鑑定を終えて 3
家に帰って待ち構えていた母や姉、フェレナにタグを見せる。
「これが、鑑定したらもらえるタグですか」
姉とフェレナが興味深そうにスカイのタグを眺める。
「心の中でそこに書かれている名前をつぶやくと、情報が分かるようになっているらしいよ」
「じゃあ、スカイちゃんのタグを見ても良い?」
姉が、スカイのタグを握っている。
「……良いですけど、周りにペラペラしゃべらないでくださいね。……スカイも良いかな?」
正直姉は信用がないが、ま、家族に秘密にもできないしな。
「キュウー!!」
スカイは手を挙げて返事をしてくれる。
「じゃあ、始めるわね。スカイ!!」
いや、姉よ。実際に叫ぶのではなく、心の中で言えば良いのだが。
「スカイちゃん!!スキル 果物生成、才能 聖魔法。種族名は分からないわね」
だから姉よ、すでに皆に情報が漏れてる、漏れてる。ま、今集まってるメンバーは俺にスカイ、両親、姉、フェレナだけだから良いけど。
「ステファニーにタグを見せるのは、止めた方が良いな」
父よもっと早く気付いてくれ。
「何でよ!」
「情報が全部だだ漏れだからだ。黙っているのも苦手だろう」
姉はうっ……とつぶやいて言葉に詰まる。
「ステファニー様は、悪気があるわけではありません。ただ、素直なだけなんです。今回の果物生成や聖魔法についてもうっかり言ってしまっただけなんです。果物生成なんて聞いたことのないスキルだから、秘密にすべきなのについうっかり言ってしまっただけなんです!」
フェレナよフォローになっていない。
姉はしょんぼり下を向いてしまった。
「スカイちゃん、ごめんなさい」
「キュキュウ」
スカイは気にするなというふうに姉を慰めている。本当にできたモンスターである。
「果物生成は聞いたことがないわね。あなたは聞いたことがある?」
母が考えながら言う。
「いや、俺も知らないし、アランも知らんと言っていたな。おそらくユニークスキルだろう」
ユニークスキル?何だそれ。
「ユニークスキルって何ですか?」
母がそれに答える。
「聖魔法はヒーラーや、モンクなどか授かるスキルや才能だから、そんなに珍しくない一般的なものよ。それとは別にめったに聞かない、どうやって発動するかも分からないスキルや才能を授かることがあるの」
なるほどそれがユニークスキルか。
確かに果物生成なんてどうやって発動するかも分からないし、どんなスキルかも想像ができないもんな。
「俺のテイマーもそうなのかな?」
「いや、テイマーには会ったことがあるし、多くはないがまだ聞いたことがあるスキルだ」
テイマーはユニークスキルじゃないんだな。
でもまずは、分かる方の力を伸ばすべきか。
「そうなんですね。とりあえずスカイが魔法が使えるように誰か先生をつけてもらえたらありがたいです。それと俺の無魔法も一緒に指導してもらえたら嬉しいです」
「無魔法!?」
「スバル様、無魔法って、もしかして鑑定してもらったんですか?」
姉とフェレナに驚かれる。母は変化無しだから、父が前もって伝えていたのだろう。
「うん。今の自分の力をどうやって伸ばせば良いか分からずに悩んでたんだ。だから思い切って鑑定してもらってスッキリしたよ」
「……確かにテイマースキルの伸ばし方は私たちも分からなかったものね」
「とりあえず、魔法が発動できるように明日から頑張りましょう」
なぜか母が話をまとめた。
「明日からって、もう先生が決まったの?」
いや早く始めたかったから決まっていたら嬉しい。
「もちろんよ。目の前にいるじゃない」
えっと……俺の目の前にいるのは……
「もしかして母様が先生?」
「ピンポーン!これでも冒険者ランクゴールドのヒーラーよ!無魔法も聖魔法も使えるわ」
何しろ伝説の勇者パーティーだもんな。
そんな人に教えてもらえるなら、言うことはない。
ちなみに冒険者ランクはアイアンランクからはじまり、ブロンズ、シルバー、ゴールドと昇級していく。ゴールドランクまで昇級するのはかなり難しいらしく、一国に両手に数えるほどしかいないらしい。
父ももれなくゴールドランクなので、家の戦力はかなり高めだ。
「スバルは明日からどんな予定で動く?お前が決めていいぞ」
父から言われて、はっとした。今の予定に魔法訓練がプラスされたら、とてもじゃないけど気力も体力ももたない。かと言って、勉強は生き残るためにもおろそかにできないし……訓練は嫌だけど初級訓練は意外とためになるし……。
よし、決めた。
「父様、初級訓練を毎日から隔日に減らして、そこに魔法訓練を入れても良いですか?」
「……分かった。頑張れよスバル!」
「はい!」
魔法訓練、ついに俺も魔法が使えるのか!!めちゃめちゃ楽しみだ!
「朝の訓練は続けるからね」
姉からいらない一言が入る。いや……朝の訓練はなくても……
俺が嫌がる素振りを見せると、姉は俺にたたみかけるように言った。
「そうでなくても、体力無いんだから。何になるにしろ基礎体力の向上は必須よ」
確かに……姉の言うことも正しい。
……やりたくないけど。
「……了解しました」
トホホ。




