メーシープ牧場へGO 2
「それじゃあ、そろそろ行くか」
「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」
挨拶をして店を出ようとすると、お店の店員さんにルルちゃんが呼び止められた。
「体調は大丈夫?これから暑くなるだろうから良かったらこの氷を袋に入れて持って行って」
ルルちゃんに袋に入った氷を持たせてくれる。そういや、店員さんも人魚族って言ってたな。ルルちゃん耳が人魚族よりだから、ケインより陸上が辛いのかも。
「ありがとうございます」
ルルちゃんは嬉しそうに袋を抱えた。
「ケイン、人魚族って暑さに弱かったんだっけ」
「はい。人によって耐性が違うので何とも言えませんが、小さい子は暑さに弱い子が多いです」
マジか。最初にちゃんと聞いておくべきだったな。
「ルルちゃん大丈夫?」
「はい、まだ大丈夫です」
「しんどい時は正直に言ってくれる?そのほうがルルちゃんにとってもみんなにとっても良いんだ。我慢せずにね」
「わかりました」
とりあえず大丈夫らしいけど、よく見とく必要があるな。念のためスカイにも頼んでおこう。
「スカイ、ルルちゃんの体調が少しでも悪くなったら、俺に教えてくれるか?」
「キュウ!」
スカイもやる気っぽいので、大丈夫かな。
かき氷パワーで、残りの三分の一の距離も全員が歩ききり、無事にメーシープ牧場に着いた。
「ルルちゃんも大丈夫?」
「はい!」
ルルちゃんも元気そうで何よりである。
メーシープ牧場は広い草原に囲いがしてあり、前世で見た羊とそっくりで倍くらいの大きさの生き物がいた。ただ、色はカラフルで白いのもいれば赤いのも、青いのもいる。
「ようこそメーシープ牧場へ、わしがここの農場主のシーリーだ。よろしくな」
日焼けした快活そうな男性が牧場を案内してくれる。
「こいつがメーシープだ」
一匹黄色いメーシープを連れて来てくれた。
「メー」
大人しいようで、草原の草をムシャムシャ食べている。子どもたちが触っても全く動じない。
「ここのメーシープは大人しいから触るのは大丈夫だ。ただ大きな音に弱いから、急に大声出さないように気を付けてくれ」
「はい」
子どもたちは小声で返事をする。
「次は、飼育組と織物組に別れて説明しようと思う」
子どもたちはちょうど半分に分かれるようだった。元気いっぱいレオは飼育組。ルルはもちろん織物組だ。1時間ほど、建物の中で説明を受けるらしく、その間は護衛も休憩して良いらしい。
子供たちは思いもよらぬ行動をするため目が離せず、意外にも俺とハイド、エイダン以外の姉、フェレナ、ケインがぐったりしていた。
ちなみに休憩場所はメーシープのいる草原で、シートを広げてまったりしている。
「子供をなめてたわ」
「……何であんなに元気なんでしょう」
「……なぜ何攻撃を受けて、ライフポイントは0です」
3人は草原に突っ伏していた。
「なかなか大変だろう。少しも気が抜けないのが護衛任務だ」
確かに。これが商人の護衛だったら常に敵を警戒しないといけないから、今以上に気をつけなければいけないだろう。
「ただ、いろいろな街に行けるから護衛任務を引き受けて移動する冒険者も多いぞ」
なるほどな。どうせ行くなら護衛をついでに引き受けたら、お金が入るし一石二鳥なのかな。
「今日はこのあとお弁当を食べて、孤児院まで送り届けたら任務完了だ。ただ、帰りは疲れて歩けないヤツもでてくるから、そうなったらおんぶしてやってくれ」
「おんぶか……できるかな」
俺は正直体力がない。でもルルちゃんはもっとなさそうだから帰りは確実におんぶになりそうである。
「キュキュ!」
スカイが力こぶを作る。……できてないけど。いや、スカイがおんぶしたら、つぶれちゃうだろ。
「ぺぺ!」
ぺぺもポケットから顔を出し、手を挙げる。
いやいや、確かにぺぺは力が強いけど倍以上あるルルをおんぶは手が届かないだろう。
「できるところまで頑張るよ!また、困ったら助けてくれ」
「キュウ」
「ぺぺ」
それにしても家のモンスターは本当に優しい。きっと育て方が良いんだな。(自画自賛)
「メー」
「メーメー」
「メー」
どうしたんだろう。先程までおとなしかったメーシープが一斉に鳴きはじめた。




