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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
21/167

鑑定を終えて 2


「この唐揚げ、めちゃジューシー、めちゃ美味!」

 俺たちは、ギルドの中にある食事処で今日の日替わりランチを食べていた。


「キュキュウ♡」

 スカイもリュックから出し、椅子に座って食べている。何とスカイは、すぐにスプーンもフォークも握られるようになった。家の子賢い!

 

 さすがにギルドの中なら誘拐される心配もないだろう。

 

「良かったです。このお店はギルド直営でして、鮮度が良い食材を使ってるんです」


 確かに、持ち込まれた素材を一番早く使えるもんな。俺も小さい頃は魔物の肉と聞き、食べるのをためらっていた(美味しそうな匂いに負けて、すぐに口の中に入った)が、今では全く気にならずバクバク食べている。正直前世の肉よりも美味しいかもしれない。

 

「そう言えば、父様とアランさんてどういう関係なんですか?」

 2人なんだか仲良さそうだった。家ではあまり聞いたことがなかったけど。


「ギルドマスターからは昔一緒のパーティーを組んでいたと聞いたことがあります。たまにスチュアート様がいらっしゃると、お互い気兼ねがない感じでお話をされているのをお見かけします」

 そうか、昔の冒険者仲間なんだな。パーティー組んで冒険か。また、父にも聞いてみよう。


 オリビアさんが小声で話かけてきた。

「ここだけの話ですが、ギルドではそのパーティーは伝説のパーティーとして有名です。剣のアラン、槍のスチュアート、魔法使いのソフィア、ヒーラーのメルリシア。邪竜討伐の勇者として、おそらく知らない人はいないでしょう」

 

 邪竜討伐!?

 母もメンバーの一員か!!

 血染めのスチュアートもそこらへんからきてるのかな。

 

「私もその中の魔法使いソフィア様に憧れて、冒険者ギルドに入ったんです。実際は魔法の才能に恵まれず、鑑定士として受付嬢になりましたが」

 そうだったんだ。アランさんはギルドマスター、スチュアートとメルリシア俺の両親は辺境伯とその妻。


「ソフィアさんは今はどうされているんですか?」

 そう、そう、あとはソフィアさんのその後だな。多分俺も会ったことないし。


「ギルドマスターとご結婚されて……とても幸せそうでした。お子様を出産される際に……そのまま儚くお亡くなりになってしまいましたが。もう7年になります」

 

 マジか。

 だから両親からあまり話を聞かなかったんだな。

 触れてはいけない話題ってやつだ。


「……そうだったんですね。すみません。言いづらいことを聞いてしまって」

「いえ、家のギルドで知らない人はいない内容ですから、大丈夫です。ただギルドマスターにソフィア様のことを聞かれるのは酷だと思いますので、ご配慮お願いします」

 

 オリビアさんの顔をまじまじと見る。 

 この人本当に仕事ができるな。


 最初の伝説のパーティーの話からここまで、ソフィアさんのことを俺がギルドマスターに聞かないように、さりげなく誘導したんだ。それが本当にスマートで、違和感がない。


「オリビアさん、すごいですね」

 

 オリビアさんは何も言わずに、にっこりとほほ笑んだ。


「スバル、待たせたな」

 ギルドマスターとの話が終わった父が現れた。

 

「父様、ここの唐揚げめちゃ美味です!」

「そうか、久しぶりに俺も食べたくなったな。スバル、デザートでも食べて、俺が食べ終わるまで待っててくれるか」


 もちろん!デザートは別腹である。俺は甘いものにも目がない。

「キュウー♡」

 スカイも大喜びである。

 

「それでは私は失礼させていただきます」

 オリビアさんが席を立つ。

 俺とスカイに長々付き合ってくれていたが、、オリビアさんも仕事中だもんな。

 

「ああ、ありがとう。助かったよ」

「ありがとうございました」

「キュキュウ」


「また、今度は冒険者として、お会いできるのを楽しみにしています」

 オリビアさんが右手を差し出す。

 俺は慌てて手を拭き、オリビアさんと握手をした。オリビアさんはそのまま受付へ帰っていった。


「スバル、お前のタグも家に帰ってから見せてもらって良いか」

 そういや、俺のは見せてなかったな。

 俺にも伏せ字があるけど両親なら別に構わない。

 

「別に構いませんよ、何ならここでも良いですけど」

 タグを渡そうとすると、ため息をついた父に受け取りを拒否された。


「タグの内容は俺しか分からないが、やはりその内容の話になるだろう。スキルや才能はデリケートな話題だから基本、大勢がいる場所ではしないのが常識だ。覚えておきなさい」

 そうなのか。やはり俺は知らないことが多いな。知らずに危険な目に合うのは嫌だから、やはりしっかり学ばねば。


「分かりました。ありがとうございます。父様」

「いや、言っていなかった俺も悪かったな。さ、早く食べて家に帰ろう」


 デザート、デザート!!


「お待たせしました。今日のデザートアップルパイのアイスのせです」

 ホカホカのアップルパイにアイスがのり、少し溶けはじめた感じでのっている。めちゃめちゃ美味そう!!一口食べてみる。


「美味い――!!」

「キュウ――――♡」


 幸せな1日になった。



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