。
俺はいつの間にか眠ってた、嫌だけど安心出来る不思議な存在だな