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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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初めてのゲット6(後始末2)


 その後自室に戻った俺は卵について全く話がなかったことに気付く。


 このでっかい卵を背負った俺を見て、普通は声をかけるだろう。

 みんなスルーってあり得る?


 あった声掛けが、「卵は食事中どうされますか」だけだもんな。肌身離さず持てとのことだから、リュックに背負って食事したし……。


 見た目の大きさのわりに、重さは感じないからあんまり負担はないけど。 


 ま、フェレナのことも大切だから、別にいいけど。


「お前はどんなモンスターなんだろうな」


 今はベッドの上で俺が抱えている。

 冷たくも温かくもない。

 でも、俺のモンスターだと思うとやっぱり嬉しい。


「はやく、出てこいよ」


 どんなモンスターか、夢は広がる。

 孵化するのは明日か、1週間後か分からないけど、わくわくする気持ちのまま、俺は眠りについた。


 

「スバル様朝ですよ!」

 いつものようにルリアがカーテンを開ける。

「スバル――特訓行くわよ!」

 姉が俺へダイブする。

「早く起きて下さい。特訓が逃げます」

 フェレナが無慈悲に布団を引っ剥がす。

 

 いや、いや。フェレナよ特訓は逃げないだろう。

 朝起こしに来るメンバーにフェレナが加わった。


 セルフィン男爵からは次の日に速達で手紙が届き、「是非お願いします」とあっさり、フェレナの行儀見習いが決まった。


 母曰く「どうやら、男爵家でもフェレナの扱いをどうするか揉めていて、今回の話が渡りに船だったみたいよ。実子と同じようには出来ないし、かと言って使用人にするわけにもいかないし、そんなこんな揉めてたら兄2人が拗らせてフェレナに強く当たるしで、ほとほと参っていたみたい」奥様の手紙は10枚にわたったらしい。「何で尻ぬぐいを妻の私がしなければならないのか」と愚痴がふんだんに散りばめられていたらしい。


 その話を父は直立不動の青い顔で聞いていた。

きっと昨日こってり絞られたのだろう。


 当のフェレナは、話が決まった瞬間嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

 家族と離れると言っても、2年ほどしか暮らしてないし事情もあり、姉と離れるのが少し寂しいくらいでむしろ自分の居場所ができスッキリしたらしい。

「姉とは定期的に文通しようと思います」


 そして始まった日々であるが、最初は美少女に寝起き姿を見られるなんて……と恥ずかしがった俺だが、3日で慣れた。

 毎日一緒に過ごす奴に、遠慮は要らない。というか、余所行きの顔を常にするのは俺には無理だった。


「ふぁーあ、おはよう。準備するから先に行ってて」

 俺が、寝間着を着替えようとすると、すかさず姉から声がかかる。

「そんなこと言って、昨日みたいに特訓サボったりしないでしょうね」


 フェレナが来て1週間が経った。

 特訓内容は日々ハードさを増していく。

 以前は俺のペースに合わせてくれていたのが、フェレナが来てリミッターが外れたのか、姉の特訓は以前の2倍以上ハードなものになった。


「……そんな、大変なこともうしないよ」

 あまりのハードさに心が折れた昨日、ついに俺は訓練をサボった。


 いや、普通に午後から父の騎士団の初級訓練に参加している。朝の特訓はプラスアルファだから、出なくても……と正直思っていた。


 ま、そんなこと、この姉が許すわけないわな。

 速攻で、部屋から連れ出され、午前中いっぱいしごかれ何度「……助けて」と言ったか分からない。


ブルブル。

 あんな思いは二度とごめんだ。

 まだ朝1時間、姉の特訓に付き合うほうがマシである。


「そういや、卵はまだ変化無いのね」

 そう。いつも背負っているこいつも全くの変化無しである。そろそろ何か変化がないかといろいろ観察してみるが、最初から全く変わらない。

 

「こればっかりは分からないよ」

「そうね。ま、何が出てくるかはお楽しみね、じゃあ、早く降りてくるのよ」

 姉とフェレナは連れ立って部屋を出た。

 

「さぁ、スバル様。お着替えをお早く」

「ねぇ、ルリア。ルリアの力で特訓無しにとかならない?」

 俺はできるだけ可愛らしく見える姿でおねだりしてみる。


ルリアの力とか、ルリアの母、メイド長の力を借りて何とかならないかな。

スバル様には特訓はハードすぎます。とか、スバル様が可愛そうです。とか。


「スバル様。昨日と同じことが起きてもよろしいということですね」

ルリアは鉄壁の笑顔で告げる。

 

「いやいや、すぐに着替えます!」

触らぬ姉に祟りなしだな。



 


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