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金の想い

キャンプの騒動からの休み明けでツバサもコテツもちゃんと登校してきた、コテツは松葉杖をつきながらだけどいつも以上に元気だった、その理由はあの後からコテツとツバサは付き合う事になったらしい、当然と言っちゃ当然だな、この噂は俺の耳に届くくらいだからかなりの大事らしい

「コテツとツバサ君の、大変な事になってるな」

「あぁ、コガネも遅れをとるなよ」

「な、何が?」笑ってながしたけどこの二人が一番下積みが長いからな、ある意味一番の問題児だ、チカとツバサもヒノリにかけあってるらしいけど回答は同じようなものらしい、危機感が足りないんだよな、でもヒノリもコガネ以外と付き合う気が無いからコガネも余裕ぶっこいてるんだろうな、でも仕掛けたらそいつがボコボコにされるだろうな、厄介な案件ですなぁ。


昼休みはいつも通り6人で屋上にて弁当を食ってる、違うところはコテツとツバサが前より親密な事だ、イチャイチャとまではいかないけど見ててこっちが恥ずかしくなるくらいだ

「コテツ、これ僕が作ったんだぞ」

「ごっつぅ美味いで」

「ホントに!?」

「ホンマや」

こんな感じで普通のカップルだ、まぁあんなことされたら誰でも惚れるよな、ツバサも良い彼氏を持ったな

「何や皆はん、箸止まっとるで?」

「あ、ゴメン、コテツとツバサに呆れてて」

一同頷く、俺とチカもここまではしてこなかったけど、この二人は限度を知らなそうだな、周りにストッパーがいないとその内ひかれて友達がいなくなるぞ

「ええやないか、付きおうとるんやから」

「まぁそうだけど」

「オープン過ぎないか?」

「コガネはんまでそないな事を、ツバサも何か言ってやりぃ」

「多分みんな僕達にひがんでるんだよ」

『お前ら向こう行ってやれ!』

スゲェ、あまりの事にテレパシーばりの荒業をやっちまった、ってかヒノリもこの言葉が出てきた事にビックリだよ、まぁ誰でも言いたくなるよ、死語で言うと《バカップル》ってな、何か最高で最悪のペアだな

「チカチカまで、大丈夫だよチカチカ、捨てたりしないから」

「いや捨てて」

「酷い!チカチカ、あの熱い夜は遊びだったの!?枕元で呟いてくれたあの言葉も全部偽りの愛だったの!?」

ヨダレ垂らしながら言われても妄想としか受け取れないんですけど、それに前に教師で同じような事を言った奴がいたな

「わい相手まちごうてもうた気がしてきた」

「いやピッタリだよ」

「それよりカイ!助けて!」

ツバサに襲われてるチカがいた、ツバサがついに妄想の世界から飛び出してきた、しかも顔が痴漢の顔だよ、彼氏が出来て拍車がかかった?

「もう終りや」

見かねたコテツがツバサをUFOキャッチャーみたいに軽々と持ち上げた、案外怪力なんだな、しかも松葉杖なのに器用な事だ、そして周りからは称賛と賛美の声が

「コテツ、やきもちやいてる?」

「アホか」

「大丈夫だよ、本番は夜だから」

「なんでやねん!皆はん誤解せんといてな、まだ大人の階段に足すら掛けてないで」

分かるよ、ってかコテツがやっとまともな思考を取り戻してくれた、ツバサが暴走してれば必然的にコテツがストッパーに回るんだ。

コガネの恋はいつ実んだろ、手を伸ばせば掴める所にあるのに取ろうとしない、俺にはそれが理解出来ないんだよな。


部活が終わってチカ達は先に帰ったらしく男3人で帰ってた、心なしかコテツが沈んでたけど、そりゃそうだよな一緒に帰ろうと思ったら帰ってるんだもん

「コテツ、気にするな」

「そやかてあんまりでんがな、始めてでこれやで」

「そんなこともあるさ、それより今日家に来ない?」

コガネが自分の家に誘うなんて始めてだな、一人暮らしだからいつでも押し掛ける事は出来るけど、チカと帰ってたから機会が無かったんだよな

「じゃあコガネんち食材ある?」

「無い」

速答ありがとう、まぁあることを期待してないけどな、なら俺の出番だな、久しぶりに家以外で飯を作るな

「今日は俺が飯作るよ」

「ホンマかいな!?カイはん料理出来るん?」

「そうかコテツはカイの飯食った事無いんだよな、半端無い美味さだぞ」

「楽しみやなぁ」

そうかコテツは知らないんだよな、俺の飯を食えば怪我の一つや二つ治るさ、何てこたぁ無い、一人で突っ込むのって切ないな

「食いたいのある?」

「ラーメン」

「殴るよ」

「わいはパスタやな」

「どんなのがお好みで?」

「俺はカルボナーラ」

「わいもそれで」

本日の夕飯はカルボナーラで。


食材も全部買ってコガネ宅に着いた、普通っていうか割とオシャレなマンションだ、色々気になる事があるけど後でで良いか、でもこのマンション、高校生がバイトして住めるような所じゃないしコガネにバイトする余裕も無さそうだし。

部屋の中は綺麗に整理されてた1DK、銀色を基調とした家具がオシャレを際立たせてる、月収30万貰ってます、って言っても疑わないくらいの部屋だった

「じゃあ作るから待ってて」

「手伝おうか?」

「大丈夫」

料理はライフワークだし特技だから一人の世界に入ることがしばしば、だからいつの間にか一時間経ってたとかは日常茶飯事、カルボナーラなら俺流で20分くらいで出来る、男3人の部活後だから量が普通じゃない、軽く5人分くらいあるな、そんなこんなで完成、名付けて《カイ流カルボナーラSP》

「出来たよ」

「待ってました!」

「美味そうじゃん」

「美味そうじゃないから、美味いんだよ」

「わいは食にはうるさいで」

「食ってから言え」

各々食べ始めた、コテツは大きな口を開けて大きな一口で食べた、そしてフリーズ、それを見てコガネが一口

『うまっ!!』

「何やこれ!?めちゃめちゃ美味いやんけ」

「美味すぎだろ」

「当然、どうだコテツ?」

「今までの人生の中で一番や」

やっぱりいつ聞いてもこの一言は興奮するな、料理人にでもなっちゃおうかな

「何でこない料理が上手いん?」

「それは…」


俺は色々経緯を話した、別に隠す気は無いし聞かれたら答えるつもりだったし、でも何かテンション下がったな

「別に気にしなくても良いよ」

「そやけど」

「……似てる」

コガネがボ〜っとしながら言った、過去の事かな?

「俺も親に捨てられたも同然なんだよな」

「どういうこと?」

「俺の親父は代議士なんだよね。中二からこんな服装なんだよな、当然趣味だからな、そこら辺の不良とかと一緒にするな。でも親父は気に入らないらしくて中三からは家を追い出されて一人暮らし、最初はコンビニ弁当だったけどヒノリとかが作りに来てくれたし、簡単な料理なら覚えた。今は親には関わらない契約で仕送をしてもらって生活してる」

辛いんだな、中三っていったらまだガキだしヒノリも毎日来れる訳じゃない、俺何かはまだ楽な方なのかな、で、中盤辺りから泣き始めたコテツ、飯を食いながら泣いてるよ

「辛い思いしたんやなぁ」

「いや、俺的には俺の人生より今のコテツの方が同情を誘うよ」

大いに同意、まぁコガネは自分を確り持ってたからこれまでやってこれたんだろうな、一人暮らしなんて簡単に出来るもんじゃないもんな

「それでヒノリに惚れたと」

「ゴホッ、ゲホッ、ゴホッ」

カルボナーラを喉に詰まらしたらしい、色白な顔を真っ赤にしてる、照れか苦しみか分からないけど、でも恐らくは図星だろ

「そやなぁ、弱い時に優しくされると誰でもなびくさいに」

「ち、違うから」

「じゃあその前から?」

コガネの顔がどんどん赤くなってく、本当にこういうのはダメらしいな、でもコガネをイジって楽しんでる俺らも俺らだけどな

『さぁ、どっち?』

「コテツ」

「わいの勝ちや!カルボナーラちょいと貰うで」

「おい!」

負けたぁ、ってかそれがメインじゃないんだよな、本題に移らないとこのまま流れる可能性大だよ

「それで、初恋?」

顔が溶け出すくらいの赤さで頷いた、世のコガネファンにこの顔を見せたら大変な事になるだろうな、多分ファン3割増とみた

「ヒノリはんの母性本能言うやっちゃな」

「よく手を出さなかったな」

「当たり前だ!ってか出せるような……」

「勇気はないと、でも一緒にいて欲しいくらいは言えるだろ」

男には敵無しだけど、ヒノリとなると小動物みたいに小さくなるな、いつもみたいに堂々としてないしクールさも見当たらない

「ちょっと…」

「無理やないやろ、それに誰かに盗られてまうかもしれへんのやぞ?」

「怖いんだ」

やっとコガネが本心を語始めたよ、ただのチキンなら色々矛盾が生じるし話すのもままならないだろ、でも半分頼りにしてるって事は他の何かがある

「今の関係でも心地いいんだ、だから自分の気持ちが通じなかった時が怖い、壊れるくらいなら今のままで良い、そう思っちまうんだよ」

「そっかぁ、それなら無理に背中を押すのはプラスにはならないな」

「そやかて一歩やぞ、あと一歩で答えが出るところまで来とるのに、何で手を伸ばせへんのや?」

「コテツにやっと手に入れた安息が分かるのかよ?」

コガネの目が変わった、今までの逃げるような目じゃなくて悔しさや憤りの目だ

「親には見捨てられて、世間には白い目で見られて、やっと手に入れた安息を壊したくない、その思いがコテツには分かるか?」

コテツも俺も言葉が出なかった、多分コガネはハーフとかピアスとか服装で色々言われてきたんだと思う、でもヒノリだけが認めてくれた、だから好きだけどその事を言ったら唯一無二まで失うかもしれない、そんな辛い思いと戦ってたんだろうな

「分かった、わいもその恋応援するで、わいらは親友兼先輩や、何でも聞きぃ」

「先輩?」

「恋のや」

「俺らが何でも相談にのってやる、だから親友も頼れ、な?」

笑って全員の拳を合わした、いつ実か分からない恋を応援する、苦悩を別けあう覚悟と、友情を分かち合う覚悟、二つの思いを胸に秘めて

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