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青の退院祝い

昨日は夜遅く帰った、夜遅くって言っても既に日付が変わってからだったけどね。

帰るとコガネはしかめっつらをしてた、疑問か迷惑かは分からないけど。

そして今日、退院初日の学校、まだ頭には包帯が巻いてある、それが目立つのか何のか分からないけどいつも以上に視線が刺さる、頑張って考えた結果、やっぱりケンカの件が大きく響いてるんだろ、あのケンカで怪我したのは俺と相手だけだからな。

下駄箱には手紙が突っ込まれてた、海外旅行から帰って来た時のポストの方がまだ可愛いくらいに、とりあえずビニール袋に突っ込んで教室に行った

「おはよう、ヒノリ」

「カイ?大丈夫?」

あんまり心配して無さそうな顔でヒノリが聞いてきた

「一応ね、昨日無理矢理退院したんだけど」

「ハシャギ過ぎないでね」

それだけ言ってまた本を読みだした、案外マイペースなんだなヒノリって、それ以上にマイペースなコガネは既に爆睡してた、しかも最近はタオルを枕にする事を覚えたらしい、もう少しで枕持参するんじゃねぇの?

俺に群がる友達と話してると川上先生が教室に入って来た、一応うるさくても恩師になっちまったからな、呼び名は担任からクラスアップだ

「四色、退院はまだのハズだろ?何でココにいるんだ?」

「つまんないから抜け出して来た。それと、一応感謝してるから」

それを言うとクラスの視線が集まり驚きの声が飛び交う、俺とコガネと川上先生の口喧嘩は名物になってたらしいからな、俺の感謝発言にビックリするのも分かるような気がする、ってかみんなに見られると照れる、照れると頭に血が昇る、頭に血が昇ると…………

「……………ッ!」

俺は頭を抱えながら机に伏した、感情の起伏で頭が痛くなってたらめんどくさいな、笑うと肋骨が痛むし、俺って案外重傷だったりする?


10分休み、いつも友達と教室で話してるけど俺が早めに退院した理由はそれじゃない、今はチカとツバサの教室の前にいる、男の群れに圧倒された、これをかきわけて入るには肋骨が危ないと判断して隣の教室のベランダから行く事にした、うちの学校は同じ階は全部ベランダで繋がってるから便利なもんだ、隣の教室に入ると女子が騒ぎ始めた、シカトしてそのままチカの教室に入った、チカの周りに群がる男どもを邪魔だから吹っ飛ばしてチカを引きずり出した

「テメェ何するんだよ!?」

「あぁ?自分の彼女を助けて何が悪い」

「カイ!?」

チカはビックリしてる

「四色いつの間に?」

「別にお前に話す義務は無いだろ、それよりか早く散れよ、俺がいないからって調子のってんじゃねぇよ」

軽く声を低くして言った、群れはあっという間に解散して教室は静かに……………、はならなかった、ツバサが騒いだしどこから噂を聞き付けたか女子が集まって来た

「キャー!カイっち王子様みたい、カッコイイ!」

「頼む、少し静かにしてくれない、ツバサの高い声は頭に響く」

「それより何でカイが?」

「それは俺が王子様だから?」

廊下にいた女子がこの言葉に悲鳴にも似た声を出し始めた、これも頭に響くな、でも黙らせる程の声量を出す気力がない

「潤間さんが羨ましい」

「私もあんな風に四色君に抱き締められたいな」

「私は名前呼んでくれるだけで満足よ」

そういえば、俺チカを引っ張り出した時に抱いてたんだ、それは女子も騒ぐわな、女子達の声がうるさいせいでいつもうるさいチャイムが微かしか聞こえなかった

「今鳴ったよな?」

「うん」

「じゃあ帰るから。それと、次の十分休みも来るからな」

「アタシなら大丈夫だよ、それにカイは怪我もあるから安静にしてろよ」

「チカのタメじゃないから、俺がやりたいからやる、チカにそれを止める権利は無いね」

俺はチカを放して今度はちゃんとドアから出ようとした、でも女子がいることをすっかり忘れてた

「ゴメンね、チョット退いてくれない?」

「あっ!はい、すみません」

「それとみんなも早く戻らないと授業に遅刻するよ」

またキャーキャー言いだした、俺なんか変な事言ったか?俺は左耳を左手小指で塞ぎながら自分の教室に帰った。




部活はさすがに休んでチカの部活の見学に行った、相変わらず男達が大騒ぎしてて若干後悔もある、でもチカの部活してるところをまともに見るのは始めてなんだよな、チカもツバサもヒノリも俺には気付いてないらしく声を張り上げて練習してた、何か男子と変わらない気合いだな

「なんや、カイはんもおったんかいな?」

声の主は探さなくても分かるけどコテツだ、コテツは道着を着たままペットボトル片手にやって来た、多分この様子からすると休憩中だろ、コテツもこの姿だと引き締まって見えるな

「部活出来ないし帰るに帰れないから見学、コテツは休憩中?」

「そやで、道場と体育館近いさかいに毎日来とるんや。調度ええ、休憩に入るで。ツバサ!」

コテツが叫び出した、みんなこっちを見てるけどおかまいなしにコテツとツバサは騒いでる、チカは俺がいることに気付いたらしく俺に手を振ってきた、俺も軽く振り返した。



練習が終わって全員が集まった、俺の退院祝いということで遊ぶ事になった、遊ぶって言っても焼き肉屋で大騒ぎするだけだけど、高校生には出費がキツイから食べ放題だけどね。

俺らはとりあえず席について乾杯、当然ジュースでだけどね

「ではみなはん!カイはんの退院を祝って…………」

『乾杯!!』

店内に響き渡るくらいの大声で言ったあとみんなで周りに頭を下げた、コテツはいつの間にかいなくなってて戻って来た時には両手に皿を持ってた、しかも普通焼き肉は肉が綺麗に並べられて出てけるけど、これは山盛りだ

「こっちがカルビで、こっちがハラミや、この店潰す勢いで食うで!」

俺は白米が欲しい気分だったけどこの肉を食べきるタメに我慢した、みんな思い思いに焼いて食べてる、よく動くツバサとコテツは通路側、俺とコガネは壁側、その隣にチカとヒノリという具合だ

「そういえばカイ、何で昨日遅かったんだよ?」

コガネの不意打ちに俺とチカは口に肉をくわえたままフリーズした、本当の事を言ったらヤバい、でも今のテンパった俺の頭で考えるには最適な言い訳が出てこない

「夜遅くって、わいらと別れたのは日が沈む前やったよな?」

「そうなのか?昨日っていうか今日の午前2時に帰って来たぞ」

「チカチカもだよ!ビックリしたけど僕眠かった寝ちゃって聞けなかったんだよね、今思い出した」

ヤバい、ココでぶっちゃける勇気は持ち合わせてない、いつかバレるけど今はその時じゃない

「不純な予感」

「ヒノリ、違うから」

「じゃあ説明してもらいましょか?」

「チカチカ、僕を裏切ったの?」

「言い逃れは良くねぇな」

「カイ…………」

チカが目で訴えてくる、逃げ場はが無い、この場で白状すべきか、それとも押し切るべきか

「チカが泣いてなだめてたら時間がかかっちゃって」

「それで深夜まで?」

「目が真っ赤なチカを帰す訳にはいかないだろ、それにたまには二人の時間を楽しませろよ、コガネとヒノリも楽しんだんだから」

「そうやでお二人はん!昨日はどうやったんや?ちゃんと報告してもらわなあかんで」

馬鹿が一人いて助かったな、コテツとツバサの注目がコガネとヒノリにいったよ、何とか危機回避。


トイレでの事だった、俺が入った後からコガネが入って来た、何をするでも無く洗面台に寄りかかってる

「Cの揉み心地はどうだった?」

「案外良かっ…………、ってヤバ」

「残念でした。カイもついに卒業か」

「頼む!誰にも言わないでおいて!」

頭の上で手を合わせて必死にたのんだ、完璧誘導尋問に引っかかった、コガネにしては考えたのか俺が迂濶だったのかは分からないけど、バレた事は確かだ

「言いふらすタメに聞いたんじゃないから」

「ホントに?」

「当たり前だろ、脅しの種には使わしてもらうけど」

「卑怯者」

「別に使えなくしても良いんだけど、そこは俺の良心なんだけどなぁ?」

クソォ、コガネに秘密を握られた、いつかはバレるけどココまで早くバレるとは、我ながら馬鹿だと思うよ

「どうぞ脅しに使って下さい」

「ハハッ!行くぞカイ」

でも知られたのがツバサとかコテツじゃなくて良かった、ヒノリに知られても何となく怖いな、案外コガネがベストだったりして、でも知られた時点でベストじゃねぇな、ベターだ

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