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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
96/168

キャンプに行こう 2


「……後は、食材や香辛料ですね」

「どのくらい買ったら良いですか?」

「ツノウサギが捕れるので、肉以外の物を。この中で料理経験者はいますか?」


 シーン


「では、そうですね。皆さん作らないと上達しないので、1人1銀貨以内で買い物をしてもらい、それぞれに野菜スープを作ってもらいましょう!」


 本当にキャンプみたいだな。料理対決か……楽しそうだぞ!


「それでは各自買い物に行っていただき、1時間後に集合しましょう」


「「「「「はい!」」」」」


 というわけで、やって来ました。バザールに!ここでは大体の物が揃っている。


「あれ、お兄ちゃんこの間の……」

 俺に話かけてきた子供はどことなく見覚えがある。


「父ちゃん、お兄ちゃんが来た!!早く早く」

 立ち上がりこちらに、来る男性も見覚えがある。

 

「先日はありがとうございました!」

「した!」

 2人揃って丁寧にお辞儀をしてくる。

 ……そうか、あの時の。


「あの後大丈夫でしたか?」

「はい!お陰様で、ピンピンしてます。それに、特に何かトラブルに巻き込まれることなく暮らせています」


 それは良かった!たまには自分の名前も使うもんだ。


「買い物ですか?」

「ああ、野菜を探してるんだが……」

 

「でしたら、家の野菜どれでも好きなの持っていってください。先日なお礼代わりに是非!!」

「いや、実は銀貨1枚以内でちゃんと買うのがルールなんだ……それじゃあ、美味しい野菜スープの作り方知らない?」

「それでしたら、農家秘伝の美味しいスープがあります!良ければレシピをお教えしますよ!」


 よし!情は人のためならずだな!!


「じゃあ、そのレシピとそれに必要な材料を買わせてもらえる?」

「もちろんです、レシピは……」

 

 レシピを教えてもらい、材料もゲットできた!!


「また、いつでもいらしてください」

「お兄ちゃんまたな!!」


 2人に手を振り別れる。


「エイダンはどうする?」

 スカイは俺と一緒で良いとして、エイダンは別に作らないとまずいだろう。


「……もう買った」

「もう買ったの?」

 ……いつの間に。早すぎていつ俺から離れたのかも分からない。


「じゃあ、買い物は終わりで良い?」

 エイダンはこくりと頷いた。


「……キャー!!」

 なんだなんだ?

 絹を裂くような悲鳴が聞こえてくる。


 とりあえず、声が聞こえた方に行ってみる。

 

 1人の若い女性が倒れている。これは……

 

「……泥棒に、お金を盗まれてしまって」

「泥棒の特徴は分かりますか?」

「黒っぽい服を着ている、二十歳前後の男性で、髪の色は黒でした……」

 

「エイダン、念の為近くを探して来てくれる?」

 エイダンはこくりと頷くと姿を消した。


「怪我はないですか?」

「……怪我はないんですが、あのお金がないと借金が払えなくて奴隷落ちしてしまうんです!」


 切羽詰まったように女性が叫ぶ。


「……ちなみにいくらくらいですか?」


「自宅にほとんど置いてあるので、今日いただいた。給料分金貨1枚なんです」


 ……金貨1枚か……それで奴隷落ちしたら、ショックだろうな。

 

 ……これも、領主の息子の務めか。


 エイダンは、戻って来るが首を振っている。


「良かったら立て替えますよ。また、見つかったら金貨1枚いただけたらと思います」


 どや。今の俺なら払えるからな。


「……いいんですか?」


「はい。また、お金が取り戻せたら、辺境伯家に持って来ていただけたらと思います」


 情は人のためならずってね。


「ありがとうございます。ありがとうございます。このご恩は一生忘れません!!」


「いや、今度は盗られないように気をつけて!」


 女性は立ち上がると、何度もお礼を言いながら去って行った。



「……ってことがあったんだよ」


 ギルドに戻った俺はジェーン先生と別れ、メンバーといつものギルドの食堂で夕食を食べながら今日あったことを話す。


「……スバルにしては良いことをしたわね」

「はい、弱きを助けるのは良いことです。でもエイダンさんが見つけられないとは、どこかに拠点があって、そこに逃げ込んだんでしょうか……」


 姉とフェレナにも褒められて、ちょっと良い気分になる。


「……あのさ、スバルその時バザールの人たちも出てきてたか?」

 ハイドが聞いてくる。

 

「バザールの人?……いや、特には。俺達だけだったと思うけど……」

 たまたま、悲鳴を聞いて駆けつけたのが俺だけだったのかな。確か大通りを一本入った、裏道だったし。


「……そうか。じゃあ……やっぱり」

 ハイドは少し考え込む。

 

「なんだよ、意味深だな」

 と思ったら顔を上げて俺を見て言った。

 

「いや、スバルの今後のためにもなるしな。……スバル、それはおそらく詐欺だ」

 

「えっ……」

 嘘だろ……。

 

「いや、全然そんな素振りなかったぞ。なあ、エイダン」

 エイダンもこくりと頷く。


「父ちゃんに聞いたことがあるんだ。バザールはいろんなやつがいるから気をつけろって。そいつがだまそうとしてるかどうかは周りを見れば分かるって。バザールの連中が相手にしてなかったら、それはきっと詐欺だって」


 ええ――。


 確かに、バザールの人達は誰も来なかったけど。俺、前回来た時は結構貢献したのに……。


「バザールの連中の考え方は単純なんだって。詐欺なんてしょっちゅうあるから、基本だまされるやつが悪いんだって」


「じゃあ、俺も……」


「おそらく」


 は――。せっかく良いことしたと思ったのに……。


「何?スバルだまされたのに自慢してたの」

「……なんだか恥ずかしいですね」


 うっ。味方なのに追い打ちが……。


 トホホ。

 高い勉強代になったな。


  


 

 

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