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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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作戦会議 1


 10分ほどして護衛の方が帰ってきた。


「シェル伯爵とヤドリ侯爵に連絡が取れ、すぐにこちらに向かっていただけるそうです。後は職員の方は今直接探しに行っていますのでもうしばらくお待ちください」

「ありがとうございます」

 よし。後は皆が集まって作戦会議だな。そんな話をしているとエイダンも戻ってきた。


「……伝えた。末姫様来る」

 よし、これで末姫様がオッケーなら作戦が実行できる。


「ご苦労さま!」

 エイダンはこくりと頷き、俺の隣に座った。


 3匹はまだ夢の世界である。


 外に見える孤児院も何の変化も見られない。


 まだ、待機だなとのんびりしていると、ケインのお父さんとヤドリ侯爵が到着した。お忍びでとお願いしたからか、二人一緒に護衛も少ない人数に絞ってくれている。


「すみません。急に呼び出して」

「いや、こんな大切なことならいつでもすぐに連絡してくれて構わない……末姫様はまだか?」

 ヤドリ侯爵が聞いてくる。


「はい、まだお見えではありません……婚約の話は上手くいきましたか?」

「お陰様でなんとか婚約解消は免れたが……何分家の息子がな……後は当人同士でなんとかするだろう」

 とりあえず、婚約解消がなくなって良かった。息子さんも末姫様への気持ちは本物っぽかったから多分大丈夫だろう。


 そんな話をしていると話の当事者の末姫様がやって来た。後に1人ずつ侍女と護衛を伴っている。護衛は先ほどもいたカイトさんである。


「お待たせしました」


「いえ、ちょうど今皆さん来られたところです。ただ、まだ孤児院の施設の方がいらしていませんが……」

「それでしたら、私の後に控えている方がそうです。念の為孤児院に寄って、侍女服に着替えて来て頂きました。シェル伯爵家の護衛の方にもその旨お伝えしています」

 さすが末姫様、頭が切れる。先を読んで動かれている。


 テーブルは中央に固めてセッテイングしておいたので皆に席についてもらう。


「エイダン、孤児院に何か動きがあったら教えてくれるか?」

 エイダンはこくりと頷き、窓際の席に移動した。見張り役として念の為残ってもらう。


「では、早速話に入りたいと思います。一応状況を説明しますね」


「今日俺達はたまたま、孤児院の火災に遭遇しました。そこで何か手伝えないかと近くに行ったところ、乳児が行方不明になっている話を伺いました。ここまであっていますか?」

 念の為職員の方に確認する。


「はい。乳児クラス10名と職員3名が火事のあと行方不明になっています。火災に巻き込まれたわけではなく、助けに行った職員からは火災が起きた時既にいなかったと報告を受けています。実際、火災現場から遺体は見つかっていません」

「……私の時と状況がおなじですね」

 考え込むように末姫様が呟く。


「そこで火災の消火には役に立てないと思い、行方不明の乳児を探すことにしました。職員の方にお願いして乳児の持ち物、このおしゃぶりですが、持って来ていただき家のテイムモンスターのグリンが鼻が利くので、探させたところこの孤児院にたどり着きました」


「ちなみにグリンくんの精度は?」

 ヤドリ侯爵が確認する。


「今のところ百発百中です」

 うちのグリンはすごいからな!!


「ちなみにこの孤児院ですが、ミウム伯爵から慈善事業を始めたいと1年前に王家が半分資金を出資して建てられたものです。ここ最近の事業報告書のうつしを持って来させています。ただ、今まで特に問題は指摘されていませんから、報告書には問題がない可能性が高いです」

 

「じゃあ、やはり実際と報告書に隔たりがある可能性が高いのか……」

 実際に調べるしかなさそうである。


「先ほど、ここの店員さんから興味深い話を伺ったので、店員さんと店長さんを呼んでも良いですか?」

 ケインが気を利かせて店員さんと店長を呼んでくる。


「私たちに話とは何でしょう?」

 二人が少し緊張気味にやってくる。

 

「もしかして末姫様ですか?お顔の火傷のあとがない!治られたんですね!!良かった、本当に良かった!!」

 先ほどの店員さんが涙ぐんでいる。末姫様、皆に顔を知られているし、やはり人気が高い。


「ありがとうございます。実は前に建てられた孤児院を抜き打ちで視察したいのですが、少しお話を伺ってもよろしいですか?」

「何か怪しいところがあるんですか?」

 ヤバい。今はまだあまりことを大きくしたくない。

 

「いえ、私が参ると分かると皆、張り切ってしまい本来の姿が見えづらいのです。ですから、こうして定期的に抜き打ちで視察に来るようにしているんです」

 上手い!!さすが末姫様!!

 

「そうでしたか……それでしたら、何でもおっしゃってください。ね、お父さん!」

 隣にいる店長さんはお父さんらしい。

 

「ああ、もちろんです。ただ、何分平民なもので何が失礼にあたるかも分からず……無礼な真似をしてしまったら申し訳ありません」

 店長さんはまだ警戒している。そりゃいきなり王族が来たらそうなるよな。

 

「何をおっしゃられても、罰しないことをお約束します。ですので、聞かれたことを素直に答えていただけるとありがたいです」

「分かりました」「はい!」


 店長さんもその言葉に安心したのか、少し表情が緩んだ。


 よし、これなら話が聞けそうだぞ。

 

 

 


 


 

 

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