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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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冒険者デビュー2(初依頼)


 指示された奥に行くと扉があり、開くと広々したスペースが広がっていた。屋根はついているが壁はなく、いくつかの長いテーブルがある。ただ、何ともいえない汚れと匂いで、なかなか足を踏み出すのに勇気がいった。


「おう、解体か?」 

 その場で椅子に座ってくつろいでいた男性が声をかけてきた。


「あの、ギルドの依頼書を見て来たのですが……」

 俺は依頼書を差し出す。


「おっ、清掃依頼を引き受けてくれたのか、ありがてぇ。ここは何度も解体依頼が入るから定期的に掃除しないと、すぐ汚れちまってな。ま、よろしく頼むよ」

 確かに、冒険者ギルドならモンスターの解体依頼は多いだろうな。それにこの汚さじゃあ、あまり引き受け手もいないのかも。


 正直俺たち全員顔色が悪い。早く終わらさないと体調不良者が本気で出そうである。

 

「じゃあ、はじめますね。掃除道具はどこにありますか?」


「入口横の棚の中の物は、自由に使ってくれ。俺は邪魔にならないようにしばらく中に入っているから、終わったら声を掛けてくれ」

 そう言うと扉の中に入っていった。


 棚にはほうきやブラシなど一通りの掃除道具が入っている。


「スバル、どうやって掃除するの?」

「ジェーンさん、やってはいけないことはありますか?」

「物を壊さない限り大丈夫よ」

 まずはジェーンさんに確認しないとな。

 

「じゃあ今からお掃除をします!」

 俺は皆に、自分が考えてる方法を伝える。


「まずはハイド、風魔法でここの物を壊さず、空気を押し出せるか?」

「やってみる」

「ウィンド」

 ハイドは魔法の威力を弱めて、部屋の空気を入れ替えてくれた。


「うん。まーまー」

 先ほどまでの臭いが少し、マシになった。

 

「ケインは水魔法で、汚れを流せる?イメージは細く鋭い水を出すイメージなんだけど」

「ちょっと外で試してみる」

 ケインは水の勢いの調整を始めた。俺のイメージは高圧洗浄機だが、上手くできるだろうか?


「うーん、スバルくん。こんな感じであってる?」

 少し水の勢いは弱めだが、上手にコントロールしている。

「水の勢いって上がらないの?」

「これ以上、上げると物を傷つけるかも」


 ならば、仕方がない。姉とフェレナを投入しよう。

「姉さんとフェレナはケインの後をブラシを持ってついて行って、磨いてくれる?」


「「了解」」


 ケインと姉とフェレナは端から掃除していく。思った通り、みるみるきれいになっていく。

 

「俺と、ハイドとエイダン、スカイは落ちている大きなゴミを拾ったり、道具を片付けたりしよう」


「「了解」」「キュウ!」


 手分けして掃除していくと、15分程で見違えるほどきれいになった。

 

「スバルくん、きれいになったけど水浸しなのはどうしよう?」

 うーん、手はいろいろあるからどうしよう?


 水を集める、風で乾かす、闇魔法で吸収する……どれが正解だ?


「闇魔法で吸収は難しいか……ハイドが風魔法で乾かす

か、ケインが水を集めるかな?」


「ケインたびたびごめん。水を吸収ってできるかな?スライムみたいに水を集めるイメージで」

「やったことないけど、やってみるよ」

「ハイドはさっきより少し強めの風をおくれる?温度も高いとなお良い」

「……温度か、やってみるよ!」

 

 ケインの方は大まかに水は集まりそれは外に捨ててもらう。ハイドの方は温度はそんなに上がらなかったが風でだいたい乾かせた。

 

「あとは皆でテーブルを拭いて完成かな」


 皆で手分けしてテーブルを拭く。

 最初の作業開始からトータル30分程で綺麗になった。最初の状態と比べると見違えるほどである。これなら満足してもらえるだろう。


「ジェーンさん、こんな感じでいいですかね?」


「ええ、なかなかやるわね。これなら合格がもらえると思うから、グルドさんを呼びに行ってらっしゃい」


「「「「「はい!」」」」」「キュウ」

 俺たちは、グルドさんを呼びに行った。

 

「……こりゃあ、すごいな」

 最初とは見違える状態にグルドさんも俺の肩をバンバン叩いて喜んでくれた。


「こんなに綺麗な解体場、初めて見たぞ。やるなお前ら」

 手放しで褒められるとやっぱり嬉しい。


「報酬も色をつけて、銀貨2枚支払いにしとくから、良かったらまた引き受けてくれ。俺はグルド、解体場の主をしている。解体について分からないことや、解体の依頼も受付てるからまたよろしくな」

 グルドさんからサインと報酬額の書かれた依頼書を渡される。


 モンスターを討伐したら、解体が必要だもんな。知識もありがたいし、実際に解体してもらえるのもありがたい。最初は、少しためらったけど、これからモンスターを討伐するなら、これが日常になるんだよな。

もしかしたら、それもあってジェーンさんはこの依頼を選んだのかな。


何にしろ良い経験になった。


 俺たちは、グルドさんに頭を下げると、受付に戻った。


「これ、お願いします」

 受付ではオリビアさんが処理をしてくれる。


「はい、確認できました。こちらが、報酬の銀貨2枚です。お受け取りください」

 

 たった銀貨2枚。されど銀貨2枚。

 初めての仕事達成の報酬はやっぱり重みが違う気がする。


「グルドはめったに人をほめないんですが、よほど皆様の仕事ぶりが良かったのか、次もよろしく頼むと書かれています。また、どうぞよろしくお願いします」

 

「「「「「はい!」」」」」「キュウ!」


「私のガイドの仕事も今日はここまでにするわ。明日は朝7時にここに集合でも良いかしら」

「大丈夫だと思いますが、もし難しくなった場合どこに連絡すれば良いですか?」

「冒険者ギルドに伝言を残してくれたらいいわ」

「分かりました」

 大丈夫だと思うけど、念のため母に確認だな。

 

「「「「「ありがとうございました」」」」」「キュウ!」






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