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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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冒険者デビュー12(宿屋とまり木 2)



ガタッ ガタッ ガタガタッ


 木箱の振動は止まらない。


 万が一危険な生物が入っててもいけないし、とりあえず、ドアを閉めて女将さんに確認しにいこう。


「スカイ、女将さんに確認してからまた、戻って来よう」  


「……キュキュウ」 

 スカイは耳も垂れてしょんぼりしてるが、どうしようもない。エイダンからスカイを受け取ると、部屋の外に出た。

 

「エイダン、事情を話して女将さんに来てもらうよう頼めるか?なるはやで!」

「……了解」

 

 一瞬のうちに見えなくなり、一分くらいたった後にお姫様抱っこで女将さんを連れて階段を駆け上がって来た。


「……すげぇな」

体 は倍くらい違うのに楽々抱っこしている。俺の前に来るとでゆっくり女将さんを下ろす。


「……なるはやで来ました」  

 いや、確かになるはやだったけど女将さんは大丈夫か?


「それで気になる部屋はどこだい?」

 女将さんも少し顔が赤いが平然としている。


「いや、女将さん大丈夫ですか」

「何いってんだい、このくらいのことでびっくりしてたら、宿屋の女将なんてできないよ。……それに、初めてお姫様抱っこなんかされちゃって……きゃあ♡」


 最後の方は小声だったので聞かなかったことにしよう。


「キュウキュキュウ!!」

 と、話し込んでる場合じゃないよな。スカイが心配そうに部屋を見つめ、声を出している。


「この部屋です、エイダン、ドアを開けてくれるか?」

 エイダンなら、危険な生物でも対処してくれるだろう。エイダンを盾代わりにし、みんなで部屋に入る。


 木箱を見ると穴が開いており、振動は止まっていた。


「あの、木箱です。さっきまではあの穴もなくてガタガタ音を立ててたんですが……中身はどこに行ったんでしょう」


「分からないけど、うちは生き物の持ち込みは許可性にしてあるんだよ。トラブルになったら嫌だからね。この部屋はその許可もとってないし、あんな木箱に入れてるなんて……やっかいなもんかもしれないね」

 女将さんはそう言うと難しい顔をした。


「やっかいなものとは?」

 ヤバいモンスターとかがいるのか?

 

「珍しいモンスターを仕入れて闇で売りさばく連中がいるって話だ。今は騎士団が遠征中だろ、町の警備が手薄なんだよ。冒険者ギルドの連中が見回りをかってでてくれてるけど、それでも隙をついて怪しい連中が町に入りこんでるんだ」

 騎士団が不在の影響が出てるんだな。怪しい連中がうろついてるなんて、全然知らなかった。

 

「うちは念の為タグで確認はとってるんだが、やっぱり全ては見分けられなくてね。とりあえず、冒険者ギルドに相談しよう」

 

「分かりました。エイダン、ギルド長に連絡してくれるか?」

「……了解」


 また一瞬のうちに姿が見えなくなった。

 あとは……生き物を探すだけか。って…… 


 しまった!!!!


 この部屋のどこかに何だが分からない生物がいるんだよな。強いモンスターなら、戦闘能力0の俺とスカイでは歯が立たない。盾のエイダンはいないし、ここは一時退却だな。 

 

「女将さんとりあえず、一時避難しますか?何がいるか分からないし」

「そうだね。冒険者ギルドが来るまで鍵をかけて閉めとくよ」


 よし、方針は決まった。あとは出るだけ


 ……ってスカイはどこだ?さっきまであんなに騒いでいたのに今は全く音がしない。


「スカイどこだ!!」

「キュキュウ!」

 

 布団の中から声が聞こえる。 

 これは嫌な予感がするな。


「スカイ?」 

「キュキュウ」

「ぺぺ」


 何か聞こえたぞ。

 でも声だけならそんなに強い印象じゃないな。どっちかっていうと気の抜けた返事だ。


「スカイ、一緒に何かいるのか?」 

「キュウ!」

「ぺ」


 いる。布団の中に確実にスカイと何かが。

 ドキドキしながら布団をめくろうとした時、隅から何かが這い出できた。


 黒いひよこ……いや、ペンギン?


 目つきの鋭い、真っ黒で顔周りだけ白い、前世で見たペンギンのひなに似た何かがそこにはいた。 

  

「ぺぺ」  

 鋭い目つきでこちらを見つめるが、見た目が可愛らしいので全然怖くない。


「キュキュウ」

 スカイも布団から這い出できて、謎のペンギンに似た生き物の横に並ぶ。


 可愛い。

 スカイも可愛いいけどペンギンもどきも小さくて可愛いい。木箱が大きな音がしてたから、もっと凶暴そうな生き物が入っていると思っていただけに、強張っていた体の力が抜けた。


「女将さん、このモンスター見たことがありますか?」「いや、どちらもないね」

 1匹はうちのテイムモンスターです。スカイを指さす。


「こっちは俺のテイムモンスターなんですが、このくろいやつ、何なんでしょう?」

 小さくて可愛いけど、何てモンスターなのかな?


「キュキュウ!」  

「ぺぺ」 


 モンスター同士のおしゃべりも可愛い。黒いやつが布団から飛び降りて近づいてくる。小さいわりに運動能力は高いようで、一瞬で俺の前まで来た。

 

「ペ」

 俺を見あげてくる。

 可愛い。

 

「お前、何ていうモンスターだろうな。ぺぺって可愛いぞ」 


 その瞬間ペンギンもどきの体が光る。

 

ぺぺ(✕✕✕✕✕の幼体)をテイムしました。


 頭の中に文字が浮かぶ。


 つて、テイム!!してない!してない!

 これってヤバいんじゃ……


 

 

 

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