「勉強会」
とある日の夕方。
ファクターズは教室に集まっていた。
「……はぁ、ついに3日切ったな」
烈が疲れ切った声で言う。
「今回ムズいよな……」
閃も同じく、どこかげんなりしていた。
——3日後
それはテスト日だった。
ファクターズや訓練生は、学生という身分でもある。
当然、定期テストも存在する。
「そもそもテストとか必要なのかよ……」
烈がぼやく。
「……そのセリフ、毎回言ってる」
怜が淡々とツッコんだ。
「まぁ、後々役に立つ時が来るんじゃない?多分……」
閃は頬杖をつきながら言う。
「……さっきから、2人とも手が止まってる」
怜の視線の先では、閃と烈のキーボードを打つ手が完全に止まっていた。
一方、怜はタブレットに向かい、もちのすけ柄のペンでスラスラと何かを描いていた。
音はというと、真剣な表情でPCに向かい、模擬テストを受けていた。
◆
「いやさ、エーテルとかEDの専門系なら難しくてもまだ納得できるぜ?数学とか理化学って必要か?」
烈は相変わらず上の空だ。
「たぶん学生の大半が思ってるんじゃない?てか、俺らが“普通の学生”でも、同じこと言ってると思う」
閃も全く身が入っていない。
今回のテストは、一般過程の試験。
数学、理化学、社会学、生物学、言語学の5科目。
つまり、一般学生と同じ内容だ。
ただし、オルフェのテストは異様に難しい。
1教科100点、計500点満点。
問題は5択式。
ちなみに前回の一般過程テストのランキングは
1位…怜
490/500
2位…東
475/500
3位…アンジュ
460/500
4位…みのり
400/500
5位…閃
380/500
6位…烈
375/500
7位…音
165/500
8位…光井
150/500
なお、クレアはすでに卒業しているため義務はないが、同じテストを解いた結果——495点だった。
◆
「なぁ、学ランってかっこよくね?」
烈は人差し指に小さな炎を灯しながら言った。
「わかる。学ラン着たい」
閃も、人差し指と親指の間で小さな電気をパチパチさせながら同意する。
ついにスキルで手遊びを始めていた。
「れーにゃんは、セーラー服派? ブレザー派?」
指先に電気を纏わせながら、閃が怜に振った。
「……うーん。私はブレザー、かな……」
怜は、少し考えて答えた。
「あー、れーにゃんのブレザー姿。絶対似合うわ」
ムフフ、という顔をする閃。
「……あほ」
怜の頬が、ほんのり赤くなる。
——その瞬間
「おわった!!」
音の叫び声が教室に響いた。
3人が一斉に振り向く。
閃のアホ毛は、アンテナのようにピンと真っ直ぐ立っていた。
「お、おつかれ……」
烈が言う。
「どうだった?」
怜が音に尋ねる。
「……!!すごいよ、185点!! 自己ベスト更新だよぉー!!」
前回より、20点アップ。
音は心から嬉しそうだった。
「おっ、すごいじゃん音!」
閃はそう言いながら、パカリコというスティック状のお菓子を音の口に放り込んだ。
「むじゅっ!ありがとう!」
もぐもぐしながら答える音。
「……ちなみに、また全問“カン”か?」
烈が聞く。
「うん!」
音は即答だった。
(ある意味すげぇよ……)
烈は内心、そう思った。
ちなみに、真面目に勉強しているように見えた怜は——
最初から最後まで、もちのすけのイラストを描いていた。




