冒険者登録1
「それではこれから皆様の冒険者登録を行いたいと思います」
「「「「はい!」」」」「キュウ!」
皆よほど嬉しいのか、満面の笑みで返事をする。
「ここからは一般的な話になるから、俺は仕事に戻るが、何かあればまた呼んでくれ。頑張れよ、若き冒険者たち!」
ギルドマスターはそう言うと部屋から出ていった。
改めてオリビアさんが、皆の方を向いた。
「まずは皆様、今回は仮登録になさいますか?本登録になさいますか?」
また、初めて聞く言葉がでてきたぞ。
「仮登録と本登録は何が違うんですか?」
姉が代表して聞いてくれる。
「皆様はまだ10歳になられていませんよね。ですので、未鑑定のはずです。仮登録は今分かっているスキルがタグから読み取れます。本登録はスキルと才能どちらも読み取れます」
「何か差がありますか?」
「仮登録は子どもを対象としているので、活動に制限がかかります。依頼がブロンズ級対象のものまでしか引き受けられません」
仮登録良いシステムだな。それでいこう!!
「……なるほど。じゃあ思いきって本登録の方が良いのかしら」
姉が不穏なことを呟く。
「ただし、本登録には親御さんの承諾がいります」
良かった!それなら本登録は今日は難しい。
仮登録をしよう!仮登録を!!
「姉さん、今日のところは仮登録で良いんじゃない?また、冒険者に慣れてきたら父様と母様に頼めば」
「そうね、せっかく来たからには登録して、早く依頼を受けたいし」
よし!仮登録で決定だ。
「それでは皆様、仮登録ということでよろしいですか?」
「「「「「はい!」」」」」「キュウ!」
俺も思わず大きく頷いた。
とりあえず、良かった。
「ではまずは皆様のタグを作ります。お持ちでない方はこちらにいらしてください」
姉、フェレナ、ハイド、ケインがオリビアさんの前に並んだ。
「それでは仮鑑定を行います」
1人ずつ行い、タグを渡していく。タグの内容を俺はこっそり見せてもらった。
ステファニー=リュシー=バード
人族 スキル 槍術(上級)
フェレナ=アルマイヤ=セルフィン
人族 スキル 剣術(剣聖)
ハイド
獣人族 スキル 弓術
ケイン
人魚族 スキル 索敵
「あれ、ハイドとケインは魔法が使えるのに、書かれていないな……」
風魔法と水魔法、種族特有の才能があるはず。
「おそらく、才能によるものだからでしょう。基本的に仮鑑定はスキルしか表示されません」
「なるほど。あと、タグで冒険者ランクが見分けられるんですか?」
「はい、冒険者ランクが、上がるごとにランクの素材を使った新しいタグにお取替えします」
つまり、俺はまだアイアンランク、鉄級ってことだな。
「タグを見れば何級か分かるってことね」
となると、分からなかったエイダンも同じアイアンランクになるな。
「皆様、登録ができましたのでここからは、冒険者になるにあたっての説明になります。省略される方もいらっしゃいますが、お聞きになりますか?」
「「「「「はい」」」」」「キュウ」
もちろん。安心安全のために、聞ける情報は聞いておかないと。
「まずは依頼についてです。下の壁にランクごとに依頼書を掲示してあります。依頼を引き受けたい時は、掲示板から依頼書を剥がし、受付に渡してください。基本的に今の自分のランク以下の依頼しか受けられません。また、依頼には期限があるものないものとありますので、見落とさないようにご注意ください。万が一依頼の期日を守れなかったり、依頼に失敗したりしますと、ペナルティが発生します。」
「ペナルティって何ですか?」
ハイドが聞く。
「ペナルティは、状況にもよりますが、依頼報酬の半額を支払うことになります」
「状況によるとは?」
今度はフェレナが聞く。
「故意でなく期日を守れなかった場合は、依頼主と相談の上、ペナルティが無しになることもあります。逆に悪質と判断された場合、全額支払うことや、繰り返しペナルティを受けた場合、ランク降格、失効などもあります」
ペナルティはできるだけ受けない方が良いってことだな。
「ただし、引き受けた依頼の達成が困難な場合はためらわずにペナルティを受けてください。無理を通すと命を失うことにもなりかねません」
命があっての冒険者だもんな。断る勇気も必要なんだな。
「依頼の完了も受付で行いますので、疲れているからと後回しにせず、冒険者ギルドに必ず立ち寄るようにお願いします」
これもペナルティ対策だな。
「続いて依頼の種類ですが、大きく奉仕系、討伐系、採取系、創作系に分類されます。奉仕系は掃除をしてほしい、受付を手伝ってほしいなどです。討伐系はモンスターの討伐など。採取系は植物などの採取など。創作系は何か作ってほしいなどの依頼になります。」
安心安全は討伐系以外だな。依頼はしっかり選ばないと。
「奉仕系の依頼完了は依頼書に依頼主のサインが必要になります。討伐系はそれぞれのモンスターの討伐証明部位の提出。採取系は依頼物の提出。創作系も依頼物の提出となります」
「討伐証明部位はどうすれば分かりますか?」
フェレナが確認する。
「受付で確認する方法、誰かに聞く方法、ギルドの2階にある資料室で確認する方法などがあります」
なるほど、依頼にでる前にしっかり準備する必要があるな。冒険者……奥が深そうだ。
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