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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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疑惑の孤児院 2


「食事中すみません。少しご相談があるのですが……」


 俺は護衛の方たちのテーブルに行き、空いている場所に腰掛けた。


「はい。なんでしょう」

 護衛の方たちは海鮮丼を食べるのを中断して、話を聞く姿勢をとってくれる。


「時間もないので、食べながらで。実は……」

 そのまま食べすすめてもらうように促してから、俺は小声で今日あった火災の件、行方不明になっている孤児が目の前の孤児院にいるかもしれない件を伝えた。


「……なるほど、聞けば聞くほどかなり怪しいですね」

「はい……俺はグリンのことを信頼してるので、間違いないと思っています」

「ただ、ミウム伯爵家ですか……家の伯爵家と同じくらい勢いのある家ですね。家がテベル国に隣接しているのと同じように、ミウム家はメフィス国と隣接しており貿易も盛んで物資も豊富な領地になります」

 メフィス……なんだか聞けば聞くほどきな臭くなってきたな……。


「ただ、スバル様がおっしゃるように無策で飛び込んで誘拐を主張しても証拠がないと逃げられるだけでしょう。今までの里親縁組を調べるのが一番確実ですが、それにはかなり時間がかかります」

「誘拐の証拠さえあれば、末姫様の件もありますので王家が動き捕縛も楽になるのですが……」

 誘拐した証拠はない。どうすべきだろう……。


「確か王家もあの孤児院に出資していると聞きました…定期的な監査に来たことにすれば中に入れませんか?」

 

「……それならなんとかなるかもしれません。ですが、どうやって王家と連絡を取りましょう?」

「実は末姫様と縁があって知り合いになったんです。以前の火災も行方不明の乳児がいると伺ったので、今回の話をしたら力になってもらえるかもしれません」

「了解しました。では、スバル様、末姫様に連絡していただけますか?私の方でシェル伯爵に応援の連絡と本日火災のあった孤児院で乳児の顔を知っている職員を探す手はずを整えます」

「ありがとうございます。待ち合わせ場所はどこにしましょう?」

「このお店が間もなくランチの営業時間を終えるので、貸し切りにできないか掛け合ってみます」


 俺達はとりあえず方針が決まり全員で頷き合うと、俺は元のテーブルに戻った。護衛の方たちは食べ終わり、各々が役割分担して動いているようである。


「スバルどうなった?」

 ハイドが確認してくる。丼は空になっているのでいつでも動けそうである。

 

「ここを拠点に関係者を集めて話をすることになった」

「関係者って?」

「末姫様とケインのお父さんと孤児院の職員さん」

「……それだけ呼ぶならヤドリ侯爵も呼ぶ方が良いかもしれません」

「……確かに……末姫様の件でかなり心配されていたからな」

「じゃあ、ヤドリ侯爵にも連絡をとろう!」

 俺はお店の人と交渉している護衛の方のところに向かった。


「あっ、スバル様。オッケーが出ました!ランチの営業後ディナーの時間になるまで、お店を使って良いそうです」

「良かったです」

「いえ、休みの時間に場所を貸すだけでお金がもらえるなんてこちらこそありがたいです!」

 お店の中を見渡すと、残っているのは俺達以外にはいなくなっていた。

 

「では、よろしくお願いします。俺達はそのまま残っても大丈夫ですか?」

「はい、私達は奥にいますので、ご用があれば呼んでください」

 そう言って店員さんも奥へ引っ込む。

 

「では、手はず通りに」

「あっ、シェル伯爵にヤドリ侯爵にもこの話を伝えてもらうようにお願いしてもいいですか?」

「了解しました」

「ではまた後ほど」

 そう言って護衛の方は足早に店を出た。


「エイダン、末姫様にこの話を伝えてここまで連れて来てもらえるか?」

 エイダンはこくりと頷くと、一瞬の後に姿が見えなくなった。


「後は孤児院で動きがないように祈るだけだな……」


 窓の外の孤児院は特に何の変化も見られない。


「はい。皆さんが早く集まれるとよいのですが……」


 それもそうだ。とにかく今は待つのみだな。


 ちなみにスカイとぺぺ、グリンも海鮮丼を完食して今はうつらうつらしている。まだ時間がかかりそうなので、毛布をかけてお昼寝タイムとした。


「スカイたちめっちゃはしゃいでたから疲れたんだろ

う」

「はい!見るもの全てが目新しいですしね。特に今日は神殿に行ったので余計かもしれません」

「神殿?」

「はい。神を祀る場所です。王都には一番大きな神殿があり、観光名所にもなっているんです」

 神殿か……また時間があれば行ってみたいな。

 

「それに体力を温存しておかないとこの後大捕物があるかもしれませんしね」

「ああ、今は休息だな。中に入る時は俺達も一緒に行こう」

 俺はハイドとケインと顔を見合わせ頷き合った。

 


 



 



 

 

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