保冷剤作り 3
次の日辺境伯家に2人の氷魔法使いがやって来た。(妹さんの友人も無事引き受けてくれた)ミレー先生がオッケーしてくれたので、実験はミレー先生の住む離れの実験室で行うことになった。(曾祖母が物置にしていた部屋をミレー先生が改装していた)
「まずは自己紹介から。辺境伯次男スバルです。こっちはテイムモンスターのスカイとぺぺ、あと護衛のエイダン、いろいろ相談に乗ってくださるミレー先生です」
「キュキュ」「ぺぺ」こくり「よろしくお願いします」
「私は人魚族のフレイです」
「同じく、人魚族のカレンです。今回は誘っていただきありがとうございます。私も暑さが苦手で……ぜひ完成させたいです」
フレアの妹さんがフレイ、今日初めて会うのが、カレンさんだな。フレアさんは見た目は人族っぽいけど、カレンさんは耳がルルちゃんと同じ人魚族の耳をしている。やはり外見に種族の特徴がでている人の方が、種族特有の悩みを抱えてそうだな。
「さっそく実験したいんだけど大丈夫?」
「「はい!」」
2人ともやる気満々である。
俺はスカイと作ったミニスライムを2個取り出す。
「これをそれぞれ凍らせてくれる?」
まずは何も指定せずに魔法を使ってもらう。
「分かりました……アイス!!」
「やってみます……アイス」
2人に渡したスライムはそれぞれ無事に凍った。
「おお!!」
あとは固さと、耐久時間だな。2人のスライムを触ってみる。フレイさんの方がカチカチ、カレンさんの方が少し固さが緩いような気がする。
「いくつかスライムをお渡しするので、冷たさはそのまま固さを緩めにすることはできますか?」
保冷剤は固いけど、もし身につけるなら柔らかい方が負担が少ない。
「やったことが無いので、練習してみてます」
「私もです」
2人が練習できるよう、あるだけミニスライムを出す。
「……あとは形か」
そう、今のままではミニスライム型になってしまう。平らに平べったくしたいんだけど。
「先生、形を平らにする方法が何かありませんか?」
残念ながら良い案が出て来なかったから、こういう時こそ相談だな。
「そうですね……スライム膜を先に四角くしてみてはどうでししょう?」
「どうやって四角くするんですか?」
「実際にやってみる方が早いですね、少々お待ちください」
ミレー先生は奥からスライムジェルの入っていないスライム膜とツボを持って来た。そしてツボの中身を説明してくれる。
「これはネバネバ草でできた接着剤です。何でもくっつけることができるので便利な素材です」
さすが異世界。いろいろあるな。
「何でもくっつくって、手とかが触れたらヤバくありませんか?」
イメージは瞬間接着剤が手に付いて取れなくなるだけど。
「大丈夫です。光を当てることで、効果を発揮するので手についたらすぐに洗い流せば落ちます」
なるほど、便利!!
ミレー先生は早速スライム膜に接着剤を塗る。ライトで照らしながら器用に形を作る。そしてスライムジェルを入れ、終わったところも接着剤で封をする。
「完成です」
前世で知ってるアイス枕が出来上がっていた。
「先生!すごいです。これです!これ!!」
やはり、相談してみるものである。
「このままでも、気持ち良さそうですね」
確かに枕として使っても良いかも。でも今は保冷剤だ。
「この形を作ってから凍らす方が実際に近いかもしれませんね。フレイさん、カレンさんとりあえず四角いものを大量に作りましょうか」
「はい!」
「分かりました」
どうやら手分けして、アイス枕の形を作るようである。
「ミレー先生、他に気になることはありますか?」
「そうですね、どうやって身につけるかでしょうか。実験は今週いっぱい引き受けますので、そちらを考えてみてはどうでしょうか」
確かに。前世の記憶でも直接持ち続けると低温火傷するって聞いたことがあるしな。
「そしたらこちらはお願いして、どうやって身につければ良いか考えてみます。フレイさんカレンさん、よろしくお願いします」
2人は笑顔で頷くと、アイス枕作りに取りかかった。
身につけるものか……。
イメージはリュックだな。となるとアダムスさんに相談してみるか。それに形も平らにしたいし……。とりあえず、聞きにいってみよう。




