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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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キャンプに行こう 4 (料理対決)


 というわけでサクサク先に進む。

 森の中なので比較的涼しい。体力的にはまだまだ大丈夫である。


「スバル、前方にモンスターの反応……恐らくツノウサギだよ」


「了解!」


「スバル、準備オッケーだ!」

 ハイドからオーケーの合図もでる。


「……よし、行くぞ。シールド!!」

 ためらうとどんどん怖さが増すので、俺は思いきってツノウサギの前に出る。

 

 ……さあ、来い!


 ツノウサギがこちらをめがけて突進してくる。正面から見るのは結構怖い。ツノウサギのツノが遠目よりも鋭く見える。


 ガン


 結構な衝撃を受けたが、なんとかシールドで防ぐことができた。


 シュパッ


 ザクッ


 ハイドが一撃で仕留め、シールドにかかっていた力が消えた。


「……良かった」


 無事に防げたぞ!!

 

「やったなスバル!」

「やりましたね!」

 ハイドとケインも喜んでくれる。


「キュキュウ!」

 エイダンに抱かれていたスカイも手を叩いて喜んでくれる。(森に入ってからは危ないのでエイダンに抱っこしてもらっていた)


 ……みんな。俺は、やったぞ!!


 初勝利に酔いしれていると、姉達から声がかかる。

 

「……何、ツノウサギごときで喜んでるのよ」

「先を急ぎましょう」


 喜ぶ男性陣とは裏腹に女性陣は冷めた目で俺を見ると、スタスタ歩いて行った。


 ちくしょう。千里の道も一歩からなんだぞ。


 でも、置いて行かないで。


 俺達も慌てて後を追った。


 その後も順調にツノウサギを倒すと、森の中の開けた場所に出た。

 

「皆さん到着です!」


 ふーっ!なんとかなったな。


「まずはモンスター避けに火を焚きます」


 途中で拾ってきた薪に火をつける。


「では、ただいまより第1回料理対決を行います」


 よし、負けないぞってあれ?料理対決?


「ジェーンさん、料理対決って……?」


「普通に作るだけでは面白くないと思いまして、対決にしてみました。ちなみに審査員は私です。優勝者には私のお手製魔道具ランタンをプレゼント!これがあれば暗い夜道も怖くありません!」


 前世のランタンと同じだが、壊れるまでは無限に光るらしい。

 

 ……便利そう。結構欲しいぞ!


「制限時間は今から1時間です。それでは初めてください!」


 各々鍋テーブルに鍋を載せ、食材を切って鍋に入れる。


 水は竹筒に入れた水筒を持参しているので、それを鍋に入れ、火にかけた。ついでにツノウサギの骨も入れる。出汁が上手く出ますように……後は煮込むだけだな。確か、調味料は最後って言われてたし。


 周りを見ると各々、いろんな食材で調理している。


 誰がライバルになりそうだろう……。


「……あれ、切りすぎました」

 まな板がわりの木材まで切っているフェレナは論外。


「おいしくなるのよ!」

 謎に大量のお菓子を入れまくっている姉も論外。


「あれ、後はどうすんだっけ……確か塩を入れるんだな」

 ハイドは塩をドバっと入れる。ものすごくしょっぱそうなので✕だな。ちなみにこの世界でも塩はよく採れるのでお値段は安い。


「確か、魚の骨と昆布で出汁をとり、後は……」

 ケインは魚介出汁の野菜スープを作るようだ。……でもなぜ赤色なんだろう……。

 

「…………」

 やはりダークホースはエイダンだな。出際よく調理している……こともないな……なぜスープが黒い……?


 よし、意外といけるかも。後は塩を入れて味の調整だな。

 ……うん、上手い。さすが農家直伝なだけはある。


「キュウ」「ぺぺ」

 スカイとぺぺが寄ってくる。

 

「熱いから少しだけな」

 俺はスプーンにすくってフーフーすると、2匹にそれぞれ渡した。


「キュウ!」「ぺぺ!」

 美味しかったのか、その場で飛び跳ねる。


 これは結構手応え有りだぞ、優勝はもらった!


 そして1時間後、ジェーンさんの実食である。


 エントリーナンバー1 フェレナ

 

「……棄権します」

 食材が上手く切れずに、無念のリタイア。切れすぎるのも考えもんだな……


 エントリーナンバー2 姉ステファニー

 

「……どうですか?私の好きな物を詰め込みました!」

 大量のお菓子が入ったスープはドロドロで茶色をしている。

 ジェーンさんは一口食べる。……勇気があるな。

 

「……甘い。野菜スープではありません」

 ですよね。でも意外と味は美味しいらしい。


 エントリーナンバー3 ハイド

 

「……少し、しょっぱいけど……」

 見た目は1番普通の野菜スープである。

 ジェーンさんが一口食べる。

 

「からい」

 ですよね。あれだけ塩を入れたらからくなる。


 エントリーナンバー4 ケイン

 「魚介の野菜スープを作りました」

 入れていた食材は魚の骨や昆布など良い出汁がでそうなものばかり入れていたけど、何でスープの色が赤いんだろう。


「……なぜ、赤いんでしょうか?」

「それは、栄養価が高いサメの血でスープを作ったからです」

 ケインは笑顔で答える。


 サメの血か……チャレンジャーだな。ジェーンさんはどうする?

 

「ケインさん一口味見してみてください」


 ケインはためらうことなくスープを口に入れる。


 そしてそのまま倒れた。口からは赤いものが垂れ……


「スカイ、桃、桃」


 俺はスカイに桃をもらうとケインに食べさせた。


「ケイン大丈夫か!?」

「……まずい」

 それはそうだろうな。そしてそのままリタイアとなった。


 エントリーナンバー5 俺

 

「レタスとトマトの野菜スープです!」

 見た目も味もバッチリだからな。


 ジェーンさんが一口食べる。

「美味しいです」

 よし、後はダークホースエイダンだけだ。


 エントリーナンバー6 エイダン

 

「…………」

 無言でスープを差し出す。先程見た通り、なぜか黒い。


「……スバルさん、味見をしてください」

「何で俺ですか?エイダンがすれば……」

「エイダンさんは美味しいとも美味しくないとも言わなさそうなので」

 エイダンがスープをすくって俺にスプーンを差し出す。


 これは……まさか伝説の「あーん」か……


 口元まで来たスプーンを拒めない。

 死神、先立つ不幸をお許しください。


 俺は目をつむってスープを口に入れた。


 なにこれ、激ウマなんですけど。

 口の中に様々な野菜の旨味が広がる。何と表現すれば良いのか分からないが、とにかくウマい。


「めちゃめちゃ美味しいです」


 俺の言葉を聞いたジェーンさんも黒スープを口に入れる。


「……優勝!!」


 ですよね。

 やっぱりエイダンが優勝か……。

 めちゃめちゃ美味しいけど何で黒いんだろう。


「……なんとなく」


 エイダン、俺の心を読まないで!!

 

 第1回料理対決はエイダンの優勝で幕を閉じた。 

   

  

 

 

 

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