鑑定!!
スカイ
✕✕✕の幼体。スキル 果物生成 才能 聖魔法
主 スバル
おおっ、頭の中にスカイの情報が浮かんできた。
「すごい!!」
「鑑定スキルはすごいだろう。スバル、俺もスカイの情報を見ても良いか?」
父に鉄色のタグを渡す。✕✕✕、父様なら読めるかな。
「ふむ……何のモンスターかは俺も分からないな」
「どうした?表示がバグったか?」
「スバル、ギルドマスターにも見せて大丈夫か?」
「はい!種族名が伏せ字で分からないんです」
「ふむ。ちと見てみるか……」
ギルドマスターにも握ってもらう。
「駄目だな。俺も読めん。スバルこいつはどうやって手に入れたか聞いても良いか?」
父も信頼しているギルドマスターになら言っても大丈夫だろう。
「スカイは、神様の啓示がありいただきました」
「やっぱりか、果物生成も聞いたことないし、聖魔法は神に関係する魔法だしな。それでロックがかかってるのかもしれん」
「ロックですか?」
「あぁ、俺も一度しか見たことがないが、神が閲覧に制限をかけているらしい。前の奴は、才能に伏せ字があったんだが、聖女スキルを伸ばしたら自分には見えるようになったらしい」
「そうなんですね。それじゃあ、スキルを伸ばせば見えるようになるかもしれないってことですね」
「おそらくな。ただ種族名だから、もしかしたら成長したら分かるようになるかもしれん」
ふむふむ。さすがギルドマスター、情報の引き出しが多い。
「ま、いろいろ試してみるんだな。鑑定はこれで終わりで良いか?」
ヤバい、俺も視て欲しいんだった。
「僕も視ていただけませんか?」
「スバルはまだ9歳だろう」
すかさず父からストップがかかる。
「僕自身テイマースキルの伸ばし方が分からず困っているのと……父様の訓練についていくのがやっとなんです。自分自身の力で勝負したくても伸ばし方が分からないから、今の自分を知りたいんです」
そう。このままただ闇雲に訓練しても、俺の力が伸びている実感がない。
「……だが……」
「いいじゃねえか」
ギルドマスターが声をかけてくれた。
「自分を知るって大切だぜ。それが早いか遅いかの違いだけだ。スバルは今が良いんだろう?」
「はい!」
そう、メリット、デメリットいろいろ考えたけど、やっぱり自分を知りたい。
「父様、お願いします」
「……後悔はしないんだな」
「後悔はするかもしれません。でも、鑑定しないほうがもっと後悔すると思います」
父はしばらくじっと俺を見つめたあと、ため息を吐いた。
「……仕方ないな、お前の人生だ。お前が責任をとれ」
突き放したような言葉にも聞こえる。
でも、父が俺を認めてくれた気がした。
「オリビアさん、鑑定お願いします」
側で控えていたオリビアさんに声をかける。
「……分かりました。それでは始めます。鑑定」
オリビアさんの手から光が溢れ出す。何となく温かい。
と思っているうちに鑑定が終わったらしい、俺の名前が書かれた鉄のタグを渡される。そして心で自分の名前を呼ぶ。
スバル=クリスチャン=バード
人族 スキル テイマー 才能 無魔法 ✕✕の愛し子
テイムモンスター スカイ
よし、出た。
よっしゃー!!無魔法が使える!!
おまけに俺にも伏せ字があるけどこれは多分死神の愛し子だな。
「どうだった?」
「無魔法が使えます!」
「無魔法か……とりあえず、スカイのこともあるし魔法使いの教師を探そう」
さすが父!さす父!!
「ありがとうございます!」
これで、少しは訓練が楽になりますように……。
「そう言えば鑑定について聞いても良いですか」
そう、実は気になっていた。なぜ鑑定するとタグが出てくるのか。
「大丈夫ですよ」
「なぜ鑑定すると、タグが出てくるんですか?しかもそのタグを握れば情報が分かるのも不思議です」
「鑑定については、神が与えたスキルなので不思議なことが多いのです。タグも情報が分かることも仕組みは分かっていません」
オリビアさんが丁寧に答えてくれた。
「おう。ただギルドに伝わる昔話で、タグがない時代は冒険者の死亡者が今とは桁違いに多かったらしい。それを神に祈ったら、鑑定スキルを授かったと聞いたことがある。実はこのタグ、亡くなったら理由も分かるから、冒険者全員着用が義務づけられているんだ」
「亡くなった理由が分かるんですか?」
何、そのありがたいシステム。
「あぁ、そんなに具体的ではないが、病気、毒、モンスターによる殺害、人による殺害、ってな具合で表示される」
タグすげーな。ある意味ダイイングメッセージになるわけか。
「でも、僕が犯人だったら、タグを奪うかも」
「そこも不思議なことにタグはどんなに頑張っても亡くなってからは首から外れないんだ。普段の着脱は自由にできるのに、亡くなった後からは外れなくなっている」
神様ってすげーな。本当にいろいろ俺たちのことを考えてくれてるんだな。
死神もその1人。
本当にありがたい。
スカイも授かったし、また神殿にお礼を言いにいこう。
(そうでしょう♪)
うん。今、死神の声が聞こえた気がしたが、気のせいか。
「だから、冒険者でなくてもみんな一度は鑑定してもらい、タグを持つようにしているんだ」
父が、首からタグを出してくれた。
「最後にもう一つ聞いてもいい?鑑定って物の鑑定もできるの?」
「はい、人の鑑定は鑑定スキルもちは誰でもできますが、物は人によって見える内容が異なりはしますが。
例えば、このペンでも、ただペンしか見えない人、ペンの作者まで見える人、ペンの効果や性能まで見える人、その人がスキルの能力をどこまで伸ばしているかによって、見え方が違います。また人と違いタグは出てきませんので、口頭で伝える必要があります」
「なるほど、よく分かりました。ありがとうございます。オリビアさん」
「いえ、お役に立てて良かったです」
にっこり微笑んでくれた、本当に美人だな。
少し見惚れてしまったのはナイショである。