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銀とかき氷

森の爽やかな風、朝の全てに力を与えるような日差し、川の流れる涼しい音、でもこれだけの条件が揃っても一人の馬鹿のせいで最悪な目覚めになった

「朝だ!お前ら起きろ!」

担任だ、周りのどんな自然をも無にするコイツのモーニングコールほど気分の悪いものはない

「7時30分から飯だ!昨日の食堂に来い!」

でも担任のうるさい声で地に堕ちた気分を薙払ってくれるのもこの自然だ

「あんな起こされかたしたのに気分良いな」

「自然が気持ち良い、それだけで十分だろ」

「意外だな」

俺はいつも寝る時とか家にいる時はカチューシャをしてる、今もそうだ、今日はめんどくさいからこのままでいこ。


食堂に行くと今回はヒノリと矢野が先に座ってた、二人とも眠そうな目をしてる

「おはよ」

「カイ君、カチューシャ?」

「あぁ、髪が邪魔だから」

「なら切れよ」

笑ってながした、何となくこの長い髪が気に入ってるからな、矢野は相変わらずボサボサだし、ホントにもったいないんだよな。

実行委員長が前に出てまた何か話し始めた、みんな眠いのに無駄にシャキッとしてた

「朝食の後はオリエンテーションがあります、なので8時30分に正面玄関に集合です」

オリエンテーションか、何があるんだろ

「コガネ、オリエンテーションなにやるか知ってる?」

「知らねぇ」

「ヒノリと矢野は?」

「近くにフリークライミングができる所があるからそこでフリークライミングやって、かきごおりの早食いやって、宝探しやって総合得点で宿題の有無を決めるらしいよ。フリークライミングと早食いは代表一人だって」

「ホントかよ、矢野?」

前回があるからな、でもそれが本当なら一つは確実に断トツトップだな

「本当、私が保証する」

「ならフリークライミングは俺がやる」

みんなが目を丸くしてる、俺が積極的だから?それともフリークライミングなんて選んだから?

「出来るのかよ」

「乞うご期待」

「じゃあ早食いはヒノだな」

無言で頷いた、ってかコガネがやれば良いじゃん、人に任せないで

「何でヒノリなの?」

「ヒノは冷たいものに鈍感だから、小さい頃からアイスとかかきごおりとかの早食いで勝った事ないから」

意外な一面、これなら宿題免除も夢じゃないな、俺達って地味に最強グループだったりして、宝探しは力いれなくても大丈夫だろ、それにフリークライミングか、久しぶりにやるな、鈍っては無いと思うけど全盛期にくらべたら大した事無いだろうな、まぁ負ける気はしないけど

「学年単位でやるの?」

「クラスだって」


只今の時間は8時35分、場所は泊まった部屋、そう遅刻だ、コガネの馬鹿がピアスを一つ無くしたらしい、しかもそれがヒノリから貰った物らしい

「コガネ、心当たり無いのかよ?」

「あったら苦労しねぇ」

確かに、でもこのままだと説教直行便の高速運転だよ、学年全員に見られながら説教ってのは流石にイタイぞ、って……

「コガネストップ!」

コガネがピタッと止まった

「何だよ?」

「……ほれ」

「おぉ!!」

コガネの別のピアスに引っ掛かってた、これはいくら足下さがしても見つかるわけないな

「見つかったなら早く行くぞ!」


着いたころには案の定全員が整列して担任が完璧にキレてた、一学年全員の視線を全て集めるというオプション付きの説教が開始されたのは言うまでもない

「お前らはホントに集団行動が出来ないな!いつもいつも自分勝手な行動ばかりだ……」


2分経過

「だからだな……」

「先生皆が待ってるんですよね?なら早く俺らの説教を終らせないと時間無くなりますよ」

「お前ら……」

「俺らが悪いのは分かってます、でも更に俺らのせいで皆を待たせるのは不本意ですし、今回は皆の前で謝りますんで次回また説教お願いします」

そう言って無理矢理向き直してコガネとアイコンタクトをとって

『すみませんでした!!』

そう叫んで班に戻った、担任を丸っきりシカトして、にしても殴られなかったのが不思議なくらいだよ、俺もコガネも殴られる気満々だったのに。

戻ると心配そうなヒノリがいた

「ゴメン、ヒノリ」

「何で遅れたの?」

「ヒノに貰ったピアスが見付からなかった」

「他のピアスに引っ掛かってたけどな」

二人で大笑いしてると担任が怒鳴ってきた、少しトーンを下げて話しを続行した

「ならまた買ったのに」

「ダメだ、始めてヒノに買って貰ったものだから」

コガネって思い出とか大事にするタイプなんだ、色々ピアスのパターンを変えてたけどこれだけいつも同じ位置にあったのはその理由か。


最初のオリエンテーションはフリークライミングだ、案外近くに、しかも公共としてあった事にビックリした、教えてくれれば抜け出して行ったのに、壁は一般的なものと同じ高さだ、皆が口々に高いだの怖いだの言ってるけど見慣れてて実感が湧かない

「カイ大丈夫か?」

「大丈夫だよ、なんならコガネやる?」

「いや俺は高所恐怖症だから」

かなり意外だな、怖いもの何て無いと思ったのに

「ならヒノリ、今度皆で遊園地でも行くか」

ヒノリがクスクス笑ってる、あんまり笑わないってか始めて笑うところを見たかも

「俺は行かねぇ」

「冗談だよ、冗談」

「コガネは中学校の時私とジェットコースターに乗って泣いちゃったもんね」

「おい!ヒノ」

皆で大爆笑してるとまたあのうるさい声が響いて来た

「春日班!出てこい!」

うるせぇ声だな、いちいち騒がなくても聞こえるつぅの、しょうがないから小走りで前に出た、聞いた話しによるとタイムアタック制で暫定トップは1分37秒らしい、素人にしゃまぁまぁの記録だな、でも玄人の力の前ではノミ同然の記録だな

「始めるぞ!スタート!」

始まると同時に俺を除いて全員壁に飛び付いた、俺はとりあえず見学、足や手を滑らせる者、下をみて怖じ気付く者、やっぱりだめだな

「どうした?怖じ気付いたか?」

担任が嫌味ったらしく行って来た、しょうがないから登ってやるけど、ビックリしすぎてハゲるなよ

「行っきま〜す!」

登ってみると簡単だな、一年近く人工の壁を登って無かったから楽に感じる、天然のはテクニックがいるから島にいた時に自然とレベルアップしたんだな、ってかもう終りか、ジムにいた時は片手でぶら下がって正面の窓から外を見てたけど、今は大自然を堪能してる、最高に気持良いな

「か、春日班、36秒!!」

そんなもんか、下にいすぎたな、実際は20秒マイナスってところだな、しかも皆の視線はさっきと違って気持良い、良い意味で目立ってる。

降りると大騒ぎだった、ってかまだ登ってる奴いるし

「怪物だ」

「四色はイケメンだしスポーツ万能だし、勝てる気がしねぇ」

「キャー!四色君カッコイイ!」

怪物は酷いだろ、せめて超人止まりにしてくれよ、班に戻るとコガネの間抜け面があった

「カイ、何で?」

何となく文章がおかしいけど、普通フリークライミングやってる奴なんていないし、認知度も低いからしょうがないか

「経験者だから」

「ルール違反だろ」

「そんなルールないから」

班に戻っても視線が刺さる、この髪のせいでいつも目立ってたけど今回は違うな。

次はこの場で早食いだ、これもタイムアタック制で2つを食べ終ったタイムで測定、1つだと簡単だから2つらしい、拷問だなこれは

「ヒノリ大丈夫か?」

自信あり気に頷く、コガネからの推薦だし大丈夫かな、それにあんな自信満々のヒノリの顔を見ればな

「春日班、出てこい」

「ヒノリ頑張れ!」

「ヒノ、見せ付けてやれ」

「頑張って春日さん」

みんなからの声援を受けながら出ていった、各班何か根性ありそうな男子ばっかりだ、しかもかき氷は大盛りだ

「あの、イチゴシロップありますか?」

ヒノリ、その余裕は何処から来るんだよ、それにヒノリの人気を実感させる男の声援

「春日さん頑張れ!」

「おい!一つにしてやれよ!」

そうだそうだ、もっと言ってやれ、これでハンデがつけばもうけもんだよ

「では始めます。スタート」

難なくスルーして始まった、皆ガツガツ食って頭を抱えてるけど、ヒノリは掻き込むまではいかないけどかなり食うのが速い、10秒足らずで一つ食べ終った

「速」

「しかも楽しんでるんだよな、ヒノは」


スゲェ、男子が一つ食べ終る前に完食したよ

「あのぉ、もう一つ貰えませんか?」

大食い女王かよ、しかも三つ目は楽しんでゆっくり食べてるよ

「何あれ?」

「冷たいもの大好きだから」

何か周りの男子が惨めだな、戻って来てもいつになく上機嫌だった、そういえば頭が痛くなった雰囲気がないな

「頭痛くないの?」

「全然、それにかき氷美味しかった、もう一つ貰っとけば良かった」

大食いチャンピオンここにあらわる、あれだけのかき氷なら一つで十分だけどそれを三つも食べてるからな。


ヒノリは目の色も、冷たい物への耐久性も氷のお姫様並か

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