お宅訪問 4
バーベキューも盛会のうちに終わった。俺たちの獲ってきた魚も変わりだねとして、皆に喜ばれた。食後のデザートアップルパイも安定の美味しさである。さすが料理長作!
「……美味しかったし、楽しかったな」
食後、俺たちは村の外れに作られたツリーハウスに来ていた。スカイとぺぺは妹ちゃんが離さず、家で一緒にお昼寝中である。
俺とハイドは寝っ転がり、ケインとエイダンは壁にもたれて座っている。
「はい。また来たいです」
「いつでも来いよ、次は泊まりがけも良いな」
お泊まり会か、それも楽しそうである。
「な、スバルは騎士団帰って来たらどうするんだ?」
唐突にハイドが聞いてきた。
「……そうだな、まだ決めてないけど、俺は騎士団は向いてないからな……どうしよう。でも、何だよ突然……」
やはり戦うのは怖い。モンスターでも怖いのに、人相手に戦えるか正直自信がない。
「いや、もうすぐ騎士団帰って来るだろう。そうしたらスバルはどうするのかなって。俺とケインは昨日話をして、冒険者を続けることにしたんだ」
ケインが続ける。
「はい。僕も体力が無いので騎士団は正直難しいと感じています。将来冒険者になるかは別にして、さまざまな依頼を引き受けて社会経験を積むのも良いかなと思ってます」
「俺は冒険者楽しかったんだ。いろんな依頼があるだろ?ハンターになるのも良いけど、いろんなことしてみたいなって。父ちゃんに言ったらお前の人生だからお前のしたいことをすれば良いって言ってくれたんだ。だからしばらく冒険者として、頑張るつもり」
平民のハイドは12歳を迎えたら将来を決めなきゃいけない。それまでにいろんな体験をしておくのは良いよな。それは俺にも言えることだけど。
「そっか……俺もしたいって言ったら混ぜてくれるか?」
「「もちろん!」」
2人が即答してくれて嬉しくなる。
「いや、スバルは辺境伯家次男だろ。だから難しいかもなってケインと話てたんだ」
「僕も正直いつまで冒険者ができるかは分かりませんが、できるところまでは続けるつもりです」
同じく貴族のケインが答える。
「家も自由っぽいけど聞いてみないと分からないな。もしかしたら毎日とかじゃなくても良い?」
勉強は正直続けたい気持ちもあるしな。あと、お休みが欲しい。
「それも大丈夫だ。俺もケインも行けない日は個人で受けようって話てたんだ」
「はい。僕も定期的に実家に帰る約束をしているので、できない日が必ずあります」
無理のない範囲ならぜひ俺も続けたい。
「俺も父様に聞いてみるよ」
「おう」
「お互い無理なくいきましょう」
この距離感が楽で良い。本当に友達に恵まれたよな。
「でもな、スバルが続けるって言ってくれて嬉しかったんだ」
ハイドが俺を見て言う。
「何で?」
魔法は使えるようになったけど、まだまだ戦闘能力は低いぞ。もれなくエイダンやスカイがついてくるから総合能力は高いが。
「お前の発想がすごいからだよ。今日の魚捕りでも……俺さ今、風に温度をつける練習をしてるんだ」
「同じく僕は、水の圧力を強める練習をしてます」
「お前が何気なしに言ったことだろうけど、俺1人じゃ思いつかないことに気付いてくれるから、スバルは本当にすごいと思うぞ」
めったに褒められることなんか無いから、どう反応すれば良いか困る。俺の場合前世の知識で、ズルしてるところもあるからな。
「でも1番はやっぱり3人一緒の方が楽しいからな」
「はい!」
そう。俺も2人と一緒は楽しい。
「あ、エイダンももちろん一緒だぞ」
「3人と言いましたが、スカイさんやぺぺさんを入れると6人ですね」
エイダンもこくりと頷く。
「ま、騎士団が帰ってくるまでまだ、時間があるから、しっかりジェーンさんに学ぼう」
「そうだな。ステファニー様と、フェレナ様は規格外だから、2人が抜けた後のことも想定しながらやらないと」
姉とフェレナは騎士団の訓練を優先するだろうな。
「とにかく、明日も頑張るってことだな」
「おう」「はい」こくり。
ジェーンさんが明日どんな依頼を持って来るか楽しみである。




