神殿へGO 2
ルリアに頼んで、簡単な朝食を出してもらい何とか気力と体力を回復させた。
「スバル、お待たせ」
ちょうど食べ終わる頃に、母が視察から帰ってきた。これで馬車が使えるな。
「じゃあ、神殿に行ってきます」
「待ちなさい。神殿にはお世話になっていますからこれを渡しなさい」
母からずしっと思い革袋を渡される。寄進ってやつだな。
「しっかりお礼をお伝えするのよ」
母から念押しされる。
「分かりました。しっかり伝えてきます。じゃあ行ってきます」
俺、エイダン、スカイ、ぺぺ(スカイのお腹の中)で出発だ。
「そういやエイダン、休みなくてごめんな」
本当はこの2日間お休みをあげたいが、2日間とも出かけることにしてしまったために、護衛が必要になってしまった。
「構わない」
エイダンはじっと俺を見ている。
「どうしたの?」
「……呪い」
いろんなことがたくさんありすぎて忘れてた。エイダンの呪いについて聞かないと。無口で何でもできるから呪いのことがすっかり頭から抜けていた。
「ごめんエイダン、気になってたよな。今日、必ず聞いてみる!」
エイダンに悪いことをしてしまった。
「……違う、逆」
「……逆、どういうこと?」
「このままで良い」
「呪われたままで良いの?」
エイダンはこくりと頷く。
呪いを解きたくないのかな。
「よく分からないけど、どんな呪いかは調べてもらっても良い?」
またエイダンはこくりと頷いた。呪いを解くかどうかは、また後日にしても良いしな。
あと、今日することは……
1、エイダンの呪いについて聞くこと。
2、ぺぺについて確認すること。
3、俺の魔法についてとお礼。
こんな感じかな。いろいろお世話になってるのに全然行けてなかったから、しっかりお祈りしないと。
スカイは、ずっと窓の景色を眺めている。
「キュキュ!」
スカイか指差すほうに神殿が見えてきた。
「そうそう、あれが神殿。よく分かったな」
「キュッキュキュウ♪」
なぜかスカイは嬉しそうである。もしかして、スカイも死神に会ってたりするのかな。
神殿に着くと、母から連絡があったのか神官たちが並んで出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました」
代表して声をかけてくれたのは、天昇式を執り行ってくれたお爺ちゃん神官だった。
「これを母から預かりました。お納めください」
忘れないうちに革袋を渡す。
「いつもありがとうございます。御母上にお礼をお伝えください」
「分かりました」
並んでいた神官たちは俺に一礼すると、その場から立ち去った。残ったのはお爺ちゃん神官だけである。
「それでは参りましょう。」
お爺ちゃん神官に続いて、神殿に入る。多くの人で賑わっている大広間を抜け、人通りの少ない、普段は入れない奥に案内される。
「こちらです」
1番突き当たりに、大きく開けた講堂があり、大きなご神体が飾られていた。ご神体は女性とも男性ともとれる姿をしており、優しくほほ笑んでいる。
「こちらにお掛けください」
進められるまま、全員1番前列の椅子に腰掛けた。
「改めて、よく参られました。わしはこの神殿の神官長を務めておるキーファと申します。よろしくお願いします」
「スバル=クリスチャン=バードです、こっちは護衛のエイダン、テイムモンスターのスカイと……」
「キュウ!」
エイダンは無言で頷き、スカイは元気に返事をする。ぺぺ起きてるかな?
「スカイ、ぺぺも出してくれる?」
「ぺぺ」
呼ぶと返事をしてスカイのポケットからぺぺがでてきた。
「テイムモンスターのぺぺです」
「ぺぺ」
ぺぺは手を挙げて返事をする。
「スバル様とは縁がありますな。天昇式といい、卵といい、主神のお導きじゃろう」
「天昇式は神官長が全て執り行うんじゃないんですか」
何となくそう思ってた。
「毎日ありますからな。資格を持った人物が日替わりで執り行っておるんじゃ。普段はわしは裏で仕事をしておりましてな、スバル様の式は久しぶりに執りったものになる。同様に卵の日もたまたま表に出ておったんじゃ」
そうだったんだ。それなら確かにご縁があるな。もしくは死神の導きか。
「そうだったんですね、その節はいろいろお世話になりました」
「いえ、わしは何も……それではご要件を伺いましょう」
神官長は優しい眼差しで促してくる。
「何点かあるのですが、まずはエイダンになります。実はエイダンは呪いがかかっていまして」
「呪いですか?」
「はい、呪いの内容は分からないのですが、タグに『死神の呪い』とあるんです。今分かっているのは、呪いにかかる前の記憶を失っていること。呪いのせいで若返っているらしいことです」
「ふむ、死神の呪いですか……聞いたことがないな」
俺の中では主神=死神と思ってたけどそもそもそれがあっているかも、俺が思う死神とエイダンの死神も同じかどうか分からないな。




