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銀と着物

一学期も終わって夏休みって喜びたいんだけど、運動部は大会があるから夏休みも無いに等しい、まぁ負ければ良いんだけど。

コテツは怪我が治りきらないらしいから今回は出ないらしい。

チカ達は大会だけど弱いから地区大会突破も危ういくらい、だから夏休みはそれなりにあるらしい。

問題は俺らだ、適当なところで負けないと夏休みが無くなる、部員達もずば抜けてヤル気のある奴はいないかなりのグダクダ部だ、だから都大会には行かないらしい

「コガネはどう思う?」

「大会の事?楽で良いじゃん」

「まぁみんなそんなもんか」

ちなみに真面目な奴の言い訳は、女の子が沢山来て他の学校に迷惑になるかららしい、それも一理あるな、この学校の女の子のエネルギーは他校に迷惑をかける。



学校帰り、いつものようにチカと二人で帰ってた、夏休みの計画をたてながら

「チカも明日から大会だろ?」

「うん、初戦から優勝候補、だから夏休みは楽できるんだ」

部活に全てをかけてる奴には可哀想だな、でも諦めがついて良いよな、俺達もそんなだったら良いのに

「カイ達は?」

「本気を出せば県大会入賞出来るけど、サッカー部って彼女持ちが多いし、ヤル気無いから2回戦敗退で決定した」

「どんなだよ、まぁサッカー部は一番ヤル気無いもんね」

そう、練習もひたすらゲーム、しかも流して、みんなテクニックはあるけどヤル気を出さないから弱い、俺にとっては最高の部活なんだけど

「なら夏休み家でバイトしない?」

「良いよ」

「今回はツバサとヒノリも誘っといたから」

「ホントに?楽しくなりそうだな。しかもそのメンツならコガネとコテツも来るだろうな、一応誘っとくよ」

「浴衣持参でね」

夏祭りか、浴衣買わないとな、流石にユキのお下がりは無しだな、チカと買いに行くか。



サッカー部地区大会第二回戦、3−0で負けてる、ロスタイム残り2分、敗退決定のこの流れのなかで普通の青春蹴球児なら落ち込むところだがうちは違う、みんな満面の笑でグダクダな試合を展開してる。

終了すると優勝したんじゃないかくらしの盛り上がりかた、3年の人は引退なのに異様にテンションが高い

「よっしゃー!終わった!みんなで打ち上げに行くぞ!焼き肉だ焼き肉」

撤収速度も尋常じゃない、みんな走って行ったけど俺とコガネは近くの体育館に行った、チカ達とそこで待ち合わせをしてるからだ。


体育館の客席にはコテツがいた、怪我で大会を辞退したとは思えない勢いで応援してる、周りにいる観客がドン引きするくらい

「カイはんにコガネはんやないか、もうそろそろ終わるで」

バレー部の試合は遅めにあるからなんとか最終セットは見れた、スコアボードを見るとわりと接戦だった(負けてるけど)

「皆はん大活躍やで、得点は相手のミス以外は全部3人が入れたんやで」

「へぇ、やるじゃん」

「そちらはんどうやった?」

『惨敗!』

Vサインで誇らしげにハモるとコテツが腹を抱えてころげながら笑ってる、コテツの周りを気にしない行動の数々には脱帽だよ

「なら夏休みは遊べる言うことやな?」

「そのことだけどさ、チカの家の民宿でバイトしない?」

「楽しそうじゃん、俺行く」

「わいもわいも!」

「で、夏祭りがあるから浴衣なり甚平なり持参ね。お祭りは格好からでしょ」

コガネが何かを思い立ったかのように口を開いた、ってか試合そっちのけだな

「ヒノんちで浴衣作って貰えるかもよ」

「ホントに?」

「あぁ、何回か作って貰った事あるから、ヒノんち着物屋で割と安くしてもらった」

「ほな決定やな、これからみんなで行くで」そんな事を話してる間に試合が終わったらしい、負けたけど異様にテンションの高い3人、ってかみんな試合やった後なのに元気だよな。


解散して客席で待ってる俺達の所に来た、ツバサは走ってコテツに飛び付いた、コガネはタオルをヒノリに手渡した、俺はスポーツドリンクをチカに渡した

「ありがとう」

「あ、間接キス」

「ブッ!」

女の子らしらぬ勢いで吹き出した、ケラケラ笑ってると強烈なボディが入ってTKO

「最低」

「……冗談だよ」

「ほな行こか」

コテツが行こうとしたけどチカ達には理解出来てないらしい、そりゃそうだよ、俺らの中で話した事なんだから。

コガネが説明してやっと理解したらしい、流石にテレパシーがついてないから分からないよコテツ

「そうなのヒノノ!?」

ヒノリが無言で頷く

「じゃあヒノリの家に行こう!」



ヒノリの家は表は着物屋、裏は家、全体的に純和風で落ち着きがある、庭は日本庭園だなこれは。

俺達は裏から入って、居間に通された、家の中には高そうな壺やら掛軸やらいろいろあった

「ちょっと待ってて、見習い呼んでくるから」

見習い?別に文句は言わないけどあえて言うことか、言わなきゃ良いことだろ

「コガネ、見習いって?」

「多分兄貴の事だろ、男はどんどん継いでるらしいから」

そういう事か、でも見習いだろ、言っちゃ悪いけど作れるのかな、見習いだろ

「カイ、見習いだからって甘くみるな、この家は店主以外は全員見習い扱い、兄貴は他に行けば店主レベルだって言ってたぞ」

そうなんだ、安く作ってくれるらしいから文句は言えないし、着れれば良いんだよ。


暫く待ってるとヒノリと着物を着た男の人が来た、ボサボサで眠そうな顔をしててなんだか頼りないな

「ヒノリ、この人達?」

無言で頷く、ヒノリのお兄さんはメジャーを持ってきて、順番に計り始めた、あっという間に終わった、ビックリするくらいに早く、紙に全部書いて営業っぽく進めた

「じゃあ甚平タイプが良い人、手あげて」

コテツとコガネが手をあげた、俺は浴衣派なもので、おもむろにツバサが立ち上がってお兄さんに耳打ちした

「出来ます?」

「楽しそうだね、喜んでやらしてもらうよ」

何んて言ったのかは何回聞いても教えてくれなかった、その後生地を選んで終わった、妹の友達だから一週間くらいで作ってくれるらしい、完全オーダーメイドだから楽しみ倍増ってか。


チカはどんな物にしたんだろ、みんなお楽しみになってるからな

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