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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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メーシープ牧場へGO 5


 メーシープ牧場へ戻ると、ピンクの塊がこちらに突進して来るのが見えた。子ピンクがいるのが見えたピンクメーシープが心配して飛んできたらしい。牧場主さんが子ピンクを下ろしてやると、一目散にピンクメーシープのもとへ駆け出した。


「メー」

「メー」


 二匹は頭を擦り合わせ、無事を喜んでいるような姿が見られた。


 とにかく無事で良かった。俺はブルーから降りると(相変わらず膝はがくがくだったが)よろよろとみんながいる室内へ向かった。


「スバル、無事に見つかったんだな」

 

 家の前にいたギルド長に笑顔で迎えられ、そのまま今日のことを報告する。ちなみに子供たちは説明を聞いた後、そのまま実際に体験もさせてもらえたらしい。俺達の方が思った以上に時間がかかったため、昼食を既に済ませて帰る準備をしていることを告げられた。


「……もう出発ですか?」


 俺のお腹がぐーっと鳴る。


 今日は家の料理長が子供たちの分までスペシャル弁当を作ってくれていたのだが、このまま俺達は食べ損ねる感じか……。


「おう、お前らが食べたら出発するぞ」


 さすがギルド長!

 俺達は慌てて弁当を食べた。


 帰る準備ができたのか、子どもたちが集まって来る。みな楽しかったのか満足そうな笑顔を浮かべている。


「「「「「「ありがとうございました」」」」」」


「また良かったら来てくれ」


 牧場主さんも子供たちに笑顔で対応してくれる。

 そしてわざわざ牧場主さんは俺のところにも挨拶に来てくれた。


「本当に今日は助かったありがとう」

 丁寧に頭を下げてくれる。

 

「いや、ぺぺが頑張ってくれただけなんで」

 そのぺぺは疲れたのかスカイのお腹の中で昼寝中である。


「それでもお前さんたちがいなかったら子ピンクは正直あきらめていた……また、俺にできることがあれば遠慮なく言ってくれ!布や糸に関することなら大体対応ができる」


 そう言ってバンバン俺の肩を叩いてきた。


「ありがとうございます!また何かあったら相談させてください」

「おう!」

 

 こんな風に良い縁をつないでいけるのもぺぺを授けてくれた死神のおかげだな。

 また、お参りに行かねば。


「じゃあ帰るぞ、行きと同じような配置でいくぞ」

 

「「「「「了解」」」」」


 俺とスカイはルルちゃんと手を繋ぐ。

 

「行きと違って疲れがでるかもしれないから、しんどい時は遠慮なく言ってね」

 

「はい」

 

 行きよりも明るい表情のルルちゃんは、今のところ元気そうである。歩きながら、今日見た作業所の様子と体験した内容を嬉しそうに話をしてくれる。


「メーシープの糸はフワフワで気持ち良いんです」

「そうなの?今日メーシープの毛を触ったけど思ったよりしっかりしてたけどな」

 そう。ブルーに乗った時に掴んでいたけど、思ったよりゴワゴワだったけどな。

 

「最初はゴワゴワなんですが、何回も水にさらすうちにフワフワな糸に変わるんです」

 へぇー、やっぱり手をかけると良い物が出来上がるんだな。

 

「ルルちゃんは、牧場で働きたいの?」

「……分かりません。でも、いろいろ体験してみたいなと思います」


 そんな話をしながら道のりの半分程の所まで来た時にスカイが声を上げた。


「キュキュ!」

 

「スカイどうした?」

「キュウ!」

 ルルちゃんを指差している。


「ルルちゃん大丈夫?」

 心なしかルルちゃんの顔が赤い。

「……ちょっとしんどいです」


「ギルド長ちょっと休憩しても良いですか?」

「おう、ちょうどそろそろ休憩しようと思ったところだから良いぞ!」

 

 行きとは違いお店は予約していないので、道の横にシートをひいて、そこにみんなで座り水分補給をする。ルルちゃんは横になってもらい、スカイのポケットに入れていた氷を首にあてた。


「ルルちゃん大丈夫?」

 みんなが心配して代わる代わるのぞき込む。

 

「……うん」

 冷やしてはいるが、なかなか体調は回復しなさそうである。


「とりあえず、出発するがスカイ、ルルちゃんを背負えそうか?」


「頑張ります!」

 

 ルルちゃんの護衛は俺だからな。そう言って俺はルルちゃんを背負った。氷は風呂敷のように布に包んでルルちゃんに結びつける。

 

「……すみません」

 本当に良い子だよな。暑さを何とかできたら良いんだけど。


「じゃあ、出発するぞ」 


 その後は特にトラブルなく、ルルちゃん以外の子供は自分の足で孤児院まで歩き切ることができた。俺もぜーぜー呼吸は荒いが無事にルルちゃんを背負って孤児院まで帰ってこれた。


 孤児院では院長先生が出迎えてくれた。

 

「皆さん、今日はありがとうございました。皆無事に帰って来れて何よりです。護衛の方にお礼を言いましょう」

 

「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」


 子どもたちはそれぞれの護衛とお別れをしている。エイダンの護衛の子は泣きながらエイダンにすがりついていた。たった1日だけど子どもたちにとって良い思い出になったら何よりだ。


「……スバルさん、ありがとうございました」


 ルルちゃんは孤児院に着くとお礼を言って、職員の人とともに室内に休みに入っていった。


「院長先生、明日からこの子達はどうするんですか?」

 護衛任務は今日だけだからな。

 

「一ヶ月程さまざまな仕事を体験して、一ヶ月後から仕事の見習いとして歳上の子たちと一緒に週3日程働くようになります」

 

 ……そうか。まだ幼い気がするけど、自分で自分の道を選ぶんだな。でも、それならやっぱりルルちゃんが心配だな。何か、暑さ対策ができると良いけど。


「依頼書のサインももらったから、護衛任務はこれで終わりだ。ジェーンの方は護衛依頼がまだ続いているから、4日後にまたギルドに集合で良いか?」


「「「「「「はい!」」」」」」


 3日間休みか……何をするかな。



 

 


 

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