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青と蒼

俺はチカとアオミと帰ってる、チカはともかくアオミは無理矢理着いてきた、部活にいきなり来て俺をラチろうとしたけどチカだけは道連れに出来た、左手はチカと手を繋いでる、右腕にはアオミがしがみついてる、そんでもって視線が痛い、確実にチャラ男に見られてるし、陰口言われて腕を振り上げようとしても腕が動かない。

チカを家まで送って行ってアオミを送ろうと思った、でも俺アオミが何処に住んでるのか知らないし

「ねぇ、何処に住んでるの?」

「すぐそこのマンション」

「アオミ一人で?」

「そうだよ、バイトしながらあのクソジジイの金切り崩して生活してる」

俺は誰かの世話になって、新しい家族を見つけて、そんな事してる間にアオミは一人で苦労してたんだな

「彼氏とかはいるの?」

「いないわよ、カイが弟だとそこら辺の男はダメ男にしか見えないの。唯一惚れた男は彼女いるし、今はいないし」

俺はなんとなくその人物が絞れた、ってかこれって運命?家族同士が結婚とか笑えるし

「アオミが惚れたのってユキ?」

「何で分かったの!?」

やっぱりそうか、俺とアオミは人の好みだけは似てるからな、親嫌いもその一種、アオミも友達を作ろうとしなかったし、彼氏がいたってのも聞いた事がない

「該当人物がそれくらいしか見当たらないから」

「いや、他人に興味を持たないカイが何でユキくんの事を知ってるの?」

それか、全く説明してなかったな、今の俺の状況とその後を。


俺はアオミが家を出ていった後の事を全部話した、当然ユキが俺の家族だって事も、俺が親から捨てられた事も、アオミは最初は怒ってたけど今は笑顔だ

「カイもアイツらから解放されたんだ、よかったね。それに、ユキくんがカイのお兄ちゃんだったなんて、私は離れた家族に恋してたんだ」

「今はいないけどな」

「そうね。あ、ここが私の家よ」

かなりの高層マンションだ、自動ドアを入ると即オートロックがある、アオミは手慣れた手付きでカードを溝に滑らした、電子音をたてるとアオミが俺の手を掴んだ

「カイ、行こう」

「俺はココで…………」

「少し話がしたいし家に上がってよ。ね、良いわよね?」

「しょうがねぇな」

俺はそのままマンションのオートロックをくぐった、一階はロビーみたいになっている、しかもかなり真新しい、本当にココに住んでるのかよ、高校生が住むような所じゃないよな

「スゲェマンションだな」

「これは私の貯金も合わして買ったんだ」

「買ったって、どうやって?」

「お母さんだけは私の居場所知ってるの、お母さんに色々と手続きして貰ったんだ」

そういう事か、お袋は親父といれればそれで良いって感じの人だからな、邪魔者が消えるなら何でもするのか。

俺とアオミは話ながらエレベーターに乗り込んだ、アオミが押したボタンには14と書いてあった、かなり上に住んでるんだな

「やっぱりクソだな」

「そのクソを利用してやったのよ、クソジジイは知らないしお母さんにはカードキーは渡してないからココには来れないの」

にしてもアオミの話を聞けば聞くほど俺らの親はクソ親だな。

これは自惚れかもしれないけど、アオミには俺しかいなかったんじゃないのか?俺も正直アオミがいなくなった時はショックだっし、今まで以上に荒れたな。

エレベーターが目的の階につくとアオミは俺の手を引っ張って右に行った、まるでホテルみたいな廊下を更に左に曲がった、少し歩くとアオミは停まりさっき使ったカードキーを出して溝に滑らした

「どうぞ、私の家に」

「お邪魔します」

中に入るとその大きさにビックリした、とりあえず女子高生が一人で住めるような家じゃない、部屋は左右に二つとリビングダイニングが一つ

「…………スゲェ」

「ちなみに私以外に入ったのはカイが初めてよ」

「良いのか?」

「当たり前でしょ、上がって上がって!」

俺はアオミに手を引かれるがまま家に入った、リビングには大きな白いソファーがあったからそこに俺は座った、家具とかもキッチリ揃っててとても一人で住んでるとは思えない整いっぷり。

アオミは紅茶を出して来た、そのままアオミは俺の隣に座って紅茶を一口飲む

「なぁ、料理は俺に作らしてくれよ」

「そういえばカイは料理得意だったもんね、私はあんまり家には帰らなかったし親もいなかったし。良いよ、お願い」

俺はキッチンに行って冷蔵庫の中身を見た、食材はそれなりに揃ってる、ゴミ箱にコンビニ弁当とかは無い、冷凍食品はないし調味料もある程度はあるって事はまともな食事はとってるんだな、少しは安心したな

「まともな食事はとってるんだな」

「当たり前でしょ、料理くらいは出来るわよ、カイには負けるけど」

今日は調度豚肉もある事だししょうが焼きで良いか、これならパパッと作れるし野菜を付ければましな物になるだろ。

アオミはテレビを見ながら紅茶を飲んでる、久しぶりの姉の背中が何となく淋しく見えるのは気のせいかな?たまにはココにも来てやるか。



俺達食事を食べ終って、片付けも済ましてテレビを見てる

「カイの料理おいしかったわよ」

「そう、ありがとう」

アオミはテレビを見てからずっと寄り添ってくる、昔からベタベタすることはあったけどなんか多すぎる気がする

「カイ、私カイがあの学校にいるって知った時嬉しかった」

「俺はビックリしたよ」

「私ね、親友はいたよ、でも友達は少なかった、カイなら分かると思うけどあの馴れ合いみたいのが嫌いなの」

なんとなく分かる、俺も俺の中での友達は少ない、周りは友達だと思ってても俺にとってはただの知り合いに過ぎない、これでも進歩した方だけどね

「悩みを話せる親友は二人いたの、だけど一人は学校辞めちゃったんだ、カイなら察してると思うけど私の親友の一人はマミコ」

マミコってマミ姉の事か、ってことは親友の彼氏に惚れてたのかよ、それとも親友の彼氏だから諦めたのかな

「でも二人とも親友に過ぎない、悩みも奥深くまでは話せないしそこまで押し付けたく無かった、だから溜め込んでた部分も少しあったの、そんな時にカイの顔が一番に浮かんだんだよ、カイがいたら少しは悩みも話せただろうな、って」

やっぱりアオミは辛い思いをしたんだな、俺がもう少し早くアオミを見付けてれば楽にしてやれたのに、アオミがいなくなって自分は不幸だと思ってた俺がムカつく

「カイなら何でも話せる、一人で暮らしてる時に初めてカイの大きさに気付いたの、何回もカイに電話しようとか会いに行こうとか思ってた、だけどカイに嫌われてたらどうしようとか思っちゃったんだよね、私一人で逃げて、カイを置き去りにしたまんまで、最低なお姉ちゃんだよね」

アオミは泣いてた、いつも気丈に振る舞って弱味を全く見せないあのアオミが、今は俺の肩で声を上げて泣いてる、そんだけ辛かったんだ、アオミは自由になるために自分の心を捧げた、だから今度は俺がアオミの自由を守りたい、これはせめてもの弟に出来る孝行かな

「俺はアオミの事を嫌いになんてならないよ、アオミはあの時の俺が唯一信頼出来た人だ、アオミには幸せになって欲しいんだ」

「でもカイが幸せじゃなきゃダメだよ」

「俺は今、最高に幸せだよ、最高の彼女はいるし、最高の親友達がいるし、何より最高の姉貴がいる、だから今度はアオミが幸せになる番だろ」

「大人になったね」

「マセてるだけだよ」

アオミは真っ赤な目だけど、最高の笑顔で笑った、俺には分かる、それが頑張ってる笑顔じゃなくて心の笑顔だってことが。



俺とアオミは空白の一年半を埋めるように話した、楽しかった事、辛かった事、悲しかった事、嬉しかった事、話しても尽きないくらいに話題が出てきた

「ヤベェ、少し話しすぎたな、俺もう帰るよ」

「もう帰るの?泊まってけば?」

「明日も学校あるし」

俺は立ち上がろうとした、でもアオミに腕を掴まれて立ち上がれずにそのままソファーに逆戻

「ねぇカイ、一つ私は隠してた事があるの」

「何?彼氏いましたとか?」

「違う、私、カイが捨てられたこと知ってたの、夏休みが終わった頃にお母さんから電話があったの、カイを捨てたってね、その時お母さん泣いてたよ」

「言いたいのはそれだけか?」

俺はアオミがまだ言いたそうな顔してるのが分かった、別にそんなのはどうでもいいし

「この家って他に二部屋あるでしょ、あれは私の分とカイの分なの、高校に入る前にカイをココに呼ぼうと思ってたんだけどカイとは音信不通になっちゃって。言いたいのは、一緒に暮らそう」

俺は嬉しかった、やっと血の繋がった家族とまともな暮らしが出来る、それにコガネの家にいつまでもいる訳にはいかないし、答えが出るのにそんなに時間はかからなかった

「アオミが良いんなら良いよ」

「ホントに!?カイ、一緒に住んでくれるの!?」

「住んであげるよ」

「やったー!」

アオミは勢いよく抱きついて来た、俺はそのまま押し倒される形になる、でもアオミの満面の笑を見るとどうしても責める気にはなれない

「じゃあとりあえず今日は帰るから、明日荷物とか持ってくるよ」

「分かった」



俺は帰り道アオミから手渡された物をながめながら歩いてた、アオミは帰り際にスペアキーをくれた、これで俺はあの家に自由に出入り出来る、やっと気を遣わないで暮らせるよ

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