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エーテルコード:サイドストーリー  作者: エトコッコ
怜、もふもふの村をプレイする

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「ソロプレイ編⑤」


(売ろうかな……)


先ほど当たったテカテカマッチョTシャツを眺めながら、怜は村を歩いていた。


『あの〜、すみません』


突然、チャットで声をかけられる。


振り向くと、見覚えのないブタのキャラクターが立っていた。


見た目はかなりイカつい。


名前は「ブー太」というらしい。


▼ブー太

挿絵(By みてみん)


『さっき、2等を当てた方ですよね?』


ブー太は丁寧に尋ねた。


『はい。そうです』


怜はチャットで返事をする。


『もしよろしければ、そのアイテムと交換していただけませんか?』


イカつい見た目とは裏腹に、話し方はとても礼儀正しい。


『もちろん。いいですよ』


怜は快く了承する。


『ありがとうございます!』


ブー太はぺこりと頭を下げた。


こちらからしてみれば、ちょうど売ろうと思っていた不要なアイテムだ。


むしろラッキーだと思った。



怜は、ふとみのりの言葉を思い出した。


“あとミチもやってますよ”


“ブタです!”


(まさか……)


ブー太が光井かもしれない。


そう思った。


しかし、ブタのキャラクターなど珍しくもない。


それに、ブー太のデザインは、怜が(勝手に)想像していた光井のブタのマイキャラとはまったく違う。


能勢やみのりに続いて、また知り合いに会うとは考えにくい。


それでも——


どうしても気になって仕方がない。


怜は一か八か、思い切って尋ねてみることにした。


『あの、人違いだったら申し訳ないんですけど……』


『光井?』


怜が聞く。


『ってことは……白木か!?』


ブー太は驚いたように返した。


どうやら本当に光井だったらしい。


『“もふ村”始めたって聞いてたけど、まさかこんなところで会うとはな〜』


光井は驚きを隠せない様子で言った。


どうやら、光井は相手が怜だとは思っていなかったらしい。


怜のプレイヤー名は、自分の名前そのままの「レイ」だ。


だが、レイという名前のプレイヤーは珍しくなく、光井も何人か見かけたことがあった。


そのため、まさか本人だとは気づかなかったようだ。



『せっかくだし、フレンドになろーぜ』


光井が言った。


『うん』


怜は小さくうなずく。


互いにフレンド登録を済ませると、怜はつい先ほど、みのりに会ったことを話した。


光井も、みのりとはフレンド登録している。


本来なら、フレンドがログインすると通知が表示される。


しかし、光井はその通知をオフにしていたため、みのりがログインしていたことにも気づいていなかったらしい。



『ていうか、これあげる』


怜は光井に言った。


知り合いなのだから、交換ではなく譲ってもいいと思ったのだ。


『いやいや!それは申し訳ねぇ!』


ブー太(光井)は両手を前に出し、首を横に振る。


かなり律儀な性格だ。


『何か困ってることとか、欲しいものとかあるか?』


光井が尋ねた。


怜は少し考えた。


『……物理系の武器、かな』


『それなら、いいのがあるぞ!』


ブー太(光井)はポケットをゴソゴソと探り、一つの武器を取り出した。


“紅に染まった棍棒”


▼紅に染まった棍棒

挿絵(By みてみん)


『これ、強化はできないけど、序盤じゃめっちゃ強力だぜ!』


光井は自信ありげに言う。


(イ、イカつい……)


怜は思わず心の中でつぶやいた。


光井の話では、この武器は普通の武器屋では売っていない“ユニーク武器”というものらしい。


『いいの?』


怜が尋ねる。


『おう!他にも武器はあるから、大丈夫!』


ブー太(光井)は笑っていた。


『ありがとう』


怜はテカテカマッチョTシャツと、紅に染まった棍棒を交換した。


『欲しかったんだよなぁ……コレ』


ブー太(光井)はうっとりとした表情でテカテカマッチョTシャツを眺めている。


(色んな趣味があるなぁ……)


そんな光景を見ながら、怜はしみじみと思った。


——つづく。

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