難しい?依頼
「さて、どれがいいかな」
俺は少し時間をおいて、人がいなくなった依頼板を眺めていた。
「うーん、できたら楽なのが良いけど」
依頼板にはまだまださまざまな依頼書が張られている。
「……草抜きは1人だと時間がかかるし、モンスター退治は無理だし……猫探しは無謀だし」
「キュキュ!」
スカイが服を引っ張る。
「どうした、スカイ?」
「キュキュ!」
掲示板を指差すが、どれを指しているのか分からない。文字もまだ読めないから、俺が今言ったやつかな……。
「草抜き?」
「キュ」
首を振る。
「モンスター退治?」
「キュ」
またも首を振る。
「猫探し」
「キュキュ!」
ピョンピョン飛び跳ねる。
……やっぱりか。
猫を探して欲しい。(急募)
迷子になった猫を探して欲しい。
報酬 金貨1枚
依頼主 アダムス商会長 アダムス
※ 失敗のペナルティ無し
いや、この依頼書怪しいよな。報酬が高すぎるし、ペナルティ無しも怪しい。
できたら避けたいけど……
「キュウ」
スカイがつぶらな瞳で俺を見つめてくる。
うっ。そんな目で俺を見ないでくれ。
「キュウ」
うっ。
……スカイの目力に敗北した。
受付する前にギルド長に相談だな。
トントン
「入れ」
「失礼します」
ドアを開けると、ギルド長の他にオリビアさんがいた。
「スバル様、ちょうど良かったです」
何だろう。
「桃が完売しました。次の入荷を求める声が多いので可能なら次の納品を早めにお願いします」
やったー!!無事に完売だ。となると、俺の安心安全な暮らしの資金源ができたぞ。
「何かトラブルなどはありませんでしたか?」
「たくさん買い占めようとする方がいらっしゃったので、1人3個までに個数制限いたしました。あとはチームフェンリルの皆様に、スカイ様がお渡しした桃は中級ポーションと同レベルで、今販売している桃とは別物であると説明しています」
やはり、オリビアさんに頼んで正解だな。
「お金は個人口座に入れておいて大丈夫ですか?」
「はい、お願いします」
スカイが欲しい物を買ってやらないとな。とりあえずはスカイが希望する依頼だな。
「桃の件は以上で大丈夫ですか?」
「はい。それではスカイ様、ギルド長失礼します」
オリビアさんは部屋を立ち去った。
「スバル、依頼は決まったか?」
「はい、これはどうでしょう」
俺は猫探しの依頼書をギルド長に見せる。
「……またトリッキーな依頼を探して来たな。この依頼は3日前から掲示したんだが、報酬の高さにつられて多くの者が引き受けたんだ」
「同じ依頼を大勢が引き受けても良いんですか?」
「依頼にもよるが、人探しなんかは人数が多いほうが見つかりやすいからな。引き受けられるようにしてある」
なるほど。依頼によっては早く見つけないとダメなものもあるってことだな。
「まだ、貼ってあるということは誰も見つけれなかったとうことですか」
かなり、難易度が高そうだな。
「ああ、未だに誰も見つけられていない。あまりにも皆が失敗するから、ペナルティは無しにしてある。だからスバルが引き受けても構わない」
失敗しても損はないってことだな。じゃあ、スカイも希望してるし、やってみるか。
「じゃあ、今日はこの依頼を受けてみます」
「おう。お前にはスカイとぺぺがいるからな。もしかしたら、動物同士の方が見つけやすいかもしれない」
なるほど。そうだと良いな。
「では、受付して行ってきます」
「おう、何かあればすぐに戻って来い」
「はい!」
よし、今日は猫探し、頑張るぞ!!




