「オルフェの七不思議」
とある日の訓練終わり。
光井が唐突に口を開いた。
「なぁ……“オルフェの七不思議”って知ってるか?」
「七不思議……?」
東が首をかしげる。
「あー!知ってる!“幻の地下6階”でしょ?」
みのりが思い出したように言った。
「都市伝説的なやつ?」
アンジュも続く。
「なんかさ、めっちゃワクワクしない!?」
光井はやや前のめりだ。
「オトコのコって、そういうの好きよね〜」
アンジュはため息混じりに言う。
「あたしは、ちょっと気になるかも……」
みのりは意外と乗り気だった。
「松永主任に聞いてみましょうか?」
東が提案する。
「いや、もう大分前に閃が聞いたことあるらしいけど、ハッキリ“無い”って言われたって」
「…もう答え出てんじゃん」
アンジュは呆れ顔だ。
「いやいや! シラ切ってる可能性あるだろ! それに松永主任が知らないって線もある!」
光井は食い下がる。
「もしあったとしてさ、そこで何してるの? パーティとか?」
みのりが聞いた。
「……なんでわざわざ地下でパーティすんだよ」
即座にツッコむ光井。
「……ウワサによると、そこで“秘密兵器”が作られてるとか……」
光井は声を潜める。
「秘密兵器……EDですかね?」
東が真面目に聞く。
「かもしれん」
光井は神妙にうなずいた。
「ミチ、アニメの見すぎ」
アンジュがばっさり斬る。
「そのEDには誰が乗るの?」
みのりがさらに聞く。
「そ、それはぁ〜……」
光井は言葉に詰まった。
「……てかさ、七不思議なんでしょ? 残りは何?」
アンジュが話を戻す。
「あー、残りは…『閃のアホ毛は実は生物説』とか、『白木は意外にゲラ説』とか、『羽野は何回か異世界転生してる説』とかー…」
「それ、今考えたでしょ」
アンジュが即ツッコむ。
「ちげーって!! マジだって!!」
光井は必死だ。
「七不思議っていうか、ただの説じゃん。しかも地下含めて全部で4つしかないし」
アンジュは冷静だった。
「しかも音ちゃんに至っては意味わかんないし」
みのりも追い打ちをかける。
「いつも冷静な白木さんが、意外にゲラ…というのは、少し面白い説ですね」
東がフォローする。
「まぁ、それは俺も思うけどよ。
でもやっぱ『閃のアホ毛』は七不思議に含めていいと思うんだ」
光井は真顔で言った。
「それは同意だわ」
アンジュもうなずく。
「閃先輩のアホ毛かぁ〜。欲しい……」
みのりは、まったく別のことを考えていた。




