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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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冒険者デビュー14(ぺぺ)


「……スカイ、ポケットからぺぺを出しなさい」


「キュウ」

 スカイは首を横に振る。


「ぺぺ!」

「ぺ!」


 ぺぺがスカイのポケットに入り、5分ほど時間が経過したが、何度呼びかけてもぺぺは応じるつもりがないのか出てこない。声は聞こえるので、ポケットの中でも不自由はないようである。

 

 これでスカイのポケットに生物も入れれることがわかったな……ではなく、どうしよう。

 

「……スバル、ここで押し問答しててもしょうがないから、とりあえずギルドに一緒に戻るぞ」


 ギルド長は眉間にしわを寄せ腕を組んで立っていた。


「……はい」

 とほほ。

 俺がしたわけじゃないけれど、気まずい。

 

 となると、ハイドとケインに言わないとな。

 

「スバル……何でこんなに遅いんだよ、俺たちが3倍近くやってるぞ」


 ぼやきながらハイドが部屋に入ってくる。ケインもその後入ってきた。

 ナイスタイミング!!


「……わりぃ、ハイド、ケイン」

 簡単に事情を説明する。


「スバルって……」

 ハイドとケインは顔を見合わせてあきれ顔である。


「何だよ」

「いや、何でもねぇよ、俺たちはまだ時間があるから3階の部屋も綺麗にしてからギルドに戻るわ」

 

「すまない」

 俺は2人に頭を下げると、スカイに頼み、シーツと枕カバーを出してもらう。


「キュウ」

 ぺぺは出さないのに他の物はすぐに出してくれる。


「こっちが新しいやつで、こっちが汚れてるやつ。じゃあ、悪いけど後は頼んだ。」


 女将さんに、メモをもらい、他の2人で仕事を続けることを告げ、ギルド長、エイダンとスカイ(ぺぺも)と共に宿を後にした。

 

「おかえりなさい」

 ギルドではオリビアさんが出迎えてくれた。

 

「オリビア、悪いが腕の立つやつ2、3人とまり木に向かわせてくれるか?違法取引にかかわってるやつを捕まえられるかもしれない」


「……了解しました。すぐ手配します」

 オリビアさんは話が終わるやいなやすぐに、受付の後のバックヤードに向かった。


 俺はギルド長とともに、最初に来た時に入った、ギルド長の部屋に案内された。


「はぁ、初っ端からやらかしてくれるな」 

 ギルド長は椅子に座ると深いため息を吐いた。

 

「……すみません」

 不可抗力とはいえ、申し訳ない。


「いや、騎士団が遠征に行ってから魔物の違法取引情報がうちにも入ってきてたから、情報自体はありがたかった。けど、テイムするとはな……」 


 俺もするつもりはなかったんです。

 今さら言っても言い訳にしかならないけれど。


「ギルド長、手配完了しました」

 オリビアさんがノックをして部屋に入ってくる。


「助かる。スバル、ぺぺは話が通じるんだろ、捕まえたり引き離したりしないから出てくるよう言ってくれ」

 俺はギルド長の言葉通り、ぺぺに話しかける。

 

「ぺぺ、ギルド長が俺と引き離さないからでてきてくれって」


 その言葉を聞くや、ぺぺはスカイのポケットの中からのでてきた。ポケットの中にいても体調に変わりはなさそうである。


「ぺぺ!」

「キュウ!」


 ぺぺとスカイは嬉しそうに、会話をしている。

 もふもふが2匹で、何ともいえず可愛い。


「スバル、ぺぺの鑑定をしても良いか?」

「いや、むしろお願いします」

 ぺぺを抱っこすると、オリビアさんの前に持って行く。

 

「……それでは、始めます。…………鑑定」


 オリビアさんは目を閉じてスカイに手をかざした。

オリビアさんの手が光る。次第に光が小さくなり最後は消えてしまった。そして手の中には鉄色のプレートが握られていた。


「タグをご確認ください」


俺は心の中でぺぺと答える。

 

ぺぺ


✕✕✕✕✕の幼体。スキル 武闘 才能 火魔法

主 スバル 邪教 神もどき


「……邪教、神もどきって何?」


「何だって?」

 俺はギルド長にタグを渡す。


「……こいつは、厄介だな……」

 ギルド長は俺を見てため息をつく。


「オリビア、鑑定したから分かってんだろ。こいつに説明してやってくれ」

 オリビアさんは顔色を変えず、淡々と説明する。


「はい。わが国では唯一神を信仰しております。ですが、他国や我が国でも一部ですが別の神を信仰するものがおります。我々からすると、唯一神以外に神はいないため邪教と表示されたのだと思います」

 

 なるほど、俺は唯一神を信仰しているから、それ以外の神は邪教ってことだな。 


「つまり、唯一神以外の神を信仰している人にとってぺぺは神もどきってことであってますか?」

「はい。その通りです」

 

「じゃあ、邪教って名前はヤバそうだけど、真っ当な神様の場合もあるの?」

「そこが難しいところでな、神自体が悪いのではなく信仰に問題があるんだ」

「どういうこと?」


「邪教を信仰している奴らは後暗い連中が多い、だからその信仰される神も邪悪な方に歪むんだ。たとえば血を捧げれば、自分に力をくれるとかな」

 なんとなく分かったような、分からないような。

 

「そもそもうちの国は唯一神しかいないって考えでしょう?なのに他に神がいるの?」

「神とは形が見えないだろ?だから自分が信じたいものを皆信仰しているんだ。それが神かどうか正直分からないが、強い思いは力になることがある。それが歪んだものでもな」

 うーん。やっぱり難しい。


「やっぱりよく分からないけど、ぺぺは悪くないってことであってる?」

「ああ、まだ歪んでないからな。その前にお前がテイムできて良かった」


 待てよ、他の人が裏でぺぺを信仰したら、ぺぺが悪い方へ歪んでしまうのか?


「もし見えないところで誰かがぺぺに悪いことを祈ったらぺぺが歪んでしまうんですか?」

 

 今でも目つきが悪いのに、もっと歪むなんて……って冗談言ってる場合じゃなくて、本当にヤバい?

 

「いや、おそらく神=ぺぺと皆が認識しない限り大丈夫だろう。普通に見てこいつが神とは誰も思わんと思う。」 

 確かに、普通に目つきの悪いペンギンもどきだもんな。


「でも、こいつを木箱に入れた奴はぺぺを神もどきって認識してますよね」 

「それも大丈夫だと思う。お前木箱の中見たか?」

 

 木箱の中……中身の方に気を取られて全くっ気にしてなかった。

「いえ」 

「卵の殻が入っていた」


 ということは……


「木箱で孵化したってことですか?」

「おそらくな」

中身は見てないってことか。


「ま、捕まえてみれば分かる。とはいえ、しばらくの間は見えないところに隠しておくほうが無難だな」

「……見えないところって、結構難しいですね」

 スカイも結局護衛をつけて、見えるかしたからな。


「あるだろ、ピッタリな場所が」

 ギルド長がスカイを見る。そうか!その手があったか。


「スカイの袋の中で過ごしてもらうんですね」

「ああ、必要な時だけ出てくれば良い」

 後は……念の為偽装だな。


「エイダン、ぺぺのタグ邪教神もどきだけ偽装できるか?」

「了解」

 エイダンにタグを渡すと、すぐ手元に返された。


ぺぺ


✕✕✕✕✕の幼体。スキル 武闘 才能 火魔法

主 スバル


 良し。しっかり、偽装できている。

  

 でも、俺のテイムモンスターは面倒くさいのが集まってきたな。安心安全から遠のいているような……いや、成長したら強くなる。たぶん、きっと!! 

 

 



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