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苦手な方はご注意ください。

邪神王国~よくホラー映画で、『やめとけ』という雰囲気の時に、本当にやめた冒険者の話

作者: 山田 勝

 勇者様、我が邪神王国へようこそ。


 説明しますね。

 私は邪神様の巫女、エレトアでございます。陛下の第三子、第三王女になります。


「ユウキ・サカキだ!転移してきた・・・」


 我国土はご存じの通り四方を山に囲まれた盆地です。

 わずかな鉱石がとれます。


 わずかな鉱石、農地をめぐり争いが絶えませんでした。


 寸土を奪い合い。いがみ合い。だまし合い。殺し合いもしました。



 しかし、あるとき、邪神様が降臨されました。


 民達は・・・あまりの異形に笑い、討伐をしましたが、誰も勝てませんでした。

 やがて、邪神様に敬服し、お互いに争うのをやめ。皆で仲良く暮らす道を進みました。


 邪神様の前では老いも若きも高貴も卑賤も関係なく、平等に死が訪れると分かったのです。


「・・・そんなことあり得るのかよ!」


 ええ、不満に思う者もおります。


 そういった方は、あら、丁度、王宮に追放されたい民が参りました。

 国外に出たい旨を言えば、陛下は・・一言


「追放する!」


 とだけ言います。

 既に里長、宰相まで面談が終わっています。


「成功を祈るぞ」

「・・はい」

 さて、追放された男に少し聞いてみますか?


「はい、この国の実情を調べる!」



 男に話を聞くと。


「この国は物心ついた頃から違和感があった・・・皆、笑い合い。助け合っている。そんなのおかしい。俺はもっと頑張ってお金を稼ぐのだ」


「成功をお祈りしますわ」



『追放』と言ったのは、そういった方が成功する確率が大きいからです。

 奮起して、他国で成功するようです。

 または、失敗して国に戻る。様々です。


「でも、皆、国外に出てこの国のありがたさが分かるのですよ。成功者は我国に喜捨を行い。失敗された方は戻って来ます。ユウキ様」




 ・・・僕はユウキ・サカキ、これは魅了だ。

 邪神は魅了で統治している。

 エレトアさんは淡い金髪におっとりした垂れ目。穏やかな美人だ。


「エレトアさん。僕と仲間になって、この国を出て冒険しませんか?」


「まあ、それは嫌ですね。この国が大好きですわ」


「聖女でしょう?邪神を退治します。そしたら、僕と結婚して下さい!騙されています。魅了です」


「フフフフ、邪神の巫女でも結婚出来るのですよ。しかし、巫女を拝命したら、邪神様のことしか考えられなくなると言うか・・・例え、魅了でも心が穏やかになれます。もし、私と結婚したいのなら、したくなるような行いを期待しますわ」


「邪神と会いたい」

「どうぞ。邪神様の宮までご案内しますわ。今の時間は邪神様のお渡りの時間です」



 話を聞いた。頭がいたくなる。


 邪神は、普段は滝の裏側の洞窟に住んでいて、時間になったら宮に渡る。

 そこで、絵本やオモチャで遊び。

 巫女は宮の外で、絵本の読み合わせや。歌って慰める。


 邪神の姿を見てはいけないそうだ。

 宮に行くには、変な規則がある。


「これを上から羽織って下さいませ」

「紙?」


 紙で出来たローブをまとい。

 宮まで行く。


 宮は・・・黒だ。金属で出来ている小さな家だ。


「邪神様、絵本の読み合わせに参りましたわ」

「ルル!」


 子供の声だ・・・女か男か分からない。


「・・ドラゴンは目玉を大きく見開いて驚きました。『ああ、僕と友達になりたいんだって?』・・・『知っているよ。本当は優しいドラゴンさんだって』・・・」





 馬鹿馬鹿しい。俺は邪神とバトルをすることにした。

 腰に差した聖剣を取り。


 宮の中に入る。


「勇者様、お止め下さい!邪神様を刺激しないで下さい」


「皆の目を覚ましてやるよ。これは聖剣だ!」



「ルル?」


 邪神がいた。小さい。布を被っている。これは、まるで、エジプトの奇神、「メジェド」

 布を被り足と目しか露出していない。

 死者の書に書かれていて、「打ち倒す者」という意味もあるらしい。


 日本時代、ネットミーム化していたな。


 俺の状態を確認する。

 状態正常。


 何だ。魅了を使っていないのか?

 俺は大きく剣を振りかぶり。振り下ろした。


「ルルーーー!?」


 ピカッ!


 何だ。光に包まれた・・・





 ☆☆☆一年後



「・・・はい、ユウキ様は確かに来られました。そして、亡くなりましたわ・・」


「そうか、一応、冒険者ギルドから調査を依頼されてな。俺はヤスオ・マツナガ、隣にいるのが」


「エスダ・・15歳」


「まあ、エスダ様、可愛らしいわ。奥様?」

「そう、奥様」

「ちげーよ」


 俺は松永康夫、冒険者だ。おっさん冒険者だが、この世界に来て、美少女に出会った。

 良くあることなのか?テンプレらしい。

 この世界は転移者や転生者は時たま出会うぐらいにはいる。



「分かりました。邪神様に挑み。亡くなった・・・」

「はい、その通りです。まさか、邪神様に飛びかかるなんて・・・」

「邪神・・・様についてお聞きしたい」


「はい、邪神様に会うときは紙のローブを羽織ることが規則ですわ・・」



 話を聞いた。滝の裏の洞窟に住み。

 金属の宮に降臨される。

 謁見はその宮の外からだと・・・・



「もしかして、紙のローブは、謁見が終わったら捨てるのか?」

「はい、厳重に管理して地中に埋めます」


「それから、シャワー、いや、禊ぎをするのか?」

「はい、左様です」


「そして、金属の宮は鉛か?」

「はい、左様です」



 ・・・・これは、放射能か?まさか・・・


「邪神様の御名は、ノア様と申します。鉱山開発しているときに顕現されたと言い伝えですわ」


 まさか、ウランの精霊か?



「お会いしますか?」


「・・・いや、結構です」


「フフフフフ、邪神様のお話を聞いて、会わないと言われた方は貴方が初めてですわ。皆、邪神様を侮り討伐しようと目論みます」


「・・・そうだよな」


 滝の裏、水は、中性子を遮断する効果を狙っているのか。

 そして、鉛は、γ線、紙はα線か。



 ☆☆☆回想


「松永2曹!除染所は?」

「はい、開設完了です」


「防塵服はここに集めろ!」

「次はシャワーだ!」


 災害派遣の時に、化学防護隊の除染所を普通科で開設をした。


 ・・・・・・・


 あれは災害の時だ。


「失礼するよ。召喚!」


 俺は魔力を対価に現代日本の物を召喚出来る。

 空間線量を測れる器具を召喚した。


 ガー!ガー!


「これは、パイロットより低いが、通常の量よりは数倍というところだろう。この国の平均年齢は?」


「はい、だいたい50歳ですわ」


 外の世界と同じだ。実際、放射線の健康被害は、短期間で強力に浴びた場合は分かるが、長期にジワジワと浴びた場合は、よく分かっていない。


 俺は、そのまま国を去って、冒険者ギルドに報告した。


 文明が進めば、嫌でも出会う邪神だと報告をした。


 魔法世界で放射性物質をどう観測するか興味はあるが、まだ、まだ先だろう


 そして、邪神王国は恐怖により平和に統治されていると報告書を締めくくった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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