「彼女にするなら?」
とある日の夜。
男子4人組は、光井おすすめのお好み焼き屋へ外食に来ていた。
閃はチーズ、烈は紅しょうが、東は長芋、光井は天かす。
それぞれ好みのトッピングを選び、思い思いに楽しんでいる。
お好み焼きをつつきながら、光井がふと思いついたように切り出した。
「……なぁ。もし、彼女にするなら誰がいい? オルフェ限定で!」
チーズをびよーんと伸ばしながら、閃が言う。
「じゃあ、言い出しっぺのミチからな」
閃のアホ毛はハート型になっている。
どうやら、ワクワクしているらしい。
光井は少し照れながら答えた。
「……まぁ、強いて言えば、羽野……と! 笹本かな……」
実際は音一筋だが、怪しまれたくないため、みのりの名前も挙げておいた。
それを聞いた閃と烈は、意味深にニヤつく。
次に、烈が口を開いた。
「てかさ、俺はグンジンが1番気になるわ。あんまそういうの興味なさそうだし」
東は笑いながら答える。
「あはは。こう見えて、人並みにはありますよ」
「マジか!? 誰だ!?」
光井が食い気味に聞いた。
「僕は……松永主任のような、大人の女性がタイプですね」
――ああ、グンジンはなんか違う世界にいる。
3人は、心の中で同時にそう思った。
「松永主任って、独身だったよね? 行けるかもよ……」
閃がニヤッとしながら言う。
アホ毛はくるんとカールしている。
東は穏やかな笑顔で返す。
「多分、松永主任は、同じ“大人の男性”が好みですよ」
「歳の差、2倍以上あるよな……。じゃ、次は烈!」
光井が話を振る。
烈が口を開く前に、閃がすかさず言った。
「テツ禁止な?」
「わかっとるわ!」
烈は即答し、少し考えてから言う。
「うーん……俺はリオっちかな〜」
東と光井は、目を丸くした。
「い、意外だな……」
光井が言う。
「理由、聞いてもいいですか?」
東が尋ねた。
「なんつーか……めっちゃラクそう」
烈はすんなり答えた。
「やっぱりね」
閃がうなずく。
「で、お前は誰なんだよ」
烈が閃に視線を向ける。
東も光井も、興味津々だ。
「うーん……みんな魅力的だしなぁ……」
閃は少し間を置いてから言った。
烈と光井は、怜か音か、みのりの誰かだろうと予想していた。
「見た目がタイプ、って理由でもいい?」
閃が聞く。
「いいよ」
光井が答えた。
「アンジュ」
3人は、予想外の名前に一瞬フリーズした。
「……え?」
光井が聞き返す。
「アンジュ」
閃は、同じトーンで繰り返した。
「理由、聞いてもいいですか?」
東が尋ねる。
「ほら、アンジュってさ……めっちゃ美脚だし……“デカい”じゃん」
アホ毛がゆらゆらと揺れている。
どうやら、少し照れているらしい。
それを聞いた烈と光井は、同時に吹き出した。
東は一瞬考え、すぐに納得したように言った。
「あぁ! なるほど! 確かに“大きい”ですね!」
東らしからぬ発言に、今度は3人全員が吹き出す。
どうやら東は、身長のことを言っているらしく、本人だけがきょとんとしていた。
3人の笑いは、しばらく止まらなかった。




