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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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奴隷商に行こう4


「今回は見送りますか?」


 戻ったゴルダ氏に聞かれる。どうやら俺の反応を見て察したらしい。


「でも、護衛がいないと、スカイが自由に外出できないしな……」

 

 正直いつ自分に合う護衛と出会えるかなんて分からない。だからこそ、ここで決めてしまう方が正解かも知れない。

 だったら、とりあえず2人とも頼むのも有りかもな。俺が返事をしようとする前に、父が不意に尋ねた。

 

「ゴルダ殿、訳ありに候補になりそうな奴隷はいないのか?」


「……そうですね、1人候補がおります。ただ、訳ありですので、正直護衛としてふさわしいかは分かりませんが、連れて参りますので少々お待ちください」


 そう言うと、ゴルダ氏はリャンメルさんと、アルダンさんを連れて出ていった。

 

「父様、訳ありとは?」


「訳ありは、訳ありだ。病気や怪我の場合もあるし、犯した罪がひどすぎて取り引きできない場合もある。ただ、国から補助がでる関係で、3階で療養させたり、隔離したりしてゴルダ殿が面倒を見てるんだ」


 ゴルダ氏、懐が広いな。でも、そうでなきゃ奴隷主などできないのかもしれない。

 

「そうなんですね。その訳ありの人が、僕とスカイの希望にあてはまる人だと良いのですが……」

残り物には福がある。頼みます神様。


「お待たせしました。こちらが訳ありの護衛候補です」

 ゴルダ氏が連れてきたのは俺と同じくらいの年の少年だった。黒の髪に、紫の瞳。かなり整った顔付きをしている。見た目は人族だが、種族は何だろう。


「とりあえずタグをご確認ください」


エイダン

魔族 スキル 影狩り 才能 武術 剣術 槍術 馬術 

状態 呪い(死神) 主 ゴルダ


「すごい、戦闘系の才能がかなり有る」 


「はい、エイダンは武術全般に優れているため、ご紹介した中で戦闘力は1番高い者になります」

 

 ただやはり気になるのは呪い(死神)だよな。

「なぜ呪いがついているのですか?」


「それが私にもさっぱり。エイダンはどうやら記憶喪失らしく、気がついたら家の前に倒れていたんです。」

 そういや、タグに奴隷の文字がなかったな。

 

「エイダンは奴隷ではないのですか?」

「はい。ただ、家も商売をしておりますので、ただ飯くらいをいつまでも置いて置くわけには参りません。エイダンは本人希望のもと、バングルを着けて、家で働いていたのですが、先日エイダンを知る奴隷がたまたま家に来まして、実はエイダンが暗殺ギルドの長かもしれないと言いだしたんです」


 暗殺ギルドの長!?こんなに幼いのに?

 

「僕と同じくらいの歳なのにですか?」


「それが呪いのせいではないかと。元々エイダンは三十歳くらいの歳だったそうなのですが、呪いのせいで若返っているのではと。外見とスキル影狩りが長と同じだから間違いないと言うのです」


 暗殺ギルドの長か。そりゃあ戦闘力も強いし、護衛にもピッタリだろうな。

 

「暗殺ギルドの長と判明すれば犯罪奴隷となりますが、記憶のないエイダンは口数は少ないですが、仕事はきちんとやるし、人に理由なくあたったりもしない。ただ、この先もここで働いていれば、同じようなことを言い出す人間がでできそうで、どう扱えば良いか正直困っているところだったんです」


 つまりゴルダ氏の中で、今のエイダンは仕事ができる良い奴ということなんだな。

 

「ちなみに呪いの鑑定はしてもらったんですか?」

「それが、かなり複雑な呪いらしく並みの鑑定スキルでは分からないと言われてしまいました。王都にいる最上級の鑑定士ならもしかしたら……というレベルらしいです」


 本人も記憶喪失だから誰になぜ呪われたかも分からないし、呪いが今後どう作用するかも分からないか。

でも、これはきっと縁だよな。

 ……何しろ呪いに死神がついてるのだから。


「エイダン、聞いても良いかな?」

 エイダンはこくりと頷いた。


「僕は今日僕とテイムモンスターのスカイの護衛を探しに来たんだ。エイダンさえ良かったら、護衛になってもらえないかと思っている。報酬ももちろん払うし、良かったら呪いについても調べてみたいと思ってる。どうかな、俺たちと一緒に行かないか?」


 エイダンはまた、こくりと頷いた。


 あれ、あっさり頷いてくれたな。


「スカイはエイダンが護衛になるのどうかな?」

「キュキュウ!」

 賛成というように手を挙げる。


「良かった。じゃあ雇用条件を決めたいんだけと、何かこれだけはという希望は有る?」

 エイダンは首を振る。


 本当に謙虚だな。俺が無茶な条件にしたらどうする。

「いや、言うなら今しかないよ」


「……死神が言っていた。お前と共にあれと」


「えっ……どういうこと?」

 エイダンはそれっきり口を閉じて何も答えなくなってしまった。


 ……死神、また何かやらかしたのか。 

 

「どうやら話がまとまりそうですが、辺境伯様、本当によろしいのですか?正直呪いについても正体についてもリスクが高い気がするのですが」

 ゴルダ氏が心配そうに口を挟む。

 

「いや、護衛に関しては息子に一任している。息子が良ければ問題はない」

 父様も本当に寛大だよな。

 

「では、商談に入りますが、正直エイダンは奴隷ではないので、特にお金はかかりません。今までにかかった費用も本人に頼んだ仕事代で相殺できます。ただ、バングルはどうしましょう?」


 なんと、無料。

 奴隷じゃないならバングルはいらないな。

 

「無し……」「欲しい」

 

 俺とほぼ同時にエイダンが答える。 


「バングル欲しいの?」

 エイダンはこくりと頷く。


「でも、俺の言うことに絶対服従だよ」

 また、こくりと頷く。


「エイダンもこう言っているので、バングルはつけたままにしておきましょう」


 奴隷じゃないのにいいのかな。本人が望んでいるからいいのか。では、細かな条件をつめていこう。 




 

 

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