鑑定に行こう! 1
さっそく父にスカイの鑑定をしたいと頼むとあっさり許可が出た。むしろ、思いつかなくてすまないと言われてしまった。冒険者ギルドには、貴族が鑑定を依頼する場合は前もってお願いしておく必要があるらしく、次の日に鑑定に行くことになった。
「スカイ、どんな能力だろうな」
スカイにとっては初めての街歩きだが、スカイは珍しいモンスターのため、念のためいつものリュックスタイルで背負っている。
「キュキュウ♪」
どうやら楽しいらしく、リュックの中から定期的に声がする。もしくは、初めて見る景色に興奮してるのかも。
俺は辺境伯家の次男とは言え、気軽な立場なので結構1人で街にも来てる。(見えるか見えないかくらいのところに護衛の人がついて来てくれているが)いつもは、街の商店で食べ歩くか、街の学校をのぞきに行って子どもと一緒に遊び呆けている。
ちなみに街の学校は午前中のみ、孤児院に併設されており、希望者は無料で誰でも行ける。昼食も無料ででるので結構人気で孤児の子どもだけでなく街の子どもも結構通っている。これは祖父の政策らしく、飢えて亡くなる子どもを減らすために始めたらしいが、子どもの識字率が上がり、就職する際に有利にもなるため、今では家以外の領地でも主流になってきている。
今日は、俺1人ではなく父様も一緒なため、家から街までは馬車で移動し、街をスカイに見せたかったので途中で俺だけ降ろしてもらった。(護衛の人ごめんよ)
姉とステファニーは意外なことに、鑑定を断った。
槍術や剣術を極めるためには、他の能力を伸ばす余裕などないらしい。知れば試してみたくなるからと、ついても来ず、いつも通りの訓練をこなしている。
父とは1時間後に冒険者ギルドで待ち合わせである。
ちなみに服装も街歩きする時は平民スタイルである。よく隠しきれない何かで貴族とバレることがあるらしいが、俺は全くオーラが無いらしく、一度も貴族とバレたことがない。えっへん。
「おっ、あそこの露店初めて見るな。ちょっと寄り道していこう」
「キュキュウ♪」
美味しそうな匂いがする。しかもスカイの好物の果物を売ってるっぽい。
「おっちゃん、2つちょうだい」
「まいど!小銅貨8枚だ。冷凍パイナップルだよ!冷え冷えで美味いけど、いっぺんに食べると頭がキーンてなるから気をつけろ。」
「銅貨1枚でお釣りもらっても良い?」
貨幣も前の世界とあまり変わらない。小銅貨1枚がだいたい百円、銅貨1枚がだいたい千円、銀貨1枚が1万円、金貨1枚が10万円、白金貨1枚が百万円くらいである。ちなみに俺の1ヶ月のお小遣いが金貨1枚である。さすが辺境伯太っ腹である。(良い値段のものを買うと一発でなくなるけど)
「あいよ、小銅貨2枚のお返し」
ちゃんとお釣りが返ってきた。まっとうな商売人だな。
たまにお釣りをごまかす悪徳商売人もいるから、そういう奴は遠慮なく父にちくっている。その後どうなるかは知らないが。
子どもが昼からお手伝いなどで働いて、だいたい日当銅貨1枚くらいだ。それを考えると少し割高だが、珍しい果物であること、氷魔法で凍らせてることを考えると、むしろ安すぎかもしれない。
「おっちゃん、珍しい果物で氷魔法まで使ってるのにこんな安くて大丈夫?」
リュックを降ろしてリュックの隙間からスカイにパイナップルを渡す。もきゅもきゅと食べる音がする。
「はっはっは、心配してくれてるのか?ありがとな。実は今日はお試しなんだ。実際に売れるかと、お客様の反応をみて、今後店を開くか検討中なんだ」
なるほどモニターだな。うーんでも対象を誰にするかで、結構単価が変わると思うな。
「いろいろ果物の種類を増やしたり、アイスとセットにしたり、可愛く盛り付けたりしたら、もう少し値段上げてカフェでいけるかも…」
「なるほど……坊主、良い意見ありがとよ!俺の名はギタンだ!もしお店開いたら食べに来てくれ!」
美味しいお店はウェルカムである。しかも果物ならスカイも大喜びだ。是非実現させてほしい。
「頑張って!!」
「キュウーー♡」
実現に期待だな。
ちなみにこのあとスカイにねだられて、銀貨1枚分追加で購入した。
他にもいろいろ食べ歩き、満足したところで冒険者ギルドにやって来た。冒険者ギルドは街の外れ、外壁門の近くにある。モンスターなど、討伐した素材の移動が門に近い方が楽らしい。また、何だかんだ素材の匂い(血などもろもろ)もあるためどこの街でも街外れにあると聞いた。