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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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キャンプに行こう 1


 さて3日間のお休みも終わり、今いるのは久しぶりの冒険者ギルドである。ギルド長に指示されてミーティングルームで待っているとジェーンさんが現れた。 


「ジェーンさん!」


 実は今日ジェーンさんと会う時に何と言うべきか考えチームのみんなで考えていた。


 全員がジェーンさんの方を向き、頭を下げる。


「ありがとうございました!」


「「「「ありがとうございました!」」」」


 ごめんなさいという言葉は禁句らしいし、何も言わないでは俺達の気持ちがおさまらなかった。だから選んだのだが……


「はい、こちらこそ長らく不在にしてご迷惑をおかけしました。早速今日のガイドを始めましょう」


 どうやら受け入れてもらえたらしい。


「「「「「はい」」」」」「キュウ」 コクリ


「明日から1泊2日でキャンプに行きます!今日はその準備をしましょう!」


「「「キャンプ!!」」」「キュウ?」


 響きは楽しそうだが魔物の森だしな……。

 

 皆は顔を見合わせて楽しそうである。

 

 スカイは首をかしげている。

 そうか、キャンプを知らないんだな。また、後で説明してやろう。


 ま、今回は初心者の森の街に近い場所だろうから、スライムなんかが主だろうし、前回のワイバーンなんかのようにそんなに危ないこともないか……。


 フラグではないぞ……多分。


 そう考えると俺もワクワクしてきた。

 前世でもキャンプなんかしたことが無かったからな。 


「俺、泊まりなら親に聞かないとダメかも」


 ハイドが少し残念そうに言う。


「心配ありません。事前に全員の保護者の方に連絡を取り、許可をいただいてます」


「本当ですか?やったー泊まりだ!!」


 ハイドは先程とは逆に、嬉しそうに飛び跳ねる。

 

「では、まず必要な物を買いに行きましょう」


 俺達はジェーンさんについて冒険者ギルドの受付にやって来た。

 

「いらっしゃいませ」


 オリビアさんが笑顔で対応してくれる。


「初心者キャンプセットを6個ください」

「1セット銀貨5枚になりますがよろしいですか?後かさばるのでアイテム袋を推奨していますがどうされますか?」


 確かに、これから魔物の素材や薬草を入れるにしても、アイテム袋は必需品だな。


「誰が持って無かったっけ?」


「俺、持ってない!」「僕も持っていません」

 ハイドとケインが声を上げる。


「じゃあ、アイテム袋も2個お願いします」

「分かりました。ところでお金はありますでしょうか?」


 そういや個人の桃代は儲けてるからあるけど、チームのお金はワイバーンの代金が入るまで待たないとないかもな……俺が立て替えとくか。


「俺の桃代で、またワイバーンのお金が入ったらもらいますんで」


「了解しました。それでは金貨5枚になります。準備をして参りますのでしばらくお待ちください」


 金貨5枚か……一気に使うお金の桁が変わったな。


「……スバル、金貨5枚って大丈夫か?」


 ハイドが聞いてくる。良かった俺と同じ金銭感覚のやつがいる。他のメンバーは金貨5枚と聞いても平然としてるもんな。


「大丈夫です。ワイバーンは一体白金貨1枚はくだりませんから、予算は気にせず必要な物を揃えましょう」


 アイアンランクの初心者チームとはかけ離れた稼ぎっぷりだな……でもま、ないよりはある方が良いだろう。


「お待たせしました。こちらが初心者キャンプセットです。お一つずつ渡しますので、中身を一緒にご確認ください。テント、毛布、ナイフ、鍋、カップ、カラトリ―1セット、簡易椅子、鍋テーブル以上です。不備などはありませんでしょうか?」


 鍋テーブルは前世で言う五徳だな。初心者セットの割にはお得にキャンプ道具が揃っている。


「「「「「はい!」」」」」 コクリ


「ではアイアテム袋にしまってください。ハイド様、ケイン様のアイテム袋はこちらになります」


「ジェーンさん、他にいるものがありますか?」


「冒険者ギルドで買うものは以上ですね。後は街に買いに行きましょう」


「「「「「おー!」」」」」「キュウ!」


 キャンプは準備から楽しいって本当だな。いろいろな道具を見ているとどんどん明日が楽しみになって来る。


「ではまずはカバン屋から行きましょう」


 カバンといえばリュックだけど、まだ完成してないからな。


「……待て」


 エイダンが珍しくストップをかける。


「……これ」


 アイテム袋からおもむろにリュックを7つ取り出す。6つは革製でアダムスさんが作った男性用に似ている、1つは小さめで布で作られていた。


「何このカバン?」

「これは背負うタイプのカバンですか?」


 女性陣2人は興味津々でカバンを手に取り触ったり背負ったりしている。


 スカイは小さいカバンを背負い、嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねている。

 

「軽いな」

「肩の負担が少なそうです」


 ハイドとケインにも好評そうだ。


「エイダンが作ったのか?」


 エイダンはこくりと頷く。一体いつの間に作ったのだろう。アダムスさんの作品を見てからそう時間も経っていないのに……リュックの横にはイニシャルまで縫い付けられており、誰の物かも一目でわかる。


 7つのうち1つはジェーン先生の分のようである。


「これは……素晴らしいですね。私もいただいて良いんですか」  

 ジェーンさんにも大好評のようだ。この反応は確かにアダムスさんが言う通り売れるのかも。エイダンはこくりと頷き呟く。


「……辺境伯家でまた売り出す」


「聞いてないわよ」

「どうせまたスバル様ですね」


 姉とフェレナがこちらを睨む。


 いや、言い方ひどくない?


「母様に一任してるからまた聞いて」 


 しかし、エイダン何でも器用にこなすな。しかも短期間にこれだけのものを作れるとは……


「エイダン、ありがとう」

「「「「ありがとう(ございます)」」」」「キュウ」


 エイダンは珍しく嬉しそうな顔をしていた。

 


 



 

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