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エーテルコード:サイドストーリー  作者: エトコッコ


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11/18

「正反対な2人 怜×音」


今日は、怜と音の2人そろってオフの日。


前々からこの日に遊ぶ約束をしていて、朝から怜のエレカで出かけていた。


向かった先は、最近話題のアニメ映画“美人さんのムーン”。


事前情報はほとんど知らずに観始めたのだが、思った以上に恋愛要素が強く、途中から2人そろって完全に寝落ちしてしまっていた。


怜が目を覚ました時には、すでに映画はクライマックス。


隣では、音が相変わらずすやすや眠っている。


スクリーンの光に照らされて、かすかに見える可愛らしい寝顔を見て、怜は思わず微笑んだ。


――このまま、エンドロールまで寝かせておこう。


そう思った、その瞬間。


『起きて!!』


スクリーンから飛び込んできた、突然の叫び声。


それに反応して、音が勢いよく飛び起きた。


「………ぅえ?」


完全に状況が掴めていない様子で、頭の上に“?”を浮かべている。


その姿があまりに可笑しくて、怜は肩を小刻みに震わせていた。



映画を見終え、そのままウインドウショッピングをしながら、さっきの出来事を思い出しては笑っていた。


2人で映画を観に行くことはたまにあるが、好みが正反対なのか、決まってどちらかが寝てしまう。


今日は珍しく、2人そろってだったが。


それでも、映画の内容よりも、「一緒に観ること」が好きなのだ。


怜も音も、事情は違えど孤独な幼少期を過ごしてきた。


同じファクターで、同じチームの仲間。


それ以上に、お互いが心から安心できる、数少ない存在だった。


「ねぇ、ご飯食べよ?」


音がにこっと笑って言う。


「うん。どこ行く?」


怜が尋ねると、


「なんでも亭!」


音は元気よく答えた。


“なんでも亭”

和洋折衷、甘いものから辛いものまで何でも揃う、有名な食堂だ。


2人は何かと正反対。


クール系な美人の怜と、癒し系で可愛い音。


可愛いデザインが好きな怜と、独特なデザインが好きな音。


意外にコメディ好きな怜と、意外にホラー好きな音。


大の甘党の怜と、大の辛党の音。


だから外食先は、自然と“なんでも亭”になることが多い。


怜は微笑みながら頷き、エレカを走らせた。



店に着き、タッチパネルで注文をする。


怜は、フクオカ風肉ごぼう天うどん定食。


音は、激辛大盛りとんかつ定食。


料理を待ちながら、音がまじまじと怜を見つめて言った。


「怜ちゃん、本当にスタイルいいよね…」


「え?あ、ありがと…」


確かに怜は、皆からよくそう言われる。


「音だって、スタイルいいよ」


怜が返すと、音はぶんぶん首を振った。


「全然だよぉ。わたし、頭大きいし……。やっぱEDって、体型も反映されてるのかな?」


EDは、ファクターの戦闘スタイルやエーテルの波長、イメージを元にした完全なオーダーメイド仕様。


怜のシラユキは、女性的で美しいプロポーション。


一方、音のツムギは、ずんぐりむっくりとした、ぬいぐるみのような姿。


「あっ!勘違いしないでね?ツムギのことは大好きだから!」


音は慌てて付け足す。


各ファクターはそれぞれ、自分のEDに愛着を持っている。


もちろん音も例外ではない。


「体型は…関係ないんじゃないかな」


怜は少し恥ずかしそうに続けた。


「もし、関係あるとしたら…わ、私のお尻、大きいってことになっちゃうし…」


シラユキのヒップラインを思い浮かべての言葉だった。


「全然そんなことないよ!じゃあ体型は関係ないね!」


音は笑った。


そこへ料理が届く。


上品に箸を進める怜と、豪快に食べる音。


食べ方まで、やっぱり正反対だった。



食後、2人は公園を散歩していた。


ふと、音が切り出す。


「ねぇ…わたしと閃くんって、付き合ってるように見える?」


突然の質問に、怜は一瞬固まった。


「アンジュちゃんとか、みのりちゃんとか、クレアちゃんによく言われるんだよね。くっつきすぎとか、ムニムニ当てすぎ、とか……」


不思議そうな表情の音。


恋愛ごとに非常に疎い怜には、2人が仲良しだという印象しかなかった。


「んー…私には、仲良しな双子、みたいに見えるかな。というか……ムニムニ?」


「よかった! あ、ムニムニってこれのこと!」


音は満面の笑みで、自分の胸を指した。


怜は納得した。


確かに音のムニムニは大きい。


「閃くんって、女の子みたいに可愛い顔してるし、すっごく親しみやすいから、ついくっついちゃうんだよね」


その気持ちは、怜にもよくわかる。


気づけば自然と距離が近くなってしまう。


「でもね…あそこまでくっつけるの、閃くんと、怜ちゃんだけだよ」


音は少し照れたように言った。


「2人とも、正反対なのに…同じ居心地の良さを感じるの」


怜は微笑んで答える。


「音、私も同じよ」


「…手、繋いでいい?」


「うん」


2人は手を繋ぎ、並んで歩き続けた。


(……ハグ、したいな)


そんなことを思いながら、怜はふと、閃のフットワークの軽さを少し羨ましく思うのだった。

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