今日のお仕事
今回はラグナのお仕事の詳細を、ちょっと。
まあ、ちょっとって言っても一話分全部ですけどねwww
はい、すんません。ちゃんとグダらないようにします。
どうやら神様は俺に休日を与えるつもりはないらしい。
商業連盟ギルド北端、我らがホームで依頼を選別しながら心の中で愚痴る。
鯨飲はもちろんこの小娘。アリスちゃんだ。なんとこのこむs・・もとい、アリスは俺の助手らしい。びっくりだね。当日は驚きすぎてずっとローテンションだったぜ。
それが4日立てば慣れたもんだ。慣れって怖いね。
さて、本題だ、神様。
なにもない空間を睨み続け心の中でひたすら愚痴る。周りの目?気にしねぇよ。俺は強い子なんだ気にしねえよ。・・・気にしねえよ・・
なぁ、神よ。無休って・・・どうよ?おかしくね?4日連続だよ?いや、確かにね?簡単な仕事ばっかだけどね?主におつかいとか?楽勝ですけど?
・・・だけどもっ!だけどもこう・・便利屋ってのはこう・・・なんか・・もっと自由でいいと思うんだ。こんなに次から次から依頼依頼依頼・・・やってられっかっ!!
「やってられっかっ!!」
「きゃわっ」
うわまずい声出ちゃった。大きい声がでちゃった。めっちゃびびってるめっちゃびびってる。どうしよう。
「あの・・・」
ビクッ
やばい、アリスさん泣きそう。依頼を選別する手が完全に硬直してる。
「すんませんまじすんません。もう大声出しません、驚かせません・・・ほらリンゴあるよー」
「・・・・・」
無言でリンゴを受け取ったアリスは少しむくれながらリンゴをかじりだした。
ふっ・・勝った・・・
アリスと出会ってからまだ4日。
わからないことだらけだが少しわかったことがある。
第一、アリスは、不意打ちに弱い。ひじょーに弱い。後ろから肩に触ったら3秒硬直した。悪気はなかった。すまんアリス。
第二、泣くと急にふてくされる。泣いてんのに泣いてないとか言う。まじ意味わからん。んで泣くと、大声で泣きわめきはしないが黙る。ひたすら黙る。怒っているのか、恥ずかしいからなのか、泣きすぎて喋れないのかさっぱりわからん。そして、「黙りっぱなし→なんか怖い」の方程式が成立。よって、ぼくは、ありすさんを、泣かせたくは、ないのです。
機嫌を直したアリスがまた依頼を漁り始める。
・・・やっぱやるんすか・・仕事・・・
ちなみに俺に依頼の選択権はないらしい。まあ、拒否権はあるからまだいい方か。
よし、暇だし俺が今いるちょいと小さめの2階建て一軒家とついでに俺の仕事の説明をしておくか。
ここは自宅兼依頼受注所。1階が依頼の受付場所で2階が生活空間だ。ただし、そんなに広くはない。かろうじて風呂がついているくらいの質素な家だ。まあ、もらいもんだから文句は言えないけど。せめてあと一部屋は欲しかった。
店の名前は「ストレイドショップ」――迷子のお店っていう意味。うわっなんかこういうの言うの恥ずかしいな――基本、何でも屋だ。お使いから害獣討伐までなんでもどうぞっていうスタンスで仕事をやってる。依頼方法は直接依頼するのも良し、依頼文を専用の箱に入れるだけでも良し、報酬もお金以外でも受け付けます。今までの最低の報酬は肩たたき券3枚。どうしろってんだこの3枚。
ちなみに、今回のように表には出せないような依頼も別窓口で受け付けてる。まだ、名は知られていないのでそんなにしょっちゅうは来ない。当然、これはやってはいけないことだ。見つかれば牢獄行きか最悪、殺される。場所は主に酒場「ワンダフルボディ」。あそこのマスターはそういう類の依頼の仲介人もやっている。これも、まあ、仕事だ。だから正確な俺の仕事のスタンスはお使いから人殺しまで、か。
とまあ、裏事情を抜いたバージョンの説明をアリスにもここに着いたときにした。
おや?どうやらアリスさんはリンゴの買い出しをやりたいらしい。当然、却下。報酬あめ玉3つって・・・いやじゃん。ぼくは、もっと実のなる労働が、したいです。
「むぅ~、じゃあラグナさんこれやりましょう」
と言ってアリスが俺に見せたものは・・・
「害獣討伐・・か」
いいもの選ぶじゃないか。うんうん。近場だし、報酬もいい。あとでリンゴあげよう。
「んじゃ、これにしますか。ではでは早速行きますよ、お嬢さん」
よっこらせ。と椅子から立ち上がり扉に向かう。
「はいはい~♪」
アリスもついてくる。さて、本日の初仕事だ。
荒れ果てた荒野。かつて農場だったそこは今や獣の徘徊する自然の一部になってしまっていた。
数十年かけて大事に使われてきたであろう場所は飢えた獣たちによって無残な姿になっていた。
そんな場所に到着した青年は少し考え事をしていた。
――――アリスって戦えんの?てか家で待たせてればよかったんじゃね?ノリで連れてきちゃったけど。
いままで戦闘を行う仕事はしてなかった。もし、戦えなかったら完全にお荷物アリスちゃんだ。
「なあ、アリス。アリスは魔法が使えるんだよな?」
とりあえずは確認。魔法が使えるってこれはかなりのアドバンテージだ。理由、俺が使えないから。
「はい、使えますよ。・・・でも、あのそんなにいっぱいは使えないですけど・・・」
「使えるのか。よかったよかった。まあ、使える量は気にするな。俺は魔法は使えないんで、支援お願いな」
「ラグナさんって魔法使えないんですか?」
「そりゃあ、もう」
「・・え、ぇ~っと・・それじゃラグナさんはどうやって戦うんです?剣とか・・・持ってきてるようにはみえないですけど・・・」
「まあ、任せとけって」
ちょいと笑いつつコートの下に手を入れる。
じっと前を見つめながら。
――――さあさあ、獲物のご登場だ。
次回はやっと戦闘です。
長かったですね。
かっこよく戦闘を演出できるか不安です・・・