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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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桃を売ろう6


 そして騎士団の遠征が始まり、いよいよ今日は冒険者ギルドで桃を売る日である。(皆の冒険者登録の日とも言えるが)


 ケインとハイドとは冒険者ギルドの前で待ち合わせにしたので、馬車には俺、姉、フェレナ、エイダン、スカイが乗っていた。

 

「楽しみね!」

「はい!」

 姉とフェレナは冒険者登録をよほど楽しみにしていたのか、窓の外を眺めながらそわそわし通しである。

 

 一方の俺も別の意味でそわそわしていた。


 ……もちろん、桃がいくらで売れるかである。


 初級ポーションが銅貨3枚だと聞いているから、銅貨5枚くらいになってくれると嬉しい。


 ちなみに今日は桃を200個用意してきた。

 たとえ銅貨3枚でも結構な大金となる。

 俺の定期的な収入にもなるし、安心安全な暮らしにもつながる。


「そういえばエイダンは冒険者登録しているの?」

元のエイダンは良い歳だから、しててもおかしくない。

「……分からない」

 だよな。

 焦らず、冒険者ギルドで聞くべきだった。


「スカイも登録できると良いな」

「キュウ!」

 

 そうこうしている内に馬車は目的地の冒険者ギルドに到着した。入口にはハイドとケインの姿が見える。


 俺たちは馬車から降りると、ハイドたちに合流した。 


「よし、行こう!」 


 気合いを入れる。

 頼むぞ、桃!


「「「「「おー!」」」」」「キュウ!」


 皆も気合い十分である。


 入口から入ると、受付にオリビアさんがいるのが見えた。そのままオリビアさんの受付に向かう。


「ご無沙汰してます」

 オリビアさんが笑顔で対応してくれる。


「お久しぶりです。お母様からご連絡をいただいておりました。ギルドマスターがお待ちですので、こちらへどうぞ」 


 どうやら今回もギルドマスターにお世話になるらしい。そのまま皆でオリビアさんについて行く。前回とは別の少し広い部屋に案内されると、ギルドマスターが待っていた。


「よく、来たな」

 相変わらず見た目は熊みたいにいかついが、笑顔で出迎えてくれた。


「お久しぶりです。今日はよろしくお願いします」

 皆で頭を下げる。


「俺はギルドマスターのアランだ。よろしく頼む。とりあえず、座れ」

 言われた通り、皆椅子に座った。


「まずはモモについてだな。とりあえず1個出してくれるか?」

 どうやら母からある程度話がいっているらしい。スカイに頼み、桃を出してもらう。


「これがモモか……俺も初めて見る。果物なんだろう?」

「はい。ですが鑑定鏡では初級ポーションと同じ効果があると出ました」

「なるほど。効果は日持ちするのか?」

「とりあえず、一ヶ月は持つことを確認しています」

 その後も変化を見るために桃を置いているが、桃自体に変化は見られていない。効果は確認できていないが。

 

「オリビア鑑定を頼めるか?」


「はい、それでは鑑定させていただきます」

 オリビアさんは桃を手に取ると「鑑定」と呟いた。


「スバル様、情報を転写してもよろしいですか?」


「転写?」

 初めて聞く言葉だな。


「はい。情報を紙に写すことです」

「大丈夫です。お願いします」

 ここにいる皆は桃について知っているからな。


桃 効果 少し傷を治す(初級ポーションとほぼ同じ効果) 美味 価値 銅貨6枚


「おおっ!銅貨6枚!」

 やったー!200個あるから、200×6000=120万くらいになる!!


 アランさんが、情報を見ながら確認してくる。


「美味とあるが、どんな味なのか食べてもいいか?」

「もちろんです。スカイ桃を2つ出してくれるか?」

「キュキュウ!」 


 売る以外にもまだ桃はストックしてある。俺はアランさんとオリビアさんに一つずつ桃を渡した。 


「私もよろしいのですか?」

「はい。食べて感想をいただけると嬉しいです」

 初級ポーションの倍の値段だから、売れるか正直不安だしな。2人ともそのまま桃にかじりつく。

  

「うまい」「美味しい」


 よし!2人の反応も良さそうだ。


「これが初級ポーション代わりになるのか……銅貨6枚。売れるな」

「はい。初心者よりも中、上級者が欲しがると思います。それにもしかしたら料理人も欲しがるようになるかもしれません」

「確かに初めて食べる食べ物、しかもとびきり美味いとなれば、貴族で買い占める奴がでてくるかもな」

「一人に売る上限を決めて、売り出しましょう」

「そうだな」

 ギルドの2人でどんどん話がついていく。

 

「スバル様、今日はいくつお持ちですか?」

「とりあえず200個持ってきました」

 オリビアさんが少し考え込んでから俺に告げた。


「スバル様、よろしかったら最初の100個だけ半額で売ってはどうでしょうか?」


「どうしてですか?」


「見慣れない食べ物、しかも金額が倍となると最初は買う人が現れないかもしれません。最初だけ初級ポーションと同じ値段にしておけば、試しに買う人が現れるはずです。そこから口コミで広まれば、倍の値段でも買う人はでてくると思います」

 なるほど、損をして得を取れというやつだな。 


「分かりました。それでお願いします」

 とりあえず桃はいけそうだ。


「スバル話は終わった?」

 姉が、そわそわしながら聞いてきた。

 俺の話で待たせすぎたな。姉以外の皆もそわそわしているのが伝わってくる。


「桃についてまだ何か聞いておくことはありますか?」

「その他の細々したことは、下で納品する時にお伝えしますね」


 オリビアさんは、やはり空気を読むのが上手い。

皆が待ちくびれてきているのが分かり、そう俺に言ってくれた。


「分かりました。姉さん、俺の話はとりあえず終わったよ」

 次は皆のお待ちかね冒険者についての話だな。

 


 

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