初級訓練② 1
「……うーむ」
魔力の授業を受けてから1週間、とにかく魔力を感じようと日々実践しているが、未だに結果はでない。
スカイも同様である。
「スバル、どうしたんだ?」
今は初級訓練中。今日の訓練は身の守り方を考える訓練である。
「いや、魔力が感じられたら、シールドを使って守れるのにと思って」
母の授業は今のところ魔法についての知識を深める授業になっている。無魔法の中でもシールドは初心者向けの魔法らしく、魔力さえ感じられたら使ってみたい魔法ナンバーワンである。
「そうか。でも今は使えないんだろ?とりあえず今回はどうやって耐えるか相談しないと」
そう、今回も、お約束、ロキ教官の一撃に耐えよう訓練である。
「スバルさん何か良い案はありませんか」
「うーん、ロキ教官のスキルは無効化だから、下手なスキルは無効化されるし」
「前回と同じ手を使ってもだめだしな」
「はい。今回はどうしましょう。ロキ教官は正面から模造刀でリーダーの頭を叩くと言われていました。前回のように逃げたり、隠れたりはできません」
そう。今回はロキ先生がハンデをくれている。その条件下でいかに耐えるか考えないといけない。
ちなみに今回も俺、ハイド、ケインでグループを組んでいる。
スカイも俺のテイムモンスターなので、一緒に訓練に参加しているが、基本俺とセット、ニコイチである。
リーダーは……最後まで揉めた。そりゃ叩かれるから誰もやりたくはないよな。そこで公平に男気ジャンケンをしたところ……やはり俺がリーダーとなった。
なんでだ(泣)
「お前たちどうやって耐えるか考えたか?」
でたな三下トリオ!
「いや、まだです」
ケインが律儀に応える。
「俺たちは最強の作戦を立てた。どうだ聞きたいだろう?」
いや、別に興味ない。興味ない。
「ふっ、仕方がないな。今回だけは特別に教えてやろう」
聞いてもいないのに、三下は勝手に話しだした。
「俺は土魔法が使える」
知ってる。一番身長が高い奴が言った。
「俺は獣人族だから、強化魔法が使える!それで壁を強化して、教官の一撃に備えるんだ!」
真ん中の身長の奴が言う。確か獣人族の使える風魔法は、普通に風を扱うだけでなく、風をまとわせるイメージで強化魔法も使えるんだったな。
なるほど三下にしては考えたな。でも壁の強化は無効化魔法で解けたりしないんだろうか。土があるから、解けないのか……うーん分からん。
「……そして俺がリーダーとなって教官の一撃を受ける……」
声ちっちゃ。
悲壮な顔つきである。
一番背の低い奴がババを引いたんだな。ま、俺と同じで今回は(俺は今回も!)何もできなそうなポジションだから仕方ないか。
「……頑張れよ」
思わず声をかけてしまった。
「キュキュウ」
俺につられてスカイもポンポンする。
スカイのポンポンは効くからな。元気出せよ。
「お前に言われるまでもない!お前らはさっさとやられるんだな」
捨て台詞をはいて、その場を去っていく。
1番小ちゃい奴、ファイトだぞ!
でも、やっぱり、最初にやられそうな奴らだよな。
「スバル、マジで俺たちもどうしよう?」
ハイドに声をかけられるがなかなか良い案が思いつかない。
……難しい。
……一撃をかわすか。
……待てよ。
今回は一撃をかわせばいいんだよな。ならば何とかなるかも。
「俺に考えがあるんだけど、上手くいくかは分からないけど……」
「おおっ、俺は思いつかないからその案のった!!」
いや、まだどんな案か言ってないぞ、ハイド。
「僕も、思いつかないので是非教えてください」
「じゃあ、作戦会議だ!」
「おう!」
「はい!」
「キュウ!」
3人と1匹が集まって、今回の作戦の打ち合わせを行う。
……今回は上手くいきますように。
俺たちも三下トリオと同じかも……と思わなくもないが、やるしかないよな!




