【第六話】
ついに六話です。
どうぞゆっくりと見てって下さい。
ふと気付けば周りは真っ暗。
デジャヴ?
なぜここにいるのだろう。
わからない。
そんなことを考えていると…
ピリリリリ。
ピリリリリ。
ポケットから携帯を取り出す。
ディスプレイには坂本芳佳と書いてあった。
ショウ:
はい、もしもし。
ヨシカ:
………………
返事はない。
もう一度。
ショウ:
もしもし?
ヨシカ:
………………
よく聞けば小さな声で何か言っている。
ショウ:
よく聞こえないよ。
もう一回言っ…
芳佳ちゃんは答えた。
ヨシカ:
私もう耐えられない。
死ぬわね。
ショウ:
ちょっと待って!!
今どこ!?
そう言った瞬間ぶわっと周りの風景が変わった。
目が慣れた時見えたのは芳佳ちゃんの病室。
芳佳ちゃんはやはりベランダにいた。
ショウ:
待つんだ!
僕は叫んだ。
走って止めようと思った。
しかし、僕の体は動かない。
足に根が生えているかのように。
僕はもがくけれど、動く気配がない。
僕は叫ぶことしかできない。
ショウ:
落ち着くんだ。
いまそっちに行くから。
待って。
待ってくれ。
僕が一番落ち着いてない。
急がなくては。
イソガナクテハ。
彼女は飛び降りた。
飛び降りてしまった。
僕は彼女を助けてあげることが出来なかった。
約束を守ってあげることが出来なかった。
これ以上悔しいことはない。
辺りはいっきに暗くなっていく。
口の中は血の味。
なんて、なんてちっぽけなんだ…
『ショウ、ショウ…』
幻聴?
嫌、違った。
母が僕の体をゆすっていた。
母:
ショウ、起きなさい。
ショウ:
分かった。
夢だったようだ。
しかしあまりにリアル。
僕は怖くなった。
こんな心構えで本当に彼女を救えるのか。
寝汗でベチャベチャだった。
僕は朝食を済ませすぐにメールをする。
もちろん芳佳ちゃんだ。
(メアド、電話番号は昨日交換した)
さすがにあんな夢を見た後だ。
メールを送りたくなるだろう。
だけどメールは返って来なかった。
読んでいただきありがとうございました。
今回は"彰の不安"を夢で見たという話です。
無意識の内でも不安は積もると夢に出ると言う私の実体験を書いてみました。
次回もよろしくお願いします。