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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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お宅訪問 3


 ハイドの家に戻ると、バーベキューの準備がすっかり整っていた。


「おかえりちゃい」

「キュキュ!」

 妹ちゃんと、スカイが走って出迎えてくれる。スカイの耳には花冠がのせられ大変可愛らしい。


「楽しかったか?」

「キュキュ!」

 スカイも笑顔なので、楽しかったらしい。良かった。


「おかえりなさい、あら、みんなずぶ濡れじゃない!早く着替えてらっしゃい!」

「えー乾くから良いよ」

「何言ってんの。万が一風邪でもひいたら大変だから着替えてらっしゃい」

 

「いや、俺たち着替えないし……」

「ハイド、服貸したげなさい」

「……でも」

「早く行く!!!」

「「「はい!」」」

 

 ハイドのお母さんの勢いに負け、俺たちはハイドの服を借り着替えた。


 ……ハイドはなぜか同じ服しか持っておらず、皆ペアルックになった。ちなみにエイダンはいつの間にか乾いた自分の服に着替えていた。


 表に出ると、バーベキューの良い匂いが漂ってきた。ハイドのお父さんが家の前に置いておいた魚を持ってくる。

 

「ハイド、たくさん獲ったな。これも一緒に焼いて良いか?」

「おう、よろしく!」


 ハイドのお母さんも俺たちの脱いだ服をカゴに入れて持って来る。

「みんなすっきりしたわね。着ていた服は洗って干しとくからね」

「「ありがとうございます」」

 

「何やっとんじゃ、早く食べんと焦げるぞ。早く来い」

 村長さんが率先して焼いてくれているらしい。

 

「よし、食うぞ!」

「「おー――!!」」


 バーベキューの肉は臭みもなく、柔らかくてめちゃめちゃ美味しかった。味付けは塩一択だがそれも全然気にならないくらい、箸がすすむ。

 醤油や味噌などは今世では、まだ見たことがない。今世も前世と似ているところが多いから、どこかに既にあるか、誰かが開発してくれるのではないかと思う。(残念ながら俺は大豆から作られることしかしらない)

 

「おかわりならいくらでもあるからな、遠慮なく食べるんだぞ」


「「はい!」」


 エイダンも無言で食べている。どんどん食べている。……美味しいらしい。


「そういや、スカイは……」


 スカイはすっかり妹ちゃんと仲良くなって、一緒に食べている。横にはぺぺも(いつの間にかでてきていた)並んで食べており、幼児3人組は見ていて本当にほっこりする。


「スバルくん」

 

 いつの間にか隣にハイドのお兄さんが立っていた。


「ちょっといいかな」

「はい」

 俺は勧められるまま、お兄さんの横に座った。


「急にごめんね、お礼を言いたかったんだ」

 うん?お礼を言われるようなことはしてないぞ。

「その顔、何のことだろうと思うよね。ハイドなんだ」

 ハイド?別に何もしてないけど……。


「ハイド昔から父さんみたいなハンターになりたいってずっと言ってたんだ。俺もハンター見習いをしてるから、憧れてたんだと思う。だけどハイドは優しくて、動物を殺すのに向いてなかった。俺や父さんが、割り切ってできることがハイドにはできなかったんだ。……それが、天昇式で君に出会って、辺境伯の訓練に通いだしてから、一皮剥けたというか覚悟ができたというか、目つきが変わったんだ。冒険者登録をしてからはさらに、成長したみたいで、スライムを狩ったと嬉しそうに話してくれた」

 

 意外だ。お兄さんの方が優しそうで割り切れなさそうだけど、ハイドの方がそうだったんだな。

 

「俺はこの村が好きで、父さんの仕事を継ぎたいし、どこかに行きたいとは思わない。でも、きっとハイドは違うんだ。あいつは好奇心旺盛で一つところにじっとできない。だからきっと冒険者が性に合ったんだと思う。だから、スバルくん、これからもハイドのことをよろしく頼みます」

 

「……俺も一緒にいるだけだし、先のことは、分からないけど……」 

 この先も一緒にいたいけど、いつまで一緒にいられるかは正直分からない。

「もちろんだよ。ただ兄としてお礼を言いたかったんだ。長々話してすまなかったね」

 ハイドのことを本気で考えてくれる、良い兄ちゃんだよな。


「兄ちゃん、スバル何してんだ」

 噂をすれば影だな。

 

「……いや、先日お前がワイバーンを狩ったというほら話について聞いてたんだ」

「いや、それほらじゃないし」

「な、スバル!!」

「はいはい、さ、ハイド肉食べよう、肉」

「ほらじゃないって!!」

 

 2人は仲良さそうに歩いていく。男兄弟も良いな。


 

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