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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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疑惑の孤児院


 あからさまに孤児院を見ていると不審者に間違われそうだし、相手に何か疑われてもいけないのでちょうど向かい側にあった喫茶店に入る。


 孤児院が見える窓側の席に座りお腹も空いていたので、ランチの海鮮丼を頼み向かい側の孤児院の動向を伺う。まだ、昼時には少し早いのか店内の人もまばらである。


 ちなみに孤児院は何の動きもなく静かな様子である。 


「この海鮮丼めちゃくちゃ美味い!!」

 ウニにイクラがこぼれんばかりに乗っており、下には様々な魚の刺し身が敷き詰めてある。ネタも新鮮でウニはクリーミーイクラはプチプチでヤバいくらいに美味い。


 エイダンも無言で食べすすめている。


「こういう少し外れたところにある店が隠れた名店ってやつなんだろうな」


 あっという間に食べきり、まだ来ないようならとデザートを頼みかけたところで皆の姿が孤児院の前に見えた。


「エイダン、この店にみんなを呼んできてくれる?」

 エイダンはこくりと頷くと、一瞬の後に姿が見えなくなった。そして、窓の外に見える皆と合流している。そして皆でこちらに向かう姿が見えた。


「待たせたな!!」

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」

 ケインが席に座りスカイ、ぺぺ、グリンが俺に飛びついてくる。その後ろからケインとエイダンもやって来て席に座った。


 ちなみに護衛の人達は一緒の席には座れなかったので空いている別の席に座ってもらった。


「グリンご苦労さま」

「キャン!」

 グリンの頭を撫でる。


「あっ、スバルずりー!!海鮮丼食べたな!!俺達まだ昼飯食べてないのに」

 ハイドに空の皿を目敏く見つけられる。

 

「悪い。店に入ったから、注文しないのもな」

「そりゃそうだな。俺達も注文して良いか?」

「もちろん」

「ハイドくん!その前にスバルくんの話を聞かないと」

「あ、そうだった!!緊急っぽかったけど店でのんびりしてて良いのか?」

「ああ、とりあえず注文しよう」

 俺はデザート!!

「皆はランチで良い?エイダンはデザート頼むか?」

 皆こくりと頷く。


「すみません」

 店員さんを呼ぶとすぐに来てくれた。


「ご注文でしょうか?」

「はい、ランチを5人前と本日のデザートを2つお願いします」

「かしこまりました」

 

「……目の前の孤児院かなり大きくて綺麗ですね」

 何気ない感じで店員さんに聞いてみる。

 

「ええ、さすが王家と伯爵家が作ってくださった孤児院です。規模が大きいのでいつも恵まれない子たちの助けになるように活動されていて、保護される子どもたちの数もかなり多いんですよ。それをしっかり里親を見つけて来られて、あまり孤児院に長居する子たちもいないんです。今日も乳児の受け入れがあったみたいで、朝からバタバタ動かれていました」

 

「詳しいんですね」

「ご近所さんなので私たちもできることをと、炊き出しを週に1度行なっているんです」

「それはすごい」

「いえ、私ができることは大したことじゃないんですが……」

「お――い、店員さん!!」

「あっ、失礼します」

 いろいろ話してくれた店員さんは別のテーブルに呼ばれて慌ててその場を離れた。


「スバル、あの孤児院何かあるのか?」

 ハイドが小声で聞いてくる。


「いや、それが……」

 俺は火事の現場から消えた乳幼児がここにいるかもしれない話を皆にする。


「保護される子どもが多い……長居する子がいない……今日も乳児の受け入れがあったと言われていましたね。確かにかなり怪しい。どこの孤児院も里親はそんなにすぐには決まりません」

 ケインが話を聞いて考え込む。


「グリンの鼻はかなり正確だからな……俺も黒なんじゃないかと思ってるんだけど、俺誘拐された子どもの顔も知らないし、違うとしらをきられたらそれまでだし……それどころか相手が危険を察知して逃げてもいけないしどうしようかと思って皆に来てもらったんだ」


「……なるほどな」

「規模が大きいので我々だけでは難しいですね……誰か協力者がいないと……」

「誰に頼めば良いかな?」

「う――ん。万が一何もなかったら、責任が取れませんし……どうしましょう?」

「護衛の人たちにも相談してみるか?」

「そうですね」


 話をしながらも孤児院の動向を伺うが、特に変わった変化は見られない。


「ランチお待たせしました!今日のランチは具だくさん海鮮丼です。あとデザートのみたらし団子になります!」

 みたらし団子!!前世の大好物である!!


「なあ、スバル。俺達が食べてる間に護衛の人たちに相談してきてくれよ。あまり、時間かけすぎて逃げられてもダメなんだろう?」

 ハイドに真っ当なことを言われる。

「ええ、それが良いですね」

 ケインも同意見のようである。


 みたらし……味って食べたかったけど仕方ない。


 俺はみたらしを一気に口に放り込むと、護衛の人たちのテーブルへと移動した。



 

 

 

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