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初めてのゲット


 ベッドの中は熊ちゃん人形を身代わりにしたから、誰かが来ても誤魔化せるはず。


 確か、神託では家の前の木の下だったよな…………

 こっそり抜け出したが、玄関は開けると大きな音がするし…………

 よく漫画で見る、2階からカーテンを垂らしてスルスルっと降りるのは俺には難易度が高いし…………


 むっ、人の気配。

 俺は柱の影に隠れた。


「夜の廊下はやっぱり不気味よね…………」


 この声はルリアか。

「ゴミ捨てに行かないといけないなんて…………何事もありませんように…………」


 ラッキー。

 バレないようについていこう。

 裏口のドアをルリアが開けて出ていく。


 今だ!!


 俺はこっそり外に出るのに成功した。


「家の前の木の下か……」


 って、家の前ってどこからどこまでを指すんだ?

 お約束では、輝夜姫みたいに光ってたりするよな。

 頼むぜ死神!!

 

 家は腐っても辺境伯家。

 家の周りは森が広がっている。

 子どもの足で1周するのに約20分。


 俺はやりきった!!


 …………光っている木は見つけられなかったが。

 きっと正面に生えてるのが家の前の木だろう。

 そうだ、そうに違いない。


 正面は道で、木が生えてないから、右手の木の下を掘ってみるか。


ザクザク

ザクザク

ザクッ…… 何か埋まっている。


 ってただの石かよ!!


 とりあえずなさそうだから、左の木の下を掘ってみるか。


ザクザク

ザクザク


 ふうっ…………疲れたし、眠い。

 いやいや、最強のモンスターゲットまであと少し(多分)

ザクッ………… 何か埋まっている。


 ってただの骨かよ!!

 いや、いや、いや、何の骨だよ……何か怖いし、眠いし…………今日はここまでだな。寝よう。

 裏口から部屋へ帰ろう。


ガチャ。


 …………えっ。


ガチャガチャ。


 えっ。えっ。…………ちょっと待てよ。 


 いやいや、大丈夫、大丈夫。


ガチャ。


 ルリア、几帳面に見えてどっか抜けてるとこあるし…………。

 

 …………閉まってるなんて、嘘だよな。


 嘘だと言ってくれ。


「死神――――――!!!」


 俺の今夜野宿が決定した。 



◇ ◇ ◇



次の日の朝、スバルの部屋では…………。


「スバル様、良い天気の朝ですよ」

 ルリアがカーテンを開ける。


「スバル!!特訓行くわよ」

 ステファニーがベッドに突撃した。


「早く起きなさい!!って…………あれ?スバルがいない」

 布団の中からは、熊ちゃん人形つぶらな目で見つめている。


「スバル様がもう起きていらっしゃるなんて……何か天変地異の前触れかしら」

 ルリアが首をかしげる。


「スバルめ。特訓がイヤで逃げたわねーー!!」

ステファニーが大声で叫んだ。


「いつもは熊のぬいぐるみなんて無いもの!」

「なるほど、そう言うことですか」

「きっとどこかに隠れてるに違いないわ、スバル、どこに隠れているの!!」

「スバル様、諦めて早くでてきたほうが良いですよ」

 扉という扉を開け、ベッドの下に潜るが、見つからない。


「きっと、別の部屋に逃げたんだわ。ルリア、行くわよ。スバル、早くでてきなさい!!」 

「スバル様――。早くでてきたほうが、身のためですよ」

 

2人は別の部屋へと、スバルを探しに旅立った。


「なかなか、見つからないわね」

「お腹が空いたら、嫌でもきっと出てきますよ」

「…………そうね。じゃあ私も朝ご飯を食べに降りるわ」

「私も、朝食の準備の手伝いにまわります。」

 

二人はスバル探しを諦めた。



◇ ◇ ◇


その頃、裏口の前では。

 

「……結局、一睡も出来なかった」


何か変な鳴き声が気になって…………。

いや、怖かったわけじゃなくて、気になって……。


…………って、嘘です。

本当はめちゃめちゃ怖くて、眠れなかったんです。

「…………早く誰でもいいから、開けてくれよ」


太陽が昇ってずいぶん時間が経った。


「…………何で、誰もでてこないんだよ」

独り言が、進む。進む。

「ルリアーー!!姉さん――!!誰でもいいから開けてくれ――!!」

 

ガチャ

 

「あら、スバル様、こんなところに隠れて、いらっしゃたんですか」


「ルリア!!」

 さすが俺のメイド。猫耳女神様――――!!


「早くステファニー様にお伝えしないと」

「…………えっ?どういうこと?俺を心配して探しに来たんじゃ……?」


ルリアは俺には構わずに、姉を呼びに裏口から去った。

「ステファニー様、ステファニー様。スバル様がいらっしゃいました!!」

「さすがルリア!!隠れていた分もプラスでしっかり特訓しないと!」


 遠くから、姉の声が聞こえてくる。


 えっ。


 どういうこと?


 えっ。えっ。えっ。


 俺が気絶するまで、後1分。  





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