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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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桃を売ろう4


 そして1ヶ月が経った。 


 何と桃は全く変化なく効果もそのまま持続することが分かった。しかも、スカイが桃を出せる数が増え、今では何と1日に20個も出せるようになった。

 

「そろそろ桃を売りに出したいな」


 訓練終わり、中庭でいつもの男子会をしている。


「おおっ!ついに売り出すのか」

 ハイドが目を輝かせた。


 ハイドも美味しい物に、目がないからな。女性陣と同じように気をつけないと、すぐに桃を狙ってくる。しかもスカイが優しいから最近では怪我をしたらすぐにくれるし。


「でも、おそらく高額になるんじゃないでしようか。初級ポーションもそこそこの値段がするし、味も良いなら価値も上がるでしょうし」

「……そうか。高いのか」

 ケインがハイドに釘を刺す。


「美味しいからとちょっとのことでハイドは桃をもらいすぎです。本当に必要なときだけにしないと」

「分かっちゃいるけどやめられないんだよ――」

 本当に中毒性は大丈夫だろうか。


「料理長お手製のおやつもいただいているのですから、我慢も必要ですよ。スバルさんやスカイさんに愛想つかされても知りませんからね」


 ちなみに今日のおやつは、ケーキである。クリームたっぷり、果物もふんだんに使われており、ヤバいほど美味い。ハイドは四切れ目に突入している。

 

 でも、確かにこれから売り出すなら、定期的に納める必要があるだろうし、数の確保も必要だろうな。


「食べれなくなると聞くと余計に食べたくなるのはなぜだろう……」

 ハイドがしょんぼりした顔つきになる。 

 

「……スカイ、ハイドとケインに桃を5個ずつあげてくれ」

「キュキュキュ!」

 スカイはポケットから桃を取り出し2人に渡した。ちなみに最近は毎日朝、桃を生成してもらいエイダンに偽装をかけてもらっている。これならいつスカイが桃を出しても心配がないからな。

 

「これが食用の桃を渡す最後にする。あとは買ってもらうか、スカイが自分で渡したときだけにさせてくれ」


 友達といえど線引きは必要だよな。ハイドには悪いが、これから先のことを考えるとケインの言うようにするほうが理にかなっている。


「……しょうがないよな。この桃大切に食うよ」

「僕までいただいて良いのですか?」

「ああ、友達に差をつけるのは嫌だからな」

 

 二人は桃を大切そうにしまった。

 何だかんだ二人ともいい奴だからな。


「そういや、桃はどこに卸すんだ?冒険者ギルド、商人ギルド、薬師ギルド、どこでもいけそうだけど」


 ギルドもいろいろあり、扱っている品が被ることも多いらしい。だが、どこで鑑定しても価値は同じらしく、自分がよく行きそうなギルドを選ぶと良いとミレー先生から聞いていた。

 

「冒険者ギルドにするつもり」

 戦う気はさらさらないが、そこで働く人の人柄の良さはお墨付きかあるからな。信用第一である。

 

「じゃあ、俺も一緒に行けないかな?」

「ハイドも?良いけど何で?」

 まさか桃を買い占めるつもりか。おそらくたくさんは買えないぞ。


「俺も冒険者登録して、小遣い稼ぎをしようと思ってたんだ。初級訓練が1ヶ月は中止だろ。体動かしとかないと、体がなまっちまう」

 そう、騎士団の遠征があり、初級訓練が1ヶ月程お休みになることが決まった。(やったー!)何でもワイバーンの群れが、確認されたらしくその退治に行くらしい。


 ちなみに父が騎士団のトップなので、今準備にてんてこ舞いである。


「ぜひ僕も一緒に行かせてください。僕も一緒に冒険者登録したいです」

 ケインも追従する。


「みんな真面目だな。俺は1ヶ月のんびり過ごすつもりなのに」

 そう、体をゆっくり休められる貴重な時を俺は無駄にしない。


「何の話?」

 姉がフェレナを伴って中庭に姿を表した。

 

「「ステファニー様、フェレナ様」」

 

 ハイドとケインが慌てて椅子から立ち上がり、直立不動の体勢をとる。


 ……お前ら俺との差が激しくないか。 


 俺も一応は辺境伯の次男だぞ。ま、友達だから良いけど。

 

「楽にして良いわよ」

 

「「はい!ありがとうございます。失礼します」」

 ハイドとケインは顔を赤らめて、そのまま席につく。

 お前ら二人の中身は✕✕✕と知ってるはずなのに、なぜ……見かけに騙されているな……

 

「スバル」「スバル様」


 二人の笑顔が怖い。ヤバイヤバイ。なぜかいつもいらんことを考えるとバレるんだよな。


 姉に頬をつねられながら、姉とフェレナも席についた。

 

「それで、何の話をしていたの?」

「はい!俺とケイン、2人で冒険者登録をする話です」

 ハイドがハキハキ答える。


「なるほど、訓練がてら、実戦で経験を積むのね」

「「はい!」」

 

 そういや姉とフェレナはどうなるのだろう。上級訓練班は皆騎士団に組み込まれると聞いたが。


「姉さんとフェレナはどうなるの?」

「聞いてよ……私とフェレナももちろん行くつもりだったのに、父様が若いからダメだって、許可してくれないの」

 確かに姉もフェレナもまだ、学園にも行ってないもんな。

 

「じゃあ、俺と同じで1ヶ月お休みか」

「ええ、でも良いことを聞いたわ。私も冒険者登録をする」

「もちろん私もします」

 姉に引き続きフェレナも言う。


「今後に備えて実戦経験を積むのは有りだと思うの」 

「体力作りにもなりますしね」


「じゃあ良かったら、俺たちとチームを組みませんか?俺は弓術と風魔法、ケインは索敵と水魔法が使えます」


ハイドがチームに誘う。この流れはまずい。まずいぞ。




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