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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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作戦会議 2


「では、この孤児院の日頃の様子を教えてください」

 俺は皆を代表して2人に質問する。


「はい。職員の方はいつも丁寧に挨拶してくだいますし、炊き出しに行って中を見てもいつも皆清潔で綺麗な服装をしています」

 店長さんが丁寧に答えてくれる。

 

「炊き出しに行かれてるんですか?」

「はい。週に一度ですが伺っています」

「ちなみにそれ以外で何か気づかれた点はありますか?」

「……そうですね。孤児の出入りが激しい点ですかね……里親がすぐに決まるようで前見た子が次の週にはいないことがよくあります」

「逆に入ってくる子についてはどうですか?」

「今日もたくさん入ってましたし、里親が決まって孤児がいなくなったぶん、恵まれない子を連れてくるような活動をされていると伺いました」

 

「……なるほど。ちなみに以前いたので右手に大きな黒いアザがある子はいませんでしたか?」

 末姫様が微笑まれながら口を挟む。アザの子を知ってるのかな?

 

「……私は配るのに夢中であまり、子どもの顔は覚えていないんですが……」

「いたわよお父さん!先週はもういませんでしたが。黒いアザが目だっていたのでよく覚えています……それが何か?」

 店員さんの方が見かけたことがあるらしい。

 

「いえ、以前スラムで見かけて保護しようと思っていた子なんですが、既に保護されていて安心しました」

「良かったです!」

「他に質問はありませんか?」

 皆を見渡すけれど、特に声が上がらなかったのでここまでにする。


「お二人ともありがとうございました!抜き打ちの視察の関係で今日聞かれたことや我々のことは内緒にしていただきたいのですが大丈夫ですか?」

「もちろんです!私たちは客商売なのでお客様の情報は漏らさないことが基本ですから」

 店長さんも店員さんもしっかりと頷いてくれる。

 

「本当にありがとうございました」

 皆で丁寧に頭を下げる。店長さんは恐縮したように慌てて言った。


「頭を上げてください……皆様またよかったら家の自慢の海鮮丼を食べに来てください」

「家のは近所でも話題になるくらい、味には自信があります!またぜひ」

 そう言うと2人は奥に入って行った。


「……アザのある子は、私が火災にあった孤児院にいた子です」

 末姫様が先ほどとはうって変わり真剣な表情をして呟く。

 

 ということは、誘拐された子たちがここに集められでいるのは間違いないだろうな。


「でもいったいなんで子どもたちを集めてるんだ?……それにここを出てどこに連れて行っているんだろう?」

 ハイドが呟くが、どれも現段階では不明である。

 

 理由は分からないけど、ろくでもないことに違いなさそうである。


「恐らく孤児院は黒だと思います」

「ええ、火災もきっと子どもたちを誘拐するための隠れ蓑ね」

 

「この後ですが、どうしましょう?」

「とりあえず、近衛兵を呼べるだけ呼んで、少し離れたところにいてもらうようにするわ」

「我が家の兵も呼びましょう」「私も」

 ヤドリ侯爵とケインのお父さんもそれに賛同し、兵を集めることになった。それぞれが家臣に指示を出す。


「なぁ、スバル。もしも赤ちゃんはもともと別の場所で連れて来た、似てるけど別人って言われたらどうするんだ?」

「それに今日連れて来た赤ちゃんは恐らくどこかに隠されていて表には出てこないかもしれません」

 ハイドとケインに突っ込まれる。

 

「別人って言われても、その頃には突入してるから大丈夫だと思う」

 思いっきり、物理な解決法だけど、ま、良いだろう。

「赤ちゃんの場所はグリンに探してもらって、末姫様に視察にかこつけて見つけてもらえば良い」


「なるほどな。でもこの作戦だと末姫様危なくね?」

「しかも、万が一誘拐していないと言い逃れされたら、末姫様の立場も危ういです」

 

 はっ。

 全然考えていなかったけど、ハイドとケインの言う通りである。勢いで作戦立てたけど、一度考え直す必要があるかも。


「いえ、私は大丈夫です。早くしないと子どもたちがまたどこかに連れ去られるかもしれませんし」

 末姫様はキッパリと言い切る。決心は固そうである。

 

「姫様なりません。自ら敵の陣地に乗り込むなど、危険すぎます」

 護衛のカイトさんが苦言を呈す。

 

 ……ですよね。

 この作戦、末姫様が孤児院に行かないと成り立たないし、しかも先頭に立たないと駄目だから危険度マックスである。


「やはり、里親の方から崩しましょうか?それか、動きがあるまで見張ってそこを尋問するか……」

 いつになるかは分からないけど、回転率が速そうだから、そっちから崩すこともできそうである。


「……その手しかないと思います」

 カイトさんは重々しく頷いた。


 本当は早く助けてあげたいけどこればかりは仕方がない。末姫様、ヤドリ侯爵、ケインのお父さんところの派兵も止めてもらわないとな……。

 


 

 

 

 

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