冒険者登録2
「続いてチーム登録についてですが、メルリシア様から全員同じチームで登録するように承っておりますが、間違いないですか?」
「「「「はい!」」」」「キュウ」「……はい」
母が先に根回ししてたんだな。このチームだとガンガン狩りに行きそうだから、細々単独で依頼をこなしたかったのに。
「では皆様のチーム登録をさせていただきます。チーム名とリーダーはどうされますか?」
チーム名ね。安心安全チームが良いけど……
「良ければ、セブンはどうでしょう?」
ケインが恐る恐る手を挙げる。
なるほどな。俺たち今は7人(一匹含む)だし、この世界でも7は縁起が良い数字だしな。悪くないかも。
「いいわね」「いいんじゃないか」「いいと思います」
「キュウ」
どうやら皆も同意見らしい。
「リーダーはどうされますか?」
年功序列だと、姉だな。でも姉だとガンガン行きそうな気がするしな。ここは無難にケインか、俺の指示に従ってくれるエイダンを推すべきだな。
「じゃあ……」「スバル、あんたがしなさい」
俺が言いかけたのを、姉が遮った。
「えっ、俺?」
戦闘力0ですが。
「あんたがする方が良い気がする」
姉の勘は当てにならないからな。
「私も賛成です」
「僕も」
「俺も」
「キュウ!」
なぜか全員が俺を推してくる。エイダンもこくりと頷く。
うーむ。
俺がリーダーになれば依頼も選べるかも。それならメリットが大きいな。
「わかったよ。引き受けるよ」
きっと名ばかりになるけど、ま、良いか。
「良かった。あんたがリーダーの方がいろいろ起こりそうだからね」
「分かります!スバル様持ってますよね」
皆がうんうん頷いている。
いやいや、持ってる要素がどこにある。
「では、登録しますので、全員タグをお渡しください」
全員オリビアさんにタグを渡す。オリビアさんは全てのタグを持ち「登録」と呟いた。
「完了しました。ご確認ください」
自分のタグを確認する。
スバル=クリスチャン=バード
人族 スキル テイマー 才能 無魔法 ✕✕の愛し子
テイムモンスター スカイ チーム セブン リーダー
ちゃんと情報が追加されているな。
「そう言えば、依頼はチームでしか受けられないんですか?」
チームはきっと狩りばかりになる。たまには1人でのんびりしたい。
「いえ、受付でチームか個人確認しますので、おっしゃっていただければと思います」
「分かりました。ありがとうございます」
良かった。常に一緒も息がつまるしな。
「あとは、メルリシア様からガイドをつけるように言われていますが、ガイドをつけられますか?」
「はい!お願いします」
右も左も分からない俺たちにはガイドは必須である。
「では手配いたします。最初の冒険はいつにされますか?」
「「「「今日!」」」」「キュウ!」
皆やる気満々である。
「了解しました。ガイドがいるか確認する必要があるのでしばらくお待ちください。その他気になることはありますか?」
「報酬の受け取りは、どうなりますか?」
フェレナが確認する。
「依頼達成時に受付でお渡しになります。リーダーに一括でお渡しするので、そこからチームの皆様に配分していただければと思います」
うげ、それは面倒だな。できたら、分けていてほしい。
「報酬を人数分で分けてもらうことは可能ですか?」
「すみません。ギルドでは行なっていません。よろしかったら、チームの口座をギルドでお作りできますので、当面はその口座に入れておき、必要に応じて配分する方法はあります」
なるほど、毎回だと面倒だけど、定期的にみんなに支払うなら、良いかも。
「良いんじゃない」
「はい、私もそう思います」
姉とフェレナが賛成する。
「その他にはありませんか?無いようでしたら、ガイドの確認をして参りますので、しばらくこちらでお待ちください」
そう告げて、ミランダさんは部屋を出ていった。
その間俺たちは、報酬についての確認をする。
「僕は、あまり役に立たないかもしれないので、報酬を分配するときそこも考慮してもらえたらと思います」
「俺もです」
謙虚なケインが言い、ハイドも追従する。
「何いってんの。1番役に立たないスバルがリーダーなのよ。そのリーダーだって報酬をもらうんだから、みんなで等分しましょう」
姉よ、意見には賛成だが、言い方はひどくないか。
「とりあえず、一ヶ月冒険者をやってみて、そこで相談したらどうでしょう?ただし、どうしてもお金が、必要な場合は皆に相談のもと支払うにしては」
フェレナが意見を告げる。
「良いんじゃない。それにチームで必要な経費もそこから出しましょうよ」
なるほど、それは良いな。
「だったら口座を作らず、スカイにまとめて持っていてもらうか……その方が出し入れは楽だし」
スカイが誘拐されない限り、大丈夫だろう。
「良いわね。あとは、ハイド、お金が必要なときには遠慮なく言いなさい。正直このメンバーで平民はあなただけよ。私、スバル、フェレナ、ケインは貴族だし、エイダンは護衛の報酬もあるから、お金には苦労してないわ。だから、もし緊急で必要なときは、スバルに言ってもらいなさい。みんなもそれで良い?」
姉がまともなことを言っている。
皆も同意見なのか全員が頷いた。
「……ありがとうございます!」
これで報酬についてはまとまったな。




