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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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ペナルティ


 次の日いつものように、冒険者ギルドに行くと、人だかりができていた。何と中心にいるのは、ハイドとケインである。

 

「良かったら、俺のチームに来ないか」

「うちだったら初心者でも丁寧に支えてやるぞ」

「なによ、うちは女子ばかりだから安心よ」


 3日前のワイバーンの件で、有名になったため、青田買いの人たちに囲まれたようである。


「……いや、俺は、もうチーム入ってるんで」

「……仲間が来るので通してください」


 何とか輪から抜け出そうとするが、次から次に人だかりができている。

 

「あそこに行くのは無理ね?」

「可哀想ですが、しばらく様子をみてから行きましょうか」

 姉とフェレナは即座に2人を切り捨てることに決める。

 

 すまんハイド、ケイン。俺もあの輪に入るのは嫌かも……。


「お前たち、何やってる!初心者がおびえてるじゃないか。早く散れ!次に話しかけるときは、俺を通して話をしろ!」


「ハヤテさんが、言うんじゃしょうがないな」

「ハヤテさんには世話になってるからな」

「ハヤテさんカッコいい♡」

 

 鶴の一声で皆2人から離れて行く。最後のは関係ないけど。

 

 3日前に共闘したチームフェンリルのハヤテさんが、2人を助けるために間に入ってくれたらしい。やはり、シルバーランクは一味違う。というか、ハヤテさんだからかもしれないが。


「「ありがとございます!」」


「いや、何かあったらここのギルドなら顔がきくから、遠慮なく言うといい」

 

 爽やかな笑顔で言う。

 本気でカッコいい。

 

 ハイドとケインも、憧れの表情でハヤテさんを見ている。


「ハイド、ケイン、大変だったわね」

 人だかりがなくなったので俺たちも合流する。

 

「……スバル、見てたんなら助けてくれよ」

 恨めしい顔でハイドが言う。

 ごめん。行くと巻き込まれる未来しか見えなかった。

 

「悪い。それにしてもハヤテさんありがとうございました」 

 これでおそらく俺達も絡まれる可能性が減った。


「いや、俺こそ、報奨金を全額もらってしまって、お礼を言いたかったんだ。本当にありがとう。かなり黒字になったんだが、本当に全額もらって良かったのか?」


「「「「「はい!」」」」」


 全員即答で答える。今回のように毎回冒険者に絡まれなくなるだけでも、ストレスはかなり減る。その意図はなかったけど、結果的にはかなりありがたい。


「……ありがとう。何かあればまた、遠慮なく声をかけてくれ」

 

 ハヤテさんは、マントを翻し仲間の方へ去っていった。


「本当にカッコいいな」

「はい」

 ハイドとケインは最後までハヤテさんの姿を目で追っていた。


「それよりジェーンさんは?」

 

 人だかりを抜けるのに時間がかかったせいで、約束の時間を過ぎているが、姿が見えない。依頼書の掲示板の人ごみの中にも見当たらない。俺達よりも目立つ人だからいたらすぐに気付きそうだが、まだ来てないのかな。


「チームセブンの皆様、ギルド長がお呼びですので2階へどうぞ」

 

 俺達を見つけたオリビアさんから、声がかかる。受付業務が忙しいらしく、今回は俺達だけで、ギルド長の部屋へ行った。


「よく来たな。先日は本当に助かった。ありがとう」

 入るなり、ギルド長が深々頭を下げてきた。


「いや、俺達はできることをやっただけなんで……」

 姉、フェレナ、エイダンは別として、俺達はぶっちゃけできることしかしてない。


「そうか……じゃあ、これからのことについての相談だ。実はガイドのジェーンはペナルティで、しばらくガイドができなくなった」

 

「「「「「ペナルティ?」」」」」


 ……もしかして俺達のせい?


「ジェーンさんがペナルティを受けたのって、私たちのせいですか」

 姉が代表して聞く。


「いや、ジェーン本人のせいだ。本人もそれを認めているからペナルティを受けている」

 

「……でも、俺達が勝手なことしなかったら、ペナルティになってなかったんじゃ……」

 母にも叱られたしな。


「状況は全部ジェーンから聞いているが、スバル達が勝手な行動したからではなく、アイアンランクのステファニー、フェレナ、エイダンにワイバーン討伐を頼む時点でアウトだ」


「でも、結果的に倒せたし……」

 ハイドが呟く。

 

「じゃあ、お前たちガイドは要らないんだな。結果的に何とかなるなら、ガイドは必要ない。何のためにガイドをつけてるのか分からん」

 厳しい言葉で言われてしまう。確かにギルド長が言うことが正しい。


「……でも、私たちのせいでペナルティには違いありませんから、申し訳なくて……」

 フェレナが視線を落として言う。

 

「それも間違ってる。ジェーンはゴールドランクだ。場に応じた正しい判断ができなかった本人の責任だ。それをお前たちが自分のせいでなんで言ってみろ。ジェーンのプライドを傷つけるぞ」

 

 その言葉に皆が押し黙った。


「ま、ペナルティと言っても、今回のワイバーンの報酬無しと、護衛依頼を引き受けてもらっただけだから、軽い方だ。お前たちが言うように結果は出してるからな」


 ペナルティの内容を聞いて少し安心する。それなら、またガイドを頼めるかもしれない。


「俺達のガイドはどうなりますか?」

 ガイドはやっぱりジェーンさんが良い。


「お前たちが良ければジェーンのままでいこうと思う」

 その言葉に皆の表情が緩む。


「ジェーンも希望してるしな。ただ、1週間ほど護衛依頼に出ているから、その間だけ俺がガイドを引き受ける」

 

「「「「「ええっ――――!!」」」」」

 

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