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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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メーシープ牧場へGO 1


 次の日皆で集合場所の孤児院に行くと、門の前で院長先生と子供たちが待っていた。ちなみにギルド長も一緒である。


「あっ、スバルが来たぞ!」

 俺と顔見知りの子に指さされる。そしてわらわらとこちらに集まって来た。

 

「今日は、スバルが護衛だろ」

「なぁなぁ、メーシープ牧場に行くんだろ」

「この子は誰?」

「可愛い――♡何て言うの」

「キュキュ」


 やはりスカイが人気で、皆がスカイの周りを囲っている。

 

「こらこら、スカイさんが困ってますよ。それに今日はスバルさんたちは護衛を務めていただくのですから、しっかり言うことを聞いてくださいね。それでは並びましょう」

 

「「「「「「「は――い!」」」」」」」


 院長先生の一声で皆、一列に並ぶ。


「今日はどうぞよろしくお願いします」

 

「「「「「「「お願いします!」」」」」」」

 皆元気いっぱいである。

 

「おう、組み合わせを決めてくれたか?」

 ギルド長が院長先生に確認している。

 

 組み合わせ?何の組み合わせだろう?


「はい、ギルド長に言われたように組んでみました」

「ありがとう、こっちも説明しとくわ」

 ギルド長が俺達の方を振り返る。


「今日は護衛依頼だ。普段の護衛は隊列の最初と最後に別れて挟むように護衛するんだが、今日は子供が護衛対象のため、ペアを決めて行動する」

 

 なるほど、自由に動く子供たちだから、1人ずつにお目付け役を作るんだな。

 

「それでは皆、自己紹介をしてください」

 

「俺はレオ!よろしくな。護衛はハイドさん!」

 俺とよく遊んでいる、元気いっぱいのレオはハイドか……ピッタリの人選だな。

 

「私は……」

 その後1人ずつ自己紹介をしていき、護衛が決まる。俺の名が呼ばれないまま、最後の子の自己紹介になった。最後の子は他の子供たちより一回り小さい。


「……私の名前はルルです。護衛はスバルさんです。よろしくお願いします」


 少し照れくさそうで声も小さいが、しっかり自己紹介してくれた。


「ルルは孤児院に来たばかりの人魚族の子です。誕生日も迎えたばかりで他の子よりも体力が少し心配ですが、スバルさんよろしくお願いします」


 護衛対象が決まったので、それぞれが子どもたちの横に並ぶ。

「俺はスバル、よろしく」

「……よろしくお願いします」

「一緒にスカイもいるからよろしくな」

「キュキュウ!」

 

「それでは皆、護衛の方と手をつなぎましたか?」

 ぎゅっと手を握ってくる。反対の手はスカイとつないでいる。


「歩く順番は俺、ハイド、フェレナ、ステファニー、ケイン、スバル、エイダンの順番だ。エイダン後ろを頼む」

 エイダンはこくり頷いた。


「じゃあ、出発するぞ」

「皆さん気を付けて行ってらっしゃい」

 院長先生が笑顔で手を振ってくれる。


「「「「「「「行ってきます!」」」」」」」

 元気に手を振り返して出発した。

 

 メーシープ牧場までは子どもの足で歩いて1時間くらいかかる。遠足と同じだな。他の子はあっちに行きこっちに行き大変そうだが、ルルちゃんは大人しくしっかり手をつないで歩いている。 

 

「ルルちゃん大丈夫?」

「……はい。大丈夫です」

 本当に大人しい。もしくは人見知りなのかも。ならば俺からいろいろ聞いてみよう。


「ルルちゃんは何でメーシープ牧場に?」

「……裁縫が好きです」

「そうなんだ、今までにも何か作ったの?」

「……これ」

 

  ルルちゃんは肩掛けバックについてるブローチを見せてくれる。布で作られた可愛らしい猫のブローチである。


「これってシロ?」

「うん。シロが可愛いから作ってみました」


 7才の子どもが作ったにしてはクオリティーが高く、売り物になりそうである。裁縫が好きなだけある。

 

「……スカイも可愛いです」

 

「キュウ!」

 そう、家のスカイは可愛い。

 

「良かったらまた、スカイのブローチ作ってくれない?」

 ルルちゃんは恥ずかしそうにこくりと頷いてくれた。


 そんなこんなで、少しずつルルちゃんと打ち解け、道のりもあと3分の2くらいになった。

 

「この店で休憩するぞ」

 

 ギルド長が休憩場所に指定したのはそう、パーラーラビットベアである。昨日お店に行ったついでに、開店前に子どもたちにかき氷を食べさせてほしいとお願いしたら快く引き受けてくれたのだ。


「「「いらっしゃっませ」」」


 勤務時間外にもかかわらず、昨日いた店員さんが笑顔で迎えてくれた。席に案内されると、果物がたくさんのった昨日よりも少し小さめの皿が運ばれてくる。


「もう、食べても良い?」

 待ち切れないようでレオが聞いてくる。確かにこのままでも美味しそうだが、まだ食べちゃダメだ。


「このままでももちろん美味しいけれど、今から魔法をかけてもっと美味しくするわ。手伝ってくれる人?」

 店員のお姉さんが上手に誘導してくれる。

 

 みんなしっかり手を挙げている。ルルちゃんも控え目に手を挙げていた。

 

「じゃあ私の言葉を真似して言ってね」

 

「美味しくなーれ」

「「「「「「「美味しくなーれ」」」」」」」」

 

「美味しくなーれ」

「「「「「「美味しくなーれ」」」」」」


 氷魔法が発動し、お皿にサラサラの氷が降り積もる。


「「「「「「「うわぁ――!!!」」」」」」」


 子どもたちは手を叩いて喜んでいる。最後にベリーのシロップをかけて出来上がりである。

 

「さ、召し上がれ」

「「「「「「いただきます!!!」」」」」」

 

「うめぇ!!」

「おいしい」

「つめた――い!」


 皆笑顔でパクパク食べている。ちなみに護衛組も無言で食べ既に完食していた。(今日はおかわりはないよ)


 俺が食べ終わってまったりしていると店長が現れた。

 

「店長ありがとう」

「いや、これくらいどうってことねーよ。それにやっぱり子どもが美味しいって食べてくれるのが何より嬉しいしな」


 店長ももうすぐお父さんになるもんな。

 


 

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