お宅訪問 2
村は1週するのに1時間かからなかった。何も無いと言いながら、畑があり川があり森があり、自然豊かな場所である。
ちなみにスカイは妹ちゃんが一緒に遊ぶと泣いて離れなかったために、お留守番である。
「本当は森に行きたかったんだけどな。大人と一緒じゃないと行っちゃだめなんだ」
残念そうにハイドが言う。
「いいよ、また今度連れてってもらおう」
「はい、昼食まで時間がないですし」
ハイドにとっては当たり前の風景でも、俺とケインにとっては初めての場所で何もかもが目新しかった。
「そうか……じゃあ、川で遊ぼうぜ」
川は深さが50センチくらいの浅瀬で、幅も1メートルくらいと狭い。ただ、子どもが川遊びするにはピッタリの場所である。
俺たちは、ズボンのすそを折ると水の中に足をつけた。
「冷て」
思ったより、冷たく感じる。
「気持ちいいだろ」
日差しが強くなり暑くなってきたから冷たいくらいがちょうど良い。
ジャボン
何とケインが服ごと水の中に入った。
「極楽ですね」
ケインは人魚族のため、暑さに弱い。水に入ると、みるみる元気を取り戻した。
「ケイン、服水浸しでどうすんだ?」
「この天気ですし、乾きますよ」
意外と呑気な発言をしている。
「それもそうだな、俺も入ろう」
ジャバン
ハイドが続いて飛び込む。この流れ、俺だけ入らなくて良いものか。いや良くないだろう。(反語)
ジャボン
ということで、俺も結局水の中に入った。
「エイダンも入ろうぜ」
エイダンも無言で入水。
こういうの前世の漫画とかの流れでいくとサービスシーンで、女子がキャッキャたわむれているのだが、俺たちは、野郎でたわむれている。
「スバル、これでもくらえ」
ハイドが、思いっきり水をかけてくる。
「こっちこそ!」
俺も思いっきり水をかける。
ケインは全体が水に浸かっているので、2人を静観中である。エイダンも同じくぼーっと川の中からこちらを見ている。
ひとしきり水を掛け合うと、お互いにずぶ濡れで、一時休戦になった。
「あっ、魚がいる」
「本当ですね」
ちなみに人魚族も普通に魚は食べるらしい。
「ここの川魚結構美味いんだぜ。網か釣り竿持ってくれば良かったな」
バーベキューに魚がでるのも良いな。網と釣り竿無しで何かできる方法は……
「一つ案があるんだけど、やってみる?」
「おっ、スバル何か思いついたのか?」
「やりましょう!」
皆の意見が一致したのでレッツチャレンジ。
まずはハイドとケイン、エイダンに川下から魚を追い立てて来てもらう。
「じゃあ、スバル行くぞ!」
「行きますね」
「行く」
3人はバシャバシャとわざと音を立てながら上流の俺がいるところまで追い立てる。
上流の少し川幅が狭く、水深も浅く、大きな石などもない場所で俺は、待ち構える。
「スバル!」「スバルくん」「主」
来た!今だ!
「シールド!」
俺は、川いっぱいにシールドを張る。
シールドに思いっきり当たった魚たちが気絶して浮かんで来る。十匹ほどが浮かんできた。
「成功!」
「スバル、お前魔法使えるようになったのか!」
「良かったですね!」
エイダンはこくりと頷く。
3人とも自分のことのように喜んでくれる。本当に良い友人に恵まれたよな。でも、今は歓喜に浸っている場合ではない。
「ありがとう!魚が起きる前に捕まえようぜ」
「そうだった!」
「はい!」
こくり。
俺たちは、見事12匹の魚をゲットした!
今日のバーベキューの食材ゲットだぜ!!




