青の最悪な一日
今日は朝から不幸続きだった、携帯は見付からないしワイシャツのボタンはとれてるし財布を落とすし(財布は後ろにいた奴が拾ってくれたけど)、それらのせいで遅刻、今もそうだ、10分休みでコガネとジュースを買いに行ってるとマッチョな高校生とは思えないような男に呼び停められた、体育館裏につれてかれたから俺を気に入らない奴らの一人だと思った、コガネも着いて来てるから安心だけど
「四色か?」
「そうだけど、何?授業があるから早く帰してくれない」
「……す、好きだ!!」
太い声でそれだけ言って走って逃げた、コガネは後ろで大爆笑してるけど俺は吐き気がするほどだった、マッチョはあっち系の人だったらしい、呆れて動けない俺をまくしたてるようにチャイムがなるし、これでこの授業は遅刻決定だ
「あぁ、もう最悪、俺サボるから」
「なら俺も寝る」
俺らは屋上でサボる事にした。
コガネは屋上について仰向けになって3秒でイビキをしながら爆睡、俺は屋上の柵を乗り越えて足を投げ出しながら下を行き交う車を見る、鬱の時って飛び下りたくなるのかな?俺は今日に限って鬱だ、柵を背持たれにして買ってきたペットボトルの炭酸飲料を一口飲む、そして一息ついた時に扉が勢いよく開いて担任が出てくる、物凄い音が鳴ったのに起きないのがコガネの凄いところ
「四色!こっちに来い」
「やっぱり最悪だ」
俺は乗り越えて内側に降りる、何故か担任は怒ってるようには見えない、ってか最近怒られたためしがない
「危ないから内側にいろ」
そういうと帰ろうとする、あまりに教師らしからぬ行動に何故か俺は担任を止めてた
「それで終り?最近キレないじゃん」
「どうせお前に怒鳴ったところで簡単に言い返されて終りだ、それに問題を起こさなきゃそれで良い、二人とも飛び抜けて馬鹿って訳でも無いからな」
「ありがとう」
ビックリして間抜けな声が出てきた、担任は扉を閉めて消えた、ってか呆れられたのか俺ら?嫌じゃないけど良くも無いな、心おきなく騒げるのは確かだけど、最近は担任もいきなり怒鳴ってくる事は無くなった、何かしでかしても理由を聞いてからキレるなりする、丸くなったのかな?
そのまま昼休みに突入して俺らは一旦教室に弁当を取りに行ってから屋上に行った、最近は男三人と女三人が交互に飲み物を買いに行ってる、俺はこの最悪の一日を何とか乗り切るタメにゼリーを買いに行く事にした
「ゼリー買ってくる」
「電話すればいいじゃん」
「迷惑だから自分で行くよ」
「あっそ、いってらっしゃい」
俺は屋上を出てそのまま階段で一階まで降りて反対側の校舎にある購買に行った、人が退いた後だったから戦争をせずに済んだ、奇跡的に一つだけ残ってたサイダー味のゼリーを買って帰ろうとした時だった、体育館の方に不良に腕を引っ張られてるツバサを見つけた、明らかに尋常じゃない二人に俺はその場にゼリーを置いて走って行った
「辞めてよ!嫌だ!」
「ツバサ、どうした?」
「カイっち!」
「ゲッ、お前!」
不良は走って逃げようとしたけど襟元を掴んでそのまま仰向けに倒して馬乗りになった、ツバサは泣きながら乱れた服を直してる
「ツバサ、何があった?」
「チカチカとヒノノが怖い先輩に連れてかれちゃった」
俺は不良に目をやったままツバサに質問した、とことんまで今日は最悪な日らしい、これはマジでシャレになんないな
「おい、チカとヒノリは何処だ?言わなかったら殺すぞ」
「た、体育館倉庫だよ。言ったから離してくれよ、何もしないから」
「誰が教えたら放すって言った?おやすみ」
顔面を殴ると後頭部が地面に当たり気絶した、白眼をむいて口から泡を吹きながら、俺は立ち上がってツバサの前まで行く
「コガネとコテツを呼んで来い、火急的速やかに、分かったか」
「でもカイっちは?」
「いいから行く!」
俺はツバサを180度回転させて背中を押した、ツバサは渋々走って屋上に行った、正直ツバサの前で怒りを抑えるのはきつかったな、体育館倉庫だっけか?かなりヤバいな。
俺は体育館倉庫まで来た、中からはチカの悲鳴が聞こえた、完全に頭に血が昇って頭が回らない、でも体が勝手に動いて扉を勢いよく開けてた、中には6人の柄の悪い不良が笑ってた、一人はチカのブラウスのボタンを外そうと手をかけてた、ヒノリは多少乱れてるけど何もされてないらしい
「こんにちは」
『カイ!』
「またテメェか、まぁ良い、一人で来るとは馬鹿な奴だな」
『ハハハハ!』
チカに触れてる奴が言うと周りは大笑いしてる、コイツが頭らしい、チカと目が合って俺は殺意が芽生えた、コイツらチカを泣かせやがった
「いやぁ、コガネとかがいたらお前らが可哀想だから、病院送りで済めばラッキーかな?だから今のうちに逃げれば、これが最終勧告ね」
「お前頭おかしいだろ!?この状況を見ろよ、なぁ、お前ら、ブファ!」
リーダーが言い終わる前に顔面を蹴りとばす、チカから離すためだからあんまり力を入れてない、不良グループとチカとヒノリの間に俺が入る、相手を挑発する余裕はあっても二人を逃がす算段までは頭が回らない
「大丈夫か?服直せ」
「カイ、ありがとう!ダメかと思った」
「おい!お前ら、感動の再開してる場合じゃないだろ、ピンチには変わりないぞ」
確かに、これだけの相手をチカとヒノリを守りながら喧嘩するのはさすがにキツイな、コガネ達を信じるか
「うるせぇなごちゃごちゃと!怖くて手も出せねぇのかよチキンども!」
「調子乗りやがって!」
一人が走って近くあったほうきで殴ろうとしたけど顔面ストレートで殴った、鼻血だしながら倒れる、周りは完全にキレたらしく一斉に殴りかかって来た、一人目はボディーに一発いれて終りだったけど二人目に脇腹を蹴られた、でもあんまり痛くないや、そのまま肩の辺りを蹴り飛ばすと頭から床に突っ込んで気絶した、その後の隙が大きすぎで後ろから掴まれる、一人が俺の腹を殴る
「グッ!」
俺を押さえてる奴は力が強くて俺じゃ投げれない、もしかして絶体絶命ってやつ?
「さっきはよくも蹴ってくれたな!」
鼻血を出したリーダーが俺の顔を殴る、受け身をとれないと痛いな、口の中が切れたし
「プッ!」
血の混ざった唾をリーダーの顔にかけるとリーダーは顔を赤くして後ろを向いた、何か他の奴と揉めてる
「さすがにそれはヤバいだろ、死んじまうぞ」
「うるせぇ!殺すんだよ!」
物騒な会話をして振り返るとリーダーの手には金属バットが握られてた、マジかよ、後ろではチカとヒノリが泣く声が聞こえるし、頼むから早く来てくれよ
「死ねよ!」
リーダーは俺の頭を金属バットで殴って来た、それと同時に俺は解放されたらしい、多分床に倒れたんだと思う、意識が飛びそうだ、コガネとコテツが入って来たのは理解出来た、目の前が自分の血で真っ赤になって音は何も聞こえない、今俺に残ってるのは視覚だけだ、痛みも感じない、ヤバい、意識が………………




